以前読んだアンソロジーの中に、小池真理子さんの「スワンレイク」という短編小説があって。
物悲しいストーリが印象に残っていた。
機会があれば長編小説を読んでみたいな、、、と思っていた作家さん。
 
予約した本たちが、なかなか私のところにやってきてくれないので(笑)
図書館で物色中に目が合ってにひひ、読んでみました。
 
 
           蜜月          小池 真理子
 
        若くして天才画家の名を手にした辻堂環。
        彼の突然の訃報にふれ、6人の女性達の記憶が蘇る。
        それは、それぞれが環と過ごした、短くも濃密な日々。。。
                
 
才能と美貌、名声、、、誰もが羨むものを手にしているかのような男、環。
でも、彼が本当に欲しかったもの、求めていたものは、手に入らない。
それが何かさえも、彼にはわからないままだったのかも。
 
環が18歳から亡くなる44歳までに出会った、6人の女性との日々を順に描いている。
性格も境遇も全く異なる女性達との出会い。
時に奔放に、狂気に、唐突に。
でも、真剣に。
環の思いは、誰も気付かない挫折や屈折、失望が渦巻く中で、
彼女たちと過ごす時間に安らぎを求めていたのかもしれない。
 
硝子のように脆い男、環。
でも、女たちは強いのだ。
環と共に堕ちていくように見えて、実は環を支えながら生きている。
そして、やがては彼と離れて生きていくことを選んでいる。
 
激しい恋を描きながらも、嫌悪感が残らなかったのは、
わかりやすい文章と、極めて魅力的な環のなせるワザか。。。
いや、私が彼女達だったら、、、やっぱり惹かれていくかも。。。って思ったので(^o^;)
そんな風にどんどん引き込まれていくストーリーだった。
 
過去に思いを馳せる時って、、、ある?