$hashikawa's blog


2009年11月19日(木)
swirling op.4 @心斎橋soma
cast : Vagainst / ANP / INSTINCT / staphyloccocus / RINSKE

アウタートが主催する新人発掘ライブイベント「swirling」を、心斎橋にあるライブハウス「soma」で開催しました。
イベントごとと言うよりは、新たな才能や希有なセンスとの出逢いを求めたオーディションのようなストイックな場という位置付けで、アウタート創設以来、定期的に開催してきました。
第4回目の開催となる今回もたくさんのお客様の来場で感謝に溢れ、様々な感性を持った個性あるアーティストが集う良い夜になりました。

新人発掘を目的とするこのイベントの説明は、イベントタイトルであるこの「swirling」という言葉の意味に集約されているので、少しだけこの言葉の意味を解説します。

この「swirling」(スワリングと読みます)という言葉の持つ意味。
「swirl (=渦)」という単語の現在進行形で、直訳すると「渦巻く」「渦巻きを起こす」という意味です。
これだけでも、新時代を築く若きアーティストを探すイベントの冠としては充分に相応しいかなとも想うのですが、実はもうひとつ、ワインを飲む時にグラスを回転させる所作を「スワリング」と言います。

-熟成したワインを空気と触れさせることによってより香りを引き立たせる-
という「スワリング」の目的から、「テイスティング」というニュアンスも含んでおり、
「アーティストの感性は創り手のエゴではなく、お客様に届いてなんぼやろ」
というアウタートが標榜する哲学にも綺麗にリンクしてきます。


ちなみにスワリングをする際のマナーとしては、万が一グラスの口からワインがこぼれ出た際に、こぼれ出たワインが対面する相手に掛からないよう右利きの人は反時計回りに回すのだそうですが、そもそもこぼれる程回さなければ良いわけですね。

更に、右に回すとフルーツを感じ、左に回すと土やミネラル、樽香を感じられるという、ソムリエの間では有名な迷信(?)だってあるそうです。
最近はメディアなどでも取り上げられるようになり(ソムリエをテーマとする漫画を原作としたドラマもありましたね)、この「スワリング」という動作をファッションで捉え過ぎな傾向が強いようです。

もともとは食事と一緒に楽しむことを目的とした「食中酒」であるワイン本来のアイデンティティーを無視し「ワインバー」なるスペースでワインのみを味わうのも、言ってみればおかしな話なのだそうです。

更にちなみに、どんなワインでもそうですがデリケートな長熟ワインなどは特に、あまりスワリングをし過ぎてしまうとワインが持つせっかくの香りが飛んでしまうのだそうです。
動作がハンサムだからといってやり過ぎていると、「コイツ駄目だな…」と想われてしまいますよ。

まぁ好みのスタイルで自由に味わい、楽しんでもらえば良いのでしょうが、色々なウンチクは一応頭の片隅にでも入れておいて損はないと想います。


と、だいぶ話が逸れてしまいましたが、この「スワリング」について色々と調べていた際に見つけた一節が、このイベントのタイトルを決定づけました。


「プロはワインの仕入れ時にそのワインの数年後の姿を見極めなくてはならない。
 なぜなら、5年後に美味しくなるワインを5年後に仕入れていたのでは、
 市場に出回る絶対数の少なさや、5年間の保管コストに影響される
 価格高騰の波に飲み込まれてしまうからである。

 プロのプロたる姿、それは、将来性を見抜くこと。
 そして、ある意味ではトレンドの先取りである。
 そう、つまり、プロのスワリングには素晴らしい意味があるのだ。」


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pic.
独特の感性で、世界観のあるステージを観せてくれた「staphyloccocus
誤解を恐れずに言うと、中々の「素敵マニアックバンド」でした。