手術前日の麻酔医の先生から、
事前に説明は受けてました。

全身麻酔中は呼吸も止まるので、
鼻に管を通し、気管を通して肺に酸素を送り込む。
これは麻酔がかかってから管を通すので
違和感はありません、
手術が終わったら即抜きますので不快感はありません、
鼻の穴に少し違和感が残るかもしれないけど
深刻なものではありません、と。

母が癌で手術をした時、消化器だったので
この管を胃にまで通し、
その管から胃液を送り出して
逆流しないようにしていたのですが、
母の時は手術室へ行く前に管を通しました。
これがなかなか入らず……
すごく苦しがって。
そのまま手術を受けました。
管はしばらく、1週間以上とれず、
早く取りたい、取りたいと言ってました…

今はその違和感を患者は感じることがないんですね。
私の時は、麻酔が切れて声をかけられてすぐに
「管外しますね」と言われて、
ひゅるっと抜けた時に、
あ、鼻の穴でかくなって痛え、って思ったけど
不快感はありませんでした。

母の時も、そうだったらよかったのに。
苦しそうに咳してた姿を、病室に帰ってしばらくして
思い出しました。

不思議ですがこの時、歯の手術した方はまったく
何も感覚なかったんですが、
鼻の穴は「ちびっと痛い」と感じたんですよね。
おもしろいですね。

で、今時の麻酔はすぐ覚めます、と聞かされていた通りでした。
ホントにすぐ意識は回復します。
鼻の管を取り、手術台からベッドに移動する際、
「動けますか」と問われたのに
「はーい」(と返事したつもりだけど返事になってませんでした…)と
反応し、
もごもごと芋虫のように体をずらして
ベッドに移れたんです。
もちろん、手助けをしていただきましたが、
体も動くということにはホントに驚きです。

ただ、目は開けられませんでした。
まぶしいというか、起き抜けで目がさめにくいような、
まぶたが開けにくかったです。

即、ハイケア室へ移動し、酸素吸入を受けます。
事前に聞いていた時間は1時間から2時間程度。

結構意識は鮮明ですけど、時間的感覚がなくてですね、
周りがなんだかんだと動いてるのはわかるけど、
うーともあーとも言えない、
なんとも言えない感覚の中にいたのは、
ほんのわずかな間。

まず、すごーーーーーーく、ものすごーーーーーく
気持ちが悪くなりました。
吐きそうだけど吐けない、
そうですねえ、インフルエンザかひどい風邪ひいて
不快感に苦しむ感じ。

この頃時間的な感覚がよくわからなくて
どれくらいだったのか…
けど、延々長く続くものではなかったです、
せいぜい30分程度かなあ…
でも、めちゃくちゃ気持ち悪かったです。
実際に高熱が出てます。
だいたい38度くらい?
これは麻酔をかけた事による反応なのだそうです。

けど、すぐにそれは収まり、
熱も収まります。
吐き気が伴う不快感と前後して、次に来たのは
のどのいがいが感。
ベッドを見ると、枕があるあたりには
事前に用意したバスタオルが敷かれ、
脇にはティッシュボックス、
そしてベッドのヘりにはビニール袋。

そうです、このいがいが感が痰を伴うもので、
もう、止まらない止まらない。
この痰で不測の事態で汚さないように
バスタオルが必要なんですね。

看護師さんの指示で痰はどんどん出して下さい、と言われ、
ばかすかぬぐっては出し、出してはぬぐってを繰り返しました。
もう止まらない止まらない。
酸素マスクして、ティッシュで拭いて、
またマスクして、すぐティッシュ出して。
もちろん、口の中はKISSのジーン・シモンズ状態ですから、
血だらけです。
血まじりの痰がとまりません。
これはハイケア室から出てからもしばらく、
その日は夜まで続きました。

場合によってはティッシュ1箱では足りない人もいるかもしれない。
不安でしたら2箱用意されておくといいかもしれません。

そんだけ血がばかすか出るということです…

当たり前ですよね
歯茎を切開し、縫合した箇所が2カ所あるんです。

時計がないので、実際に手術が終わったのが何時くらいで
ハイケア室にどの程度とどまっていたのかはよくわかりません。

が、ティッシュで痰を何度も出してる最中、
まず、上あごの奥歯あたりに痛覚を感じ、
それから程なく、今度は下あご、
特に大幅に骨を削ることになると言われていた左顎に
ぐーーーーっと押さえ込まれるような違和感がじわじわ。

これは。

来る。

痛くなる、絶対!

うわー、やばいーーー!!!
きっとがまんできないーーーー!

そうです、この頃まで、患部の痛みはまったく感じてませんでした。
痛みが気になりだした、イコール麻酔が完全に切れたと
いうことなんではないでしょうか…

ちょうどお越しになった看護師さんに
「どうですか」と様子を聞かれ、
もう顔が「痛い」と訴えていましたので
「ちょっと…なんか痛くなりそうです」と泣きを入れ…

根性なしですんません。

まだ術後すぐなので経口薬は服用できないので、
座薬を入れてもらいました。
人生初座薬です。
これ入れたら、ほんとにすーっと楽になりました。
座薬、おそるべし。

座薬を入れてしばらくした頃だったでしょうか、
K先生がいらっしゃいまして、
手術について説明をされました。
予定通り終了したこと、今後起こる症状について
説明を受け、摘出した歯をいただきました。

1本、上あごは普通に抜歯できたので
特に縫合はしてないとのこと。
下あごは予定通り切開して歯を摘出して
骨を削り、こちらは縫合したと。

渡された、少し前まで体内に収まっていた歯は、
ビニール袋にの内側に血がまじり、様子は生々しく、
そして木っ端みじんでばらばらでした(苦笑)

見事にばらばらですねーとつい口にしてしまったら
原型をとどめて抜歯すると骨をうんと削らないと
いけませんからね、と。
これ、組み立てたら元の歯の形になりますか? と
ホントにあほなことを口にしてました。
そりゃ無理だと思いますよ、と先生苦笑しきり。

酸素マスクも外れ、ベッドに乗せられたまま
病室に戻ります。
不思議な感覚でしたね、ふわふわして、
ごろごろ移動していく…
なんとも言えないものでした。

この時、手術着はまだ着たまま。
点滴は手術室で針がさされたまま。
布団の上でごーろごろすることしばし。
起きて座っててもいいですよ、とは言われましたが…
それ、無理。できませんって。

なのでごろごろ…
座薬が効いてましたので強烈な痛みはありませんでしたけど
それなりに顎の下は感覚が微妙。

当然ですよね、手術して数時間も経ってないんですから。
でもホントに麻酔って冷めるの早いですねー。びっくりでした。

(この項。続きます。)