バケルノ小学校ヒュードロ組〈1〉おばけきのこマッシュ/鈴木 志保
¥998
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朝のNHK教育で人形劇になっているシリーズです。テレビの人形劇を甥っ子と見ていて、「これ設定細かくて笑える、絶対深夜仕事だな」と思っていたら脚本が大好きな児童書作家、柏葉幸子さんでした。しんみりするシーンも交えつつ明らかにコミカルテイストなのはなるほど、柏葉さんの仕事です。

主人公のノビローは両親がアフリカに行くため、お父さんの幼馴染の天狗一家にお世話になっています。一家の住むオバケハイツにノビロー達の通うバケルノ小学校もあります。同級生は皆オバケです。

この設定がほんとに多彩に面白いのです。ノビローは優しい子ですがやんちゃもするので一番怒られてもいます。天使のように心優しい河童のサンタ(もちろん好物はキューリ)はゆっくりしゃべるのがかわいい。208歳だけど8歳のときから200年冬眠していたので自分たちを8歳だと思って小学2年生をしている雪男の双子(みんなにはゆきんこブラザーズと呼ばれてます。心は8歳でも昔の人なので語尾はゴザル調)、普段は優しくて美人なのに怒ると顔が物凄く怖くなる担任のオキク先生、などなど出てくる人出てくる人これでもか、というほど背景が盛り込んであって飽きさせません。


この「おばけきのこマッシュ」は、8歳のおばけきのこが学校に行けるようになるまでのストーリー。転校先になじんだノビローは親友のサンタが放課後、自分とちっとも遊んでくれくなったことにがすごく辛くてある日サンタの後をつけいきます。するとサンタは沼の近くに生えているおばけきのこに、その日学校であったこと、勉強したことを教えてあげていました。木から動けないマッシュは学校に強い憧れをいだいているのです。

初めはマッシュにサンタを盗られてしまったように感じて面白くなかったノビローですが、仲良くなってからはマッシュも学校に来られれば一番良いとわかり、お父さんの盆栽にヒントを得てマッシュを鉢に植え替えて学校に連れてきてあげたのでした。

晴れて校長先生の許可ももらってマッシュはヒュードロ組の一員となります。マッシュは丁寧語キャラでこれまたかわいらしいのです。サンタの幼馴染という設定も模様。


ちなみにその後の送り迎えはサンタの仕事になっているようです。

ドードー鳥の小間使い
¥1,200
株式会社 ビーケーワン

表紙の可愛らしさに惹かれて読んでみたらとても楽しい庶民派ファンタジーでした。

不思議の国のアリスに出てくる幻の鳥、「ドードー鳥」の生き残り、ドド三世がタカ少年の家で復活してしまいました!!ドド三世は鳥類学者だった亡きおじいちゃんのコレクションの剥製だったのですが、じつは剥製に見せかけて魔法で眠っていたのです。


何百年も生きるバンパイアかつ狂気の珍品コレクター・カバニアから逃れるために遥かモーリシャスから剥製になりきって日本に逃げてきたドド三世、目覚めた瞬間からいばり倒します。

自分は貴重なドードー鳥なんだから守ってもらって当然、カバニアと戦うのは守ってくれている人間の仕事、と言い切って自分は時代劇に夢中になってしまいます。婚約者のドドピスドドもカバニアから逃げているので探してくれといいますがこれも上から目線のうえ、自分では何にもしません。

小間使いに任命されたタカ少年は自分も末っ子で甘えん坊なのでドドの態度にはすごく納得がいかないのですが、少しずつ少しずつほだされていって、最後にはドドが好きだから、ドドが生きている限り自分は小間使いなんだ!と小間使い道に目覚めます。


ものすごく何様な態度なドードー鳥が物凄くかわいいのです。実害があんまりないからかな。しゃべりかたも丁寧だで可愛げがあるし。小間使いタカの努力の末再会した婚約者とは結局、性格の不一致により婚約解消するのですが外野のツッコミがおもしろい。

わがままが目に余るうえ、かわいげもない婚約者ドドピスドドを見て、タカ少年「やめろ。こんなの」、紆余曲折の上、和解したコレクターカバニア「小間使いのいうとおりじゃ。やめておけ」


甘やかされるばかりだった下の子が自分が世話をしないとどうしようもない存在に直面して奮起(ってほどでもないですが)するほほえましいお話です。

細かい笑いがちりばめてあるのでぜひご一読下さい。

ピッツァぼうや/ウィリアム スタイグ
¥1,575
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表紙いっぱいに広がる満面の笑顔の男の子。この表紙とタイトルからどんな内容を思い浮かべますか?

