「JAL再生タスクフォース」によれば『JALは「少なくとも2,500億円規模の債務超過になっている」と指摘し、3,000億円規模の債務削減を求めた。』とある。


2009年3月期の連結決算書を見ると純資産は1,946億円が計上されておりこれは勿論、新日本監査法人の適正意見付。

JAL再生タスクフォースの指摘が正しければ、純資産と債務超過額の差(約4,446億円)は債務超過とならないようにお化粧をしたのか、あるいは、曖昧な監査基準が通る世の中だということで、投資家としてはオチオチ監査法人の適性意見を信用できなくなる。

JALの保有する機体(簿価7,000億円以上)の時価評価の方法がゴーイングコンサーンの考えの下に、鉛筆ナメナメできちゃう、という話かもしれないが・・・


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クレメモ乱発で、利益を先取り
 実は、JALが保有する機材(航空機)については、かねてより多額の含み損が隠れているのでは、といった指摘がなされていた。今年3月末で同社の総資産は1兆7506億円。うち航空機は半分近い7,235億円を占める。ほかに簿外にもリース資産として約6000億円(未経過リース料)が存在する。

 保有機材の含み損は、JALが「クレジット・メモ」(通称クレメモ)と呼ばれる航空機業界独特の商慣行を利用して期間利益を捻出してきた過去と密接な関連がある。

メーカーから航空機を購入する場合、航空会社は2通りの値引き交渉を選択することができる。1つは単純明快な現金値引きだ。例えば、100億円の航空機を2割値引きしてもらい、80億円で購入する、といった具合である。この場合、バランスシート上で購入機材は80億円として計上されるだけだ。

 もう1つのやり方はクレジット・メモ方式と呼ばれるものである。クレジット・メモはクーポン券みたいなもので、航空会社はそれを使ってスペアパーツを購入したりする。この場合、同じ2割の値引きでも航空機の代金100億円はそのままだが、会計ルール上、クレジット・メモ20億円については営業外収益に「機材関連報奨額」として一括計上することができる。つまり、利益となるのだ。

 実はJALはクレジット・メモを“乱発”することで、利益を先取りしてきた。 【日経ビジネスオンラインより引用】
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キョウビ、BPSだけを信じて投資する投資家はいないとは思うけど、少なくとも、まだ、純資産(1,746億円)が残ってるんなら、当面、紙屑になる事はないだろうし、株価が時価総額が3,000億円程度なら、買ってもいいかという判断があってもいいかもしれない。


債務超過が事実なんだとすれば、投資家目線で考えると、巨額な債務超過に陥っている会社の再建策に100%減資などの株主責任が問われないとすればモラルハザードを起こすだろうし、国民目線で考えても、政策投資銀行を通じて税金を投入して、本来潰れるはずの会社のパイロットOBのとんでもなく高い年金を払い続けるほど馬鹿な話はないと思う。


Too big to fail なんて、今頃、誰も考えてないだろうし。


しかし、こういう記事を読んで、自分の仕事に立ち返ってみると、、、

日々、JALのBSの問題に比べ圧倒的にどうでもいいような数百万円~数億円程度の売掛金、投資有価証券等の資産評価について監査法人と喧々諤々と議論している私の会社のチームの気持ちを考えると、今後、JALの問題で、新日本監査法人の適正意見の是非について、問題にならないとすれば、むなしさすら覚えてしまうのでありますショック!