「…秘密です」

そう云いながら、永くて細い人差し指を立てて唇へと当てて、

綺麗な薄い碧の瞳を細めて愉しそうにと少し意地悪気に微笑む、

そんな貴方の、1番の“秘密”を何時か私に教えてくれる其んな日は、訪れてくれますか―?

xX Secret x Secret xX

「ゼンさんっ!」

小さく華奢な体に其れから、誰から見ても可愛らしくて丸で女の子その物だと云う位に愛らしいその外見に、

高く柔らかく可愛い声に其れから、小さな歩幅でたたっと駆け寄り、

嬉しそうにと花の様な笑顔を浮かべるその様に、

「これはこれは…りる様、お久しぶりでございます」

一瞬、ほんの一瞬のその瞬間、“完璧な執事”の仮面は剥がされ、

ふっと嬉しそうにと揺らぐ薄い碧の其の瞳。

「はいっ、ゼンさん、お久しぶりです!今日は、ノンちゃんは…?」

「ノーブル様でしたら、本日は…」

唯のパーティーに訪れている、一般のお客様何かでは無い、何故なら…

「…こんな所にいた」

誰もが1度は憧れ、きっと其の人に恋をする、世界中の女性をも虜にさせてしまうであろう、

“金色の髪に、青い瞳の王子様”の―

「ウィルっ!」

ぱぁっと、其れこそ光輝く様な、先程よりも更に嬉しそうでいて幸せそうな笑顔が向けられたその先で。

「…全く、キミは瞳を離すとすぐに姿が見えなくなるから」

一瞬、例え1秒たりとも離れたく無い、ずっとずっと、1番近くで一緒にいたいと、“王子様”は願っている筈で。

「ウィル…ごめんね…お水を貰おうって想ってたら、迷っちゃって…」

大きな澄んだ、きっと世の中の濁りも汚れも全く識らない、綺麗な瞳でじっと見上げられたのならば、

“王子様”は、青い瞳を眩しそうにと優しく揺らして、

「そうだね…りるは今まだシャンパンは飲めないから…」

今日はりんごジュースでは無くていいの…?と、普通決して表情を崩さない王子様は、

パーティー会場と云う公の場では珍しく、

ははっと微笑って、愛おしそうにと、小さな“お姫様”の人柄その物の様な柔らかくふわふわとした、

パーマの掛かった永い髪をポンポンと撫でて。

「ウ、ウィル…っ!今日は、お水で、大丈夫だもん…っ」

かぁっと色の白い肌を真っ赤にと染めて、

ちょこちょこと小さな其の手でウィル王子の白い正装の端を引っ張り、

丸でじゃれ合うかの様な2人を見つめているのは、又しても、

普段は決して崩れる事の無い“執事”の仮面を付ける事すらも忘れてしまって、

少し寂しそうにとぼんやりと移ろい佇む薄い碧の其の瞳。

…でもね、そんな一瞬の表情に気が付いているのはきっと、私だけで…

「それでは直ぐにお飲み物をお持ち致しましょう」

…ほらね、もう普段通りの“完璧な執事”の仮面を付けてる…

「あぁ、ゼン、りん…」

「ゼンさん、ありがとうございますっ!」

何かを云いかけたウィル王子とほぼ同時に、プリンセスのりる様は、にこっと笑って、

素直にお礼の言葉を口にする。

純粋で、見た目も中身も可愛らしくて、ふわふわとした、

リボンやレースの付いたドレスの似合うりる様の姿を見ながら、

私はもう何杯目かも数え切れない位に口にしつつも表情1つ変わらない、ワインのグラスを傾け、

高いヒールを履いたのならば、

下手をすれば王子様と近くなってしまう程に無駄に永いだけの此の身長に、

飾り気の無いリボン処か模様すらも無いシンプルなドレス姿の自分と比べてしまい、

想わず溜め息が零れてしまいそうになる。

…きっと、世の中の男の人は皆、私みたいに見た目も中身も可愛気の無い女の子よりも…

そう想いながら、茶色くふわふわとした永い髪を下ろしたりる様とは、何もかも真逆な、

漆黒の髪を1つに束ねてアップにした自分の頭をぷるぷると揺らす。

…ううん、きっと、ゼンさんは、りる様の事を…

可愛い気が無いと云うのは、何も無駄に永いだけの手足だけでは無くて、

女だからと唯其れだけのそんな理由で、

蔑まれるのが悔しくって、必死にひたすら励んだ努力を重ねた賜物の、

頭の回転の速さも生きて行く上では必要だとしても、

“好きな人”の前では煩わしくって必要の無い物かも知れない。

…ねぇ、でも、ゼンさん。

貴方の“秘密”を知ってしまったその瞬間、

其れよりも更に、もっともっと、深い“秘密”を、何時か私に教えてくれますか…?