予想は当たらないと思います。。。

ほんとに楽しい最高の絵本。子供心をがっちりつかんでいます。


ピッツァ大好きな坊やでもピッツァ職人の坊やでもないピート君は雨が降ってきて友達と遊びに行けないから不機嫌です。

そんなピートを見てお父さんはいいこと考えました☆

ピートをピッツァにして遊んだら楽しいぞ!!さっそくこのお茶目パパはピートをテーブルにのせて捏ね捏ね捏ね。

本職さながらに空中で生地(ピート)をクルクル回して、小麦粉(実はベビーパウダー)を振って、トマトをのせて(実はゲームのコマ)。ママも私の分にはトマトはのせないで、なんて言っちゃうノリのよさ。

不機嫌だったピートはもう大喜びです。


オーブンに見立てたソファでこんがり焼いたらサクッと切っちゃいましょう♪というところでピッツァが逃げ出した!

追いかけっこのすえパパがピートピッツァを捕まえると雨がやみました。ピートはご機嫌でお外に遊びに行きます。


理想のパパです。。。ゲームや漫画任せにしないで子供と楽しく、自分もほんとに楽しみながら遊んでくれるお父さん。

この遊びは巻き寿司とかハンバーグとか応用メニュー編も多彩に楽しめそうでいいですね。

作者スタイグはこの絵本を描いたとき90歳というから驚き。お茶目じいさんだったんですね。。

2006年秋号 10月25日(水)発売
巻頭特集「梨木香歩」
活字倶楽部 2006秋号
¥971
株式会社 ビーケーワン

巻頭特集が梨木香歩ということで二週間くらい前からずっと楽しみで、買う気まんまんでバイト帰りに本屋さん行ったんですが、思ったより梨木氏にページ割いてないのと、彼女以外の特集記事に興味がなさ過ぎて1000円払う気になれずに立ち読みで済ませました。。読者のイラストとか要らんし!!

梨木氏の案内で本郷の町並みを楽しみながらインタビューという形式でした。読み込めば楽しかったかもしれないけど、、期待したほどの目新しさもなく。


収穫:11月発売予定の『この庭に 黒いミンクの話』『水辺にて』の装丁と内容紹介があったのと、季刊誌『小説トリッパー』連載中の『f植物園の巣穴』のストーリーが少おぅしだけわかったこと、かな。

今回の活字倶楽部に1000円出すなら、エッセイ連載中の次の『考える人』か、トリッパーの春号、夏号をお取り寄せしますね、、、




ピアノ調律師
¥1,800
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私はお父さんと息子、おじいちゃんと孫、という関係に弱いです。もうこの設定だけで泣けます。ここに地味だけど自分の仕事に自信をもっているというスパイスが加わるともう・・・。

この『ピアノ調律師』は世界一の調律師のおじいちゃん、ルーベン・ワインストックと孫娘デビーのお話です。


デビーはおじいちゃんのピアノの調律師という仕事に最大級の尊敬と憧れを抱いて毎日その作業を見つめています。手順も使う道具もすっかり頭に入っています。毎日、将来はおじいちゃんような腕のいい調律師になるのが夢、と公言しておじいちゃんの仕事先にすっかり助手になったつもりで着いていきます。

でも、おじいちゃんはデビーに調律師よりもいい仕事に就いてもらいたいと思っていて、ピアニストになれるよう毎日レッスンをさせています。でも当のデビーは調律師になりたい上に演奏の才能はないので上達しません。


