うちの前の家は古かった。
リフォームはしており内装はきれいだったが、
入居時点で既に築20年。
建物自体は軽量鉄骨造でしっかりとしていたが、
サッシ・ドアとかの細かい傷とかを見てみると、
やっぱり築20年の歴史は隠しきれない。
それでも、結婚する時に入居を決めた。
不思議と自分では古臭さとかに抵抗が無かったからだ。
それもそのはず…
「その家は自分が生まれてから14歳まで住んでいたから」
「古い傷も自分がつけたものだから」
いわゆる親の持ち家がそのまま残っていたのだ…
いま思えば、前の家もなかなか住み心地が良かった。
建物自体は決して広くは無かったが、どこに居ても家族の温度が感じられた。
しかし、良いことばかりではない。やはり冬は辛い。
自分の住んでいる地域には冬が6ヶ月近くもある。
「半年近くってことじゃん!」
そう。そのとおり。雪もハンパなく積もる。
1階の居間の窓、食堂の窓は例年埋まっていた。
外から見ると、カマクラにでも住んでいるようだった。
そのため、雪が降る前の「窓の雪囲い」作業は恒例行事となっていた。
しかし、ちょっとでも「窓の雪囲い」作業を怠ってしまったら、
必ずといっていいほど、氷柱が窓を貫通してくる。
これは痛い…身体は無傷だが、財布が痛い…激痛が走る…
古い家なので、すきま風もピューピューと容赦なく攻撃してくる。
それでも家族で身体を温めあって10年間過ごした。
この間の住宅に関する借金は0。
貯金もしようと思えば出来たはずだ。しかし出来なかった。
なぜなら、「車の借金大魔王」が既に降臨していたからだ。
車の買い控え、子供の作り控えがこの時期にまったくできなかった。
結婚してからというもの、車の借金返済が途切れたことは無かった。
それに加え…
ある日突然、あいつが突然降臨してきたのだった。
そう…3,250万円というメガトン級のものを背負って…
あいつが降臨してきた当時、自分で住宅を建築することなどは、特に積極的には考えていなかった。
なぜなら、越冬するのは厳しいが、特に前の家に不便を感じていなかったから。
けど、自分が歳を重ねれば、周りも歳を重ねている。
先輩たちが家を建て始める時期にきていたのだ。
その中の一人の新築住宅を見た時に自分は衝撃を受けた。
「何?このでかいテレビ…」(50型プラズマ)
「何?このテレビの横にある立派なスピーカーは…」
そう、その先輩はホームシアターシステムを完璧に構築していたのだった。
格好いい…自分も欲しい…(←この時点で既に降臨)
「決定~」(←心の中の叫び)
ただそれだけで自分も住宅を新築することを決定した。
そこから住宅の完成まではあまり時間を要さなかった。
なぜなら、一家全員が新しい家を建てることに反対しなかったから。
かくして、ついに生涯(たぶん)最高額の借金を背負うこととなった。
「買ってしまったら何とかなるべ!」
うちはいつもこれだ…
後の苦しみより、その場の楽しみを優先してしまうのだ…
35年ローン…長いッス…
しかし、あまりにもゴールが遠いためか、現実感が無い。
それが住宅ローンの良いところでもあるのかな。
しかし、このお気楽な習性が次回に発表する「ギャンブル編」で痛い目を見ることになる。
この時点での借金額:およそ3,500万円ナリ