今日ご紹介するのは 築50年 古民家のリフォームです。
当時87歳のお母様が一人で住まわれていた築50年以上の住宅。デイサービスなどを受け生活をしてこられたが近い将来、お嬢様と同居すること、段差の解消、断熱性の向上などを目的としてリフォームのご依頼を受けました。
長年大切に住まわれてきた思い出や雰囲気を残し、茶の間を残すことやお仏壇の配置などを変えないなどを条件に提案がスタート。
新たに生まれ変わったリフォーム後のLDK。お母様の抵抗をなくすためダウンライトを多用せずシーリングライトで対応。新調したダイニングテーブル。今となってはこちらがお母様の定位置になったようです。
Before
昔ながらの中廊下の住まいで段差が多く、6畳、8畳といった和室ばかりの間取り。 中廊下を挟んで向かて左側が茶の間、右側が台所。
独立したキッチンから料理を運ぶのは一苦労。
そんなことを心配するお嬢様たちが一念発起しての計画でしたが、お母様にとっては思い出の家に手を入れてほしくないとのことで一年以上かけてゆっくりとご納得いただきました。
リフォーム後。
定位置にお仏壇や座椅子を置くこと。茶の間は茶の間のままで…。
そんなお母様のご意見を尊重しきれいに生まれ変わった和室。船底天井もそのままに塗装で化粧直し。
きれいに塗り直したじゅらく壁もいい色です。パッと見た目にはわからない、伝えきれない細かな変化がたくさんあるんですよ。
段差も全くなくなり快適に。狭く寒い廊下が無くなりました。
広縁と和室の間の障子は撤去してもちろん段差も解消。
新たに窓側に障子を製作。貼り替えの手間となる和紙ではなくワーロンという見た目は和紙、素材は樹脂を使用しています。
思い出の茶箪笥もそのままに。収納は使いやすく内部を変更。市松模様の襖紙が素敵です。
Before After
ダイニングと茶の間は3枚の引き込み戸を設け可変性を持たせ、開口した時にスッキリするよう天井までの大きな建具を造作しました。
撤去することのできなかった柱や下がり壁。その分収納スペースや配膳台が減ってしまったのでキッチンバックセットも造りました。左右の写真を見ていただいてわかるように配膳スペースが引き出せます。
リフォーム前の玄関
Before
あまり雰囲気は変えず、フォーカルポイントとなる正面の壁にはKAMISMの和紙を貼りアクセントとしました。
光沢もありきれいな和紙です。
リフォーム前の玄関外部。構えはとてもきれいですが木製の玄関引き戸は段差もあり隙間風も入ってしまいい、また防犯性もとても低い。
リフォーム後の玄関は段差も解消し、もちろん隙間風もない。玄関前ポーチは裏庭から続く犬走りを設け 車いすの移動も可能にしました。
上部欄間も素敵!内枠を付けガラスを2重にすることで熱ロスを少しでも和らげました。
レトロなブラケット(壁付け照明)もガラスのカットがとてもきれい。
今回のリフォームを終えて。
「余計なことはせずこのままで…。」とおっしゃっていたお母様は、今では「なんでもっと早くしなかったのか。」「こんなにあったかくて快適で…。」と本当に喜んでくださいました。
同じ金額をかければ簡易な新築住宅が建つでしょう。
古さゆえの傷みはあれど日本家屋の美しさやしつらえ。そして思い出。それらを考えたとき大切に継承していくことも選択肢の一つだと思います。
図面もなく工事は大がかりで開けてびっくりの連続…。お客様にもたくさんのご迷惑をおかけしてしましました。
正直、タイヘン…でしたが、新築では決して出すことのできない趣を残し、何よりお客様の笑顔と「ありがとう」との言葉をいただき本当に私自身も成長できた今回のリフォーム。
私からもお客様へ「ありがとうございます」と伝えさせていただきました。
これからも、もっともっとたくさんのご提案をして差し上げられるよう、まだまだ勉強です!!