そんなある日、二人の住む町に世界的なピアニスト、アイザック・リップマンがやってきます。彼はルーベンおじいちゃんの調律の腕を高く買っている上にお茶目さんなので、おじいちゃんを驚かそうと内緒ではるばるニューヨークからやってきたのです。

なんてフットワークの軽いピアニスト。


平行線をたどるかに思えたデビーとおじいちゃんの意見の食い違いはこのお茶目ピアニストのおかげでデビーの期待どおり調律師の修行をさせてもらう、という方向に向かいます。


リップマンはおじいちゃんに「人はそれぞれ自分は本当は何をしたいのかということを良く考えるべきだと思うよ」と、デビーに調律の勉強をさせてあげたら?と説得します。でもおじいちゃんは諦めきれず、デビーが彼の演奏会を聴いたらピアニストになりたいと思うかもしれない、と期待するのですが。。。


その夜、演奏会のあと、デビーは演奏会を気に入ったかと聞かれると「ええ。だって、いくらリップマンさんが激しくピアノを弾いても、ピアノの音程はびくともしなかったわ。おじいちゃんの仕事はすごいわ」と答えます。やっぱりデビーは調律師にしかなりたくないのです。


おじいちゃんも根負けして調律の仕方を教えてくれると約束してくれます。



ピアニストの台詞がかっこいい。「わたしの演奏を聴いても、まだピアノを弾くことより調律することに興味があるんだね」自分の仕事に自信を持っていて、かつ人の仕事に敬意をはらえる人じゃないと言えませんよね。


デビーの年のころ、自分はもうピアノにことしか考えていなかったとおじいちゃんを説得してくれたリップマンさんはニューヨークに戻ったら特製の調律道具一式を送ってくれると約束します。世界のピアニストはやることが違います。太っ腹。


おじいちゃんのお得意さんのパールマン夫妻もいい味だしてます。ほんといそう。こういう善意のご近所さん。


息子夫婦の忘れ形見が心配でしょうがないおじいちゃんと、おじいちゃんが大好きで早くお手伝いがしたいデビーの愛情に溢れた行き違いは最高の形でハッピーエンディング迎えます。


私が初めて読んだゴフスタインの絵本、「ゴールディーのお人形」も自分の信じることのために一生懸命働くことがどれほど尊いことかを静かに教えてくれる素晴らしい絵本でしたが、「ゴールディー」が主人公が天涯孤独ということによる少し寂しいテイストだったのに比べ、こちらは切なさもありつつ、家族や仲間の温かさが全面に押し出されています。


自分の仕事や勉強に行き詰ったとき、初心を取り戻させてくれるのではないでしょうか。。





だるまちゃんとてんぐちゃん
¥743
株式会社 ビーケーワン
 文章も絵も「加古里子」さん。「かこさとし」さんです、男性です。びっくり。確かに絵もお話も筋が一本通っていて男性っぽいのですが、何せ里子。。反則です。

 名作ダルマちゃんシリーズです。私が一番好きなのはこの「てんぐちゃん」編です。といっても子供の頃に出会ったのではなく、この絵本の存在を私が知ったのは高校生の時でした。狂言師、野村萬斎が朝日新聞の記事でお子さんと一緒に読んでいるお気に入りの絵本として紹介していたのを読んで興味を持ったのでした。

 てんぐちゃんの持っているうちわやら下駄やら帽子やら、何でも欲しくなってしまうだるまちゃんが、一生懸命身の回りのもので素敵な代用品を探すのです。萬斎氏も、あくまでも同じようなものを「考えて」「探す」ところが良いのだというようなことを書いていました。

 小さいだるまちゃんが「てんぐちゃんのようなうちわがほしいよう」と訴えるとお父さんはすぐに家にあるうちわをたくさん出してくれます。でもてんぐちゃんのうちわは子供が持っているとはいっても、持ち手の先から羽のようなものが放射状に八枚ほど付いている「天狗の団扇」で、、一般家庭にあるような代物ではありません。
 「こんなうちわじゃないんだけどな」とだるまちゃんは思いますが、考えているうちにいいことに気が付きます。葉が八枚出ているヤツデはてんぐちゃんのうちわにそっくりです。

