私の夕食は、外食が多かった。

友人、会社の同僚、先輩、後輩、上司、・・・・・・。

1人で過ごすのが、無性にむなしく、嫌だった。

食事だけでなく、食事後も・・・・・。


でも、誰1人私の心と体を満たしてくれる者はいなかった。


私は、さびしかった。



満月の今日は、会社近くのカフェで、かるく夕食を済ませる。

ここは私のお気に入りの場所であり、

数少ない1人で過ごす事の出来る空間のひとつである。

小高い山の上にあり、大きな一面の窓ガラスからは真っ暗な暗黒に綺麗なお月様が見える。


そう、まるで満月のお月様に大切に包みこまれているように・・・・・。

不安や、寂しさから、逃れられる・・・・。



でも、今日はなんとなく違った。



ほんの些細な出来事に対しても胸が締め付けられるほど彼を意識している自分が、

彼に触れたとたん、

今までのように、満たされないものであったら、私は・・・・。

そう考えると、彼に触れたいという気持ちが消えてなくなってしまいそうだった。


気づかなければ、

意識しなければ、

後悔の気持ちで心が不安定になっていく。


満月のお月様に抱かれて、この気持ちを消し去ってしまおうか・・・・・・・・・・。


次回につづく・・・。

満月の夜の下で、私は何度彼とあやまちを犯したのだろうか・・・・。

決して愛してはいけない・・・。

そう思へば思うほど、私の心は強く彼を求めてしまう。




私と彼の出会いは、運命でも偶然でもなかった。

彼は毎日会社に来る得意先の1人であり、私はそんな彼に、受付で簡単な挨拶や、冗談を言ったりする女子社員の1人であった。


彼の名前が、「高橋 哉(たかはし はじめ)」と意識し、覚えたのはいつのことだったろうか・・・。

ごく自然にインプットされたような気がする。

毎日入社記録の紙に書かれる彼の名前を、頭より先に心が憶えてしまったのが、本当の始まりかもしれない。


彼を意識し始めてからは、毎日が楽しかった。

今日はどんなネクタイをして、どんなシャツを着ているかとか、

書類を受け取る時に、ほんの少し彼と手が触れたとか、

ほんの些細な出来事に対しても胸が締め付けられるほど彼を意識している私がいた。



「彼に触れたい・・・。彼に触れられたい・・・。」

そう思うようになるには、さほどの時間はかからなかった・・・・・。


次回につづく・・・・