なんかもう凄い映画、って感じです。基本はジャッキー・チェンの作品を思わせるカンフーアクションものなのですが、それを実現するのがマルチバースという。エンドゲーム以降のMCUでその名称の認知度が上がって一般化とはいかなくても物語を語る上では説明が必要なくなっているとは思います。

そのマルチバースというのが今作において、主人公であるエヴリンが「あの時、違う選択をしていれば」というところで描かれていて、誰しもが人生の選択に対する後悔や期待みたいなものを自分の体に取り込んで、今目の前の問題に立ち向かっていく設定かと思います。エヴリンはレズビアンの娘を容認できずに父のせいにしたり、優しいだけの頼りない夫との冷めた関係であったり、自分が経営するコインランドリーの問題だったり、「なんで?」という現実に対する悲嘆しているキャラクターがそのマルチバースを取り込んでいくことで変わっていく、娘を助けたいという想いだけで成長していく物語なのだと思います。

しかし、その陰には同性愛や移民に対する差別があったり、どんな世界線でもウェイモンドはエヴリンのことを愛していたりと、複雑で色々と思いを馳せるコトができる作品なのが素晴らしいです。そして何よりも、マルチバースと繋がるために「バカバカしいコトをしないといけない」という設定が最高にコメディで、ちょっとやりすぎな気もするくらいのネタでゲラゲラと笑わせてもらいました。