 ヤツデの葉っぱのうちわ。お椀の帽子、おもちゃのまな板で作った下駄。お餅で作った長い鼻。てんぐちゃんの真似をしたくなるたびにだるまちゃんは家族(推定お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、妹)に手伝ってもらいながら満足のいく代わりを見つけます。

 この家族の子供の遊びに対する協力的な姿勢もいいんですよね。文章にはなってないけれど、絵からすごく伝わってきます。にこにこしながらおばあちゃんが履き物をもってくるとことか、おじいちゃんがもち米炊いて、パパママが餅ついて、おばあちゃんと妹は捏ねる。というような。

 そして必死に自分の真似をするだるまちゃんを見るてんぐちゃんの姿勢もすごく温かくて。「ずいぶんいいのをみつけたね。」とか「ずいぶんすてきなはきものだね」とか誉めてくれて、最後のお餅製の長鼻に際しては読者的にはずいぶん強引ね・・・って感じですがてんぐちゃんは心から「だるまちゃんのはなはいちばんいいはなだね」ってにこにこしながら言うんです。で二人で楽しく遊びます。
 
 安易に買い与えるのではなくてあるもので代用する、子供の希望を最後までちゃんと聞いてあげる、何かするときは家族一緒に。こういう基本的なことは、意外に難しいし、おろそかになりがちですが、だるまちゃん一家は実に楽しげです。
 小技の効いた、かわいい(ちょっと渋いけどなんとも言えずかわいいです)絵が文章以上に雄弁に物語を進めてくれる古き良き日本の絵本です。
ブルンミのたんじょうび
¥950
株式会社 ビーケーワン

アンニ:おはようブルンミ!今日は何の日かわかる?

ブルンミ:わからないよ、ね、おしえて!

アンニ:言わないわ ひ み つ!


ハンガリー人の絵本作家のものすごくかわいい絵本です。子熊のブルンミとしっかりものの女の子アンニパンニのかわいすぎる日常を描きます。

すらっと足の長いアンニパンニは年齢不詳ですがとてもおしゃれで頼れるお姉さまです。

同居人?のブルンミは甘えん坊。

シリーズで何冊も出ていてどれもかわいいんですが、今回はブルンミのお誕生日編を紹介します。


ブルンミの誕生日の朝、当のブルンミは自分の誕生日を忘れています。

ブルンミに留守番をさせて買い物に行ってきたアンニパンニに
その大きな包みは何?ときいても「ひーみーつ!」

どーしてケーキを焼くの?ときいても「ひーみーつ!」

どーして一番素敵な服(真っ赤なミニワンピースでほんと素敵です!!!!)を着るの?

ときいても「ひーみーつ!」


ベルが鳴ってお客様がきました。

でももうブルンミは何も聞きません。

何が起きているのか知りたくてたまらないのに、アンニパンニに全部秘密にされブルンミは悲しくなってしまったあげくに怒って家出を敢行しかけます。


でもすぐにアンニパンニが連れ戻しに来てくれるのです。そして


「ねえわからなかったの?きょうはあなたの誕生日」


ベンツェとスーシ(さっきのお客様です。男の子と犬です)にもプレゼントをもらって、ケーキのロウソクを吹き消し、楽しい誕生日を皆で過ごして

「ああ なんて素敵なんだろう!ありがとうアンニパンニ!」


最後のページではアンニパンニのプレゼントの赤い自動車に乗ってご機嫌なブルンミがお花片手に笑ってます。


ブルンミの誕生日を素敵なものにしようとアンニパンニががんばってくれるのも、自分が主役なのに蚊帳の外と勘違いして泣いているブルンミもほんとうにかわいい。

アンニパンニは料理もできておしゃれで甲斐性もある(だってプレゼント車ですよ??)理想の女性です

エンド・ゲーム
¥1,500
株式会社 ビーケーワン

 日本中に散らばる超能力一族の歴史をつづる常野シリーズの第三弾です。

 去年、第二弾の『蒲公英草紙』を読んで、ベタな展開なりに(むしろそれだけに?)泣かされたので、2000年発売の第一弾『光の帝国』を読んだのでした。こちらは短編集ですが、これまたベタベタなりに(だからそれゆえに??)泣かせる章もあり、しかもいかにも続きがあるように書いているので先が気になりました。


