コンコン 俺はドアのノックした。
「営業の徳谷です」
「入れ」
「失礼します」
中で待っていたのは入社以来顔を合わせたことのなかった
社長の長谷川と副社長の宮田だった。
俺の働いている会社は実際副社長の宮田が動かしているといっても
過言ではなく社長の長谷川は会社に来ることがほとんどなく
毎日接待といい飲み歩く毎日らしい。
そんな長谷川を心よく思っていない宮田が
社長の座を狙っているとこの前松田と飲んでいるとき
言っていたなぁと俺はふと思い出していた。
「なにをしている!さっさと座りなさい」
宮田の声が飛ぶ。
「あ、すみません。
それで今日はどういった理由で僕は呼ばれたのでしょうか…?」
「それはだな…」
宮田が困惑気味に一枚の紙を俺の目の前に置いた。
「これはなんですか?」
「お前はこの紙に見覚えはないか?」
俺はその紙を手に取り読んでみたが内容に全く身に覚えはなかった。
嘘憑きは泥棒のはじまり
ルール1:一日一つ嘘を誰かに憑いて下さい
ルール2:一日一つ誰かに憑かれた嘘を
見破って下さい
ルール3:どちらも守らなかった方には
死んでもらいます
注意:相手の嘘を見破ったとき「泥棒」と言って下さい
「おい…おい徳谷聞いてるのか?」
「え、はい」
「どうだ?なにか身に覚えはあるか?」
「い…いえ、さっぱりです」
それはそうだ、いきなりこんな紙切れを見せられて
訳のわからない文章をみても思いつく事なんて一切ない。
しかも「死んでもらいます」ってありえないだろ…
こんなしょうもない事で呼び出されたのなら
部長の言葉を無視して昼飯を食うべきだった。
なんなんだ!この会社は…。
俺は無性にこの会社を辞めたくなった。
「そうか…わかった仕事に戻ってくれ」
「失礼します、あっ宮田副社長聞きたい事があるんですけどいいですか?」
俺はなぜこんな事を言ったのか自分でもわからない。
「社長の椅子を狙っているってのは本当ですか?」
「なにを言ってるんだ君は!いいからさっさと仕事に戻れ」
「…泥棒」
「ん?何だって・・・」
「いえ、なんでもありません。失礼します」
そしていつもと変わらない一日が終わった。
でも一つ変わった事があるとしたら日付が変わる頃宮田副社長が死んだ…。