僕の子供時代は学校から帰ると大抵16時台は主に時代劇か刑事物などのドラマが、そして17時台からはアニメがそれぞれ再放送でテレビ放映されていた。

それを楽しみに帰宅していたものだが、中でも印象深かったドラマのひとつに『西遊記』があり、毎回楽しみに観ていた。

後年に何度か役者を替えてはリメイクされていたが、僕的にはやはり堺正章、夏目雅子、西田敏行(part-Ⅱは左とん平)、岸部シロー、(part-Ⅱには加えて藤村俊二)の各氏による西遊記が一番しっくりとくる。
当時はCGなどないから、ジオラマや合成で成立させていた為、子供の目にも「あぁ、このシーンは作り物だ」とすぐに判るのであったが、それを差し引いても充分内容は楽しいものだった。

辛い生い立ちを受け入れ、悪人に対しても経を上げ弔う清い心を持つ三蔵法師と、破天荒で陽気な悟空、女好きでお調子者な八戒、冷めた態度なのに何処か憎めない悟浄たちが、時にいがみ合いながらも、最後は助け合い、苦しむ民のために有難いお経をいただく為に旅をする三蔵を護りつつ天竺を目指す姿は子供心にも観ていて爽やかで心温まるものを感じることができた。

そして、そこに流れる音楽も素晴らしかった。
言わずと知れた『ゴダイゴ』の名曲たちが、ドラマの各部に惜し気もなく散りばめられていたのだから。

その中でも、劇中の感動的なシーンで必ず流れていたのが『Thank you baby』だった。

比較的短い上、挿入歌のひとつに過ぎなかったのに、歌詞と曲が瞬時に心を鷲掴みにするこの曲には、
『人は誰しも昔の幸せな日々が忘れられず振り返ってしまうし、辛い過去や別れも経験しながら今を生きている。
でも、そこに留まっていてはいけない。気持ちを切り替え、前を向いて進むことで新たな幸せと、生きる喜びが見出だせるのだ』

・・・と諭してくれる。

だから、心が荒んだ時、辛い時、気にかかる誰かを想う時などにこの曲を聴くことで、綺麗で優しい心と前向きな気持ちを取り戻すことができている。

こういう曲は稀。
永く後世に受け継がれて欲しいと願う・・・。