 でタイミングよく今年の一月に第三弾の『エンド・ゲーム』が発売になったのですが、『たんぽぽ~』、『光の~』と続けて読んで、楽しめる要素もあるけれど、ハードカバーを購入してまで読みたいと思わせるシリーズというか作家ではなかったので、気になりつつも手にとってなかったのでした。

今回、偶然借りることができたので読むことができたのですが、感想は・・まあ、勢いでハードカバー買わなくて良かった、、って感じです。

私が読んだ恩田作品では常に、作中で使用される語彙、というか、登場人物の会話にとても古臭い言い回しをもってくるところが現代モノとしては目に付くのでストーリーに浸りきれないのですが、今回もそうでした。

『蒲公英草紙』くらいの時代だと違和感ないのでベタベタな設定でも楽しめるのですが、現代が(それも都会が)舞台になってくると微妙。。


ずっと、お嬢様・・・とか言わせてればいいのに。。と思ってしまうのでした。

家守綺譚
¥1,400
株式会社 ビーケーワン

12日の木曜日、ジュンク堂池袋本店で開かれた梨木香歩の『家守綺譚』朗読会に行ってきました。

4回階の喫茶室にて、飲み物片手にとてもこじんまりとした会でした。去年の11月に京都橘大学で行われた講演会にも参加しましたが、大教室とは違い、1m前に梨木氏を捉えることができました。

 朗読の内容は『家守綺譚』からサルスベリ、木槿(むくげ)、ツリガネニンジン、檸檬と書き溜めているという(ずっと追っている愛読者には嬉しすぎる朗報)未発表の新作、「オオアマナ」でした。

去年の講演会では「いのちと言葉が出会う場所 」と題しての彼女の講演の後に質問タイムをとり、質問の内容も言語表現や精神面に関することが主だったのに対し、今回は時間のほとんどを氏の朗読に費やし、合間に進行役の担当編集さんとのやり取りの中で作品まつわるエピソードをお聞きする、という流れで、朗読終了後に設けられた質問タイムでは
純粋に梨木作品のファンとしてのものが多かったです。続編はあるのか、どうしてこの作品の登場人物はリンクしているのか、というような。


参加する前は、梨木香歩の作品は大好きだけれど、作家自身が著作を朗読することが会のメインであることが少し不満でした。朗読は本職に任せて梨木氏はその後創作秘話なりを語ればいいのに、と不遜なことを思っていて。
去年の講演会でも、『家守~』から「檸檬」と絵本『おばあちゃんがいったのよ』ジル・ペイトン・ウォルシュ作、を朗読されてましたが、私はこれを講演会のオマケのようにとらえていました。
今回、真剣に聴いてみると、梨木さんの穏やかな声から繰り出される意外なほどの「ため」や実際には書かれていない繰り返しによって「作者の創作のリズム(新潮社の編集言)」を体感することで物語をまた新鮮に受け取ることができました。
なにより、朗読してくださったのが「木槿」や「サルスベリ」という私の大好きな章だったのだとても嬉しく、続きの執筆も進んでいるということに期待が膨らむばかりです。


新作の「オオアマナ」は私は聞いたことのないのですが、別名「ベツレヘムの星」という植物で清楚な白い花びらをつけるそうです。家守本編で綿貫の庭(高堂のか・・)の白木蓮から生まれた白竜がちらりと登場してなんとも微笑ましいものでした。(つまり感涙)一冊にまとまる日が待ち遠しい。

