$hashikawa's blog


以前このブログでも紹介した、ヴァイオリニストの宮本笑里さん。
震災の影響で延期となっていたご自身のリサイタルツアーの振替公演が、GWより開催されるようです。

「live image 11」にも参加し、今まさにその全国ツアーの真っ只中のようですが、
実はツアー序盤、2月末に行われた大阪公演を聴きに行っていましたので、その時のことを少し。


会場は、満席時残響が2秒となる先進音響技術を導入して設計・建設された、
1982年誕生で日本初のクラシックコンサート専用会場となる「シンフォニーホール」。

「聴く」というよりは「感じる」「浴びる」と言った言葉の選択が近いような、
「会場そのものが楽器」と表現される緻密に計算し尽くされたシンフォニーホールなだけあり、
エレクトリックな制御を受けないナチュラルな響きが豊かに伝わる珠玉の音響空間でした。

ちなみに、試験会場での携帯電話の不正使用問題が話題となった時によく耳にした、
「通信機能抑止装置」がホール内には導入されており、携帯電話の電波は見事に圏外でした。


クラシックに馴染みの薄い層への門戸を開く効果も狙うという意味で、J-POPに寄せ、タイアップ曲や、
カバー曲を多く演奏するのかと思いきや、意外とクラシックの比率が高かったように思います。

本編の最後に演奏されたのは、4つの楽章からなり約20分間の演奏が続く壮大な楽曲、
ベートーベンのヴァイオリンソナタ「春」でした。

耳馴染みのある、ポピュラリティーの高いカバー楽曲がもっと聴きたかった感もありましたが、
伝統と革新の均衡という意味では、絶妙のバランスだったのかもしれませんね。


美しく響く典雅なテーマをもって快い緊張感と情熱を奏でる、俊英で才媛な音楽家の演奏は、
感受性の入口を大きく拡げてくれるような、美し過ぎる優美なる名演でした。

振り替えられる各地の公演でも、耽美なる時間と深い感動を届けてくれるでしょう。


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内外からの高い評価を得るシンフォニーホール外観。
宮本笑里さんのヴァイオリンと、デリケートな音の世界を最上の響きで届けてくれました。