阪神・伊藤隼が蓄えてきたエネルギーを白球にぶつけた。七回1死一塁。浮いた変化球にフルスイングすると、右翼手の梶谷が背走をあきらめた。到達点の揺るがない飛球が悠々、オーバーフェンス。昨年5月8日の巨人戦以来、424日ぶりの1号2ランでリードを5点に広げ、ベンチで西岡と思いきり抱き合った。
福留の休養日に今季初スタメンが巡ってきた。「先発と言われた時点で緊張していた。守備でも1球1球ドキドキしていたけど、緊張することは悪いことじゃないと思って、打席では自信を持ってやれた」。1、2打席目に凡退も、初球からスイングできたことで「調子は悪くない」と確信。3打席目は2球目を右前へ運んで、今季初安打。4打席目に「一番アピールしたい形」でプロ3号を奏で、5連勝に貢献した。
昨秋の安芸キャンプで掛布DCと出会った。その打撃理論に心酔し、自宅まで通って教えを請うた。年が明け、沖縄キャンプで掛布流を実践すると結果がついてきた。2月、3月の実戦打率は・289、1本塁打。11年のドラ1は3年目を「勝負」と位置づけ、定位置獲得を狙った。
開幕前に2軍降格したが、「モチベーションをキープできた」。次々に外野手が昇格する中、2軍暮らしは続いた。リハビリ中に共生した西岡が「頑張っていた」と振り返るように、腐らず出番を待った。2軍で打率・283(リーグ6位)、6本塁打(同4位タイ)、30打点(同4位)。掛布DCから「ファームでやってきたことをやってこい」と送り出され、この日2安打2打点。期待に応えた。
「また使いたいと思わせてくれたよ」と和田監督。はい上がってきた大器は「多くの方に指導してもらって…。感謝したい」と、大きな目を輝かせた。