朗読の合間には創作にまつわるお話をされ、家守の舞台の高堂の実家はご自身の関西の仕事場がモデルになっていると教えていただきました。家という存在が好きで、家が一つの人格、存在感、人らしさ、のようなものを
内包した気配の塊のように感じられるそうです。物語を形作るとき、物語の気配の充満した「家」をイメージして入るのがお好きだそうで、確かに『家守~』だけでなく『からくりからくさ』や『西の魔女が死んだ』その他たくさん、家についてしっかりと書き込まれた作品ばかりです。

語られたエピソードの中でもおもしろかったのが家守での書き下ろし、「やぶがらしのき」は売れない作家綿貫の著作という形でしたが、ものすごく細かく設定が作りこまれています。
vまず掲載誌の「月刊唐草」とは繊維業界の業界紙で、綿貫が作中の「紅葉」後、「葛」の前という時間に
書いたもの。最後の短歌から始まる段落は「葛」の後につけたした。ということです。梨木さんの説明を聞きながら読むと本当にそれらしく思えて、作者のこだわりに脱帽でした。

ほかにも、参加者のみなさんそれぞれに愛着のある作品についての質問がつづき、それに対する梨木さんの回答もユーモアを忘れず、楽しいものでした。

印象に残ったのは「裏庭」が一番好きという女性が、「自分は今でもあの物語の世界にひたることがあるが
作者としてはどうか」という質問に対して「よく考えます、あの世界がどうなったか、ということは」と答えられたときでした。物語が熟成して降りてくるのを待っている、と仰っていた梨木さんらしい回答だなあと。

あと、私が一番好きな『村田エフェンディ滞土録』について、執筆の動機として、米国のイラク攻撃が始まった
ころ、自分にできる反戦活動は何か、と考え「深いレベルで、皮膚の下にまで染み込むような、戦うことの
虚しさ等を書くこと」だった。と、話され、『村田~』を読んだ直後に自分が感じたことがまさしく梨木さんの
意図したことだったのだと、実感しました。

この「反戦」という言葉が独り歩きしてしまうの本意ではないが動機のひとつではある、とのことです。


二時間ほどの間に、大好きな作品が作者の中で暖められ、進み続けているということがはっきりと感じられ、ついていきます!という決意を固めました。



最後に『村田~』にサインをいただきました。嬉しい。


四日市市立博物館にて、ようやく観て来ました、『ボローニャ国際絵本原画展』

四日市では二年に一回の巡回展。どーして毎年しないんだろう涙。


5枚の原画とキャプションのタイトルで内容を推測しながら可愛い、可愛いを連発して楽しんできました。

日本人の入選作がとても多くて、絵本とこのコンクールの日本での人気の高さが伺えます。

メインの原画はもちろん、横に添えられている作者の顔写真がとても魅力的でした。こんないかつい人がこんなかわいらしい話を。。この可愛い人は絵もかわいい。この人はふざけた写真のとおりにふざけた世界を創ってる。。横に写ってる娘さんのために描いたんだろうなあ、、とか色々勝手に想像して楽しめます。


↑たかいよしかず「あたまのうえからせかいをみわたせば」

色んな動物の頭の上から見渡してるかわいい作品。個人的に日本のお城が乗っかってるこの絵が一番好きです。


←千葉三奈子「モカの不思議な1日」
コーヒーの女の子?が色んなところでコーヒーを振舞うお話かな?この絵では人魚とお茶してますが、他にも宇宙服着て(というかガラス?のマスクを被って)お星様とお茶したりもします。

隅々まで細かく描いてあってこの人魚がつけているティアラも珊瑚のようで、興奮するくらい可愛い。

モカさんの左からのショットでは服の横にボタンが並んでいたりするのもツボを刺激されます。

絵本ならではの世界で、、ヨカデス。



この他にもにぎやかなメンドリの学校に転入してしまい苦労するアヒルの話や、意味は絵からもタイトルからも量れない、でも絵と色使いはおしゃれで楽しいものや(この作家はフランス人のDidierさんと言います。ピエロ鼻がキュートな28才)、お国柄がはっきりと出ていて面白いものや、本当に盛りだくさんの展示でした。

今月29日までなので会期中もう一回くらい行こうかなと思います。