Xx Secret x Secret xX
大好きな、

『王子様のプロポーズ』

2次小説です☆

今回のお話の、

『臆病者は、恋を嗤う』

は、ゼン執事のお話です☆

『臆病者は、恋を嗤う』

で、1番描きたかった所は、

…だけど俺は本気でウィル王子のプリンセスを…りる様を、奪ってしまいたかった訳では無い。
手には入らない自分の物にはならないだからこそ、理由を付けてセーブをして迄守りたかったのは、
弱く愚かな自分自身―

です☆

1番最後の、

**Top Secret**

は、1番最後の部分の、

ずっと心に秘め続けてきた最大の“秘密”にそれからもっと自分でも信じられない様な更に大きな“秘密”をと、
この私が埜乃様に対して打ち明ける事は、今は未だ、先のお話…

と言う意味が込められています☆

Next≫≫ゼン執事? “ Secret x Secret”


本当はきっと、只理由が欲しかっただけなのかも知れない。

臆病だから、認める事が怖かったから、肯定する事を懼れて否定ばかりして。

何かを欲して手に入れたその先の失ってしまう絶望感を知ってしまっているだから、

理由を付けて守っていた物それは、愚かで醜い自分自身―

“臆病者は、恋を嗤う”

「ゼンさんっ!」

…何て可愛らしく笑う人なのだろうと想った。

幼い見た目に小さな背丈に、にこにこと花の様な笑顔を浮かべて。

態度にそして表情にと想った事が全て出てしまうであろうその真っ直ぐな嘘の付けない性格で、

びくりと小さな肩を竦ませる、

ジョシュア王子とキース王子に対してと全く違う反応をこの私には見せてくれていて。

「これはこれは、りる様…お久し振りでございます」

自分でも無意識の内に、ふっと薄い碧の瞳は優しくそして穏やかに細められていて。

誰かの物を欲しいと想った事何て今までに1度も無い、ましてや、

フィリップ王国の次期国王ともなられる御方のウィル王子の、

愛してやまない最愛のプリンセスを自分の物に…だ何て、

本気で考えた事は1度も無い。

だけど、それでも惹かれる。

幼さの残るまだあどけないその表情にと、その心の奥底に有る優しさ故の真っ直ぐな強さにと。

…誰に対しても、相手が誰でも決して態度を変えたりしない。

そんな人間に出逢った事はきっと今までの人生の中で初めてだったから。

口ばかりか態度迄悪い、何度注意しても相変わらずな見習い執事のテオからしたのなら、

“只高い宝飾品を身に纏っただけのバカな女”

と揶揄されるのも納得出来る程に見た目ばかりを着飾って上の者には媚び諂い、

下の者を見下す様なそんな愚かな人種が、

女性その物だと想ってしまう其れ程迄に醜く汚い世界でずっと生きて来ていたからかも知れない。

「ゼンさんっ、今日はノンちゃんは?お体の具合は大丈夫ですか?」

きっと心を許してくれているのだろう、

崩れる敬語に愛おしくそして可愛らしく想い微笑ましい気持ちに生まれる物は、

他とは違うと言う優越感。

何も相手がこのノーブル・ミッシェル城の主だからと言う訳では無い、

名も知らぬ只の一介のメイド相手にでさえも変わらず別け隔て無く、

体調は大丈夫かと心の底から心配し、そこには裏も表も打算何て物は一切持ち合わせて等いない。

「はい、ご心配有り難う御座います。ノーブル様は変わらずにお元気でいらっしゃいますよ」

そう言うと、幼い表情を更に崩して、良かったと、心の底から嬉しそうにと微笑んで。

きっと恥ずかしがり屋なのだろうと、本当は余り表舞台を自ら好む事は無いであろう控え目な性格ながらも、

一生懸命にプリンセス修行にと励み、それから…

「あ…っ、ウィルっ!」

誰に対しても態度を変えないとは言え、たった1人。

きっと世界でたった1人の王子様に対しては…

その人の存在を見つけた唯それだけで、心の底から嬉しそうにと微笑み、幸せそうな表情を見せる。

「りる…それにゼンも…」

こんな所で2人で何を話していたの?と続く会話のその先で、愛おしそうにと頭を撫でられ、

唯其れだけの些細な事でも真っ赤になるその穢れを知らないその純真さとその一方で、

きっとウィル王子だけしか知り得ないであろう表情にとを想像すると、

正直嫉妬と羨望で醜い心は覆われ渦を巻く。

…だけど俺は本気でウィル王子のプリンセスを…りる様を、奪ってしまいたかった訳では無い。

手には入らない自分の物にはならないだからこそ、理由を付けてセーブをして迄守りたかったのは、

弱く愚かな自分自身―

大切な物を失う怖さを幼い子供の頃に知ってしまっている俺は、

恋だとか言う好きだとか愛しているだ何て其んな甘い感情を嘲笑う事でしか、

認める事すら出来る勇気を持てない儘でいたんだ…

そして其んな日々を過ごしていると―

「なぁ、アイツだろ?」

何度言っても治らない寧ろ治す気等甚だ持ち合わせていないかの様な、

テオの口の悪さにほとほと呆れていると、

テオの視線のその先には、

凜とした表情で真っ直ぐに伸びた背筋で漆黒の永い髪を1つに束ねてアップにし、

真紅の口紅に同じ色の高いハイヒールの良く似合う、

シンプルな飾り気の無いドレスでパーティー会場に佇む1人の女性がいて。

「ンだよ、すっげー頭良いとかじいさんから聴いてたから、どんな偏屈で石頭かと想ったら、

 つーかめちゃくちゃイイ女じゃんか」

…はぁ、全くこれがこのノーブル・ミッシェル城に仕える幾ら見習いとは言え執事の言葉遣いかと想うと…

頭を抑えて、はぁっと大きく呆れながら溜め息を付くと、

「お、こっち見た」

図々しいのか其れ共良く言ったのなら有る意味大物なのかと、

相も変わらずなテオの調子に頭を悩ませていていると、

ほんの一瞬、その女性が…これから先にこのノーブル・ミッシェル城でと深く関わる事となる埜乃様が、

こちらを振り向きその瞬間、少しだけ真っ白な頬が赤く染まった様な気がした物の…

ずっと心に秘め続けてきた最大の“秘密”にそれからもっと自分でも信じられない様な更に大きな“秘密”をと、

この私が埜乃様に対して打ち明ける事は、今は未だ、先のお話…

**Top Secret**