マサル、


一昨日人伝に聞いて知ったんだ・・・

この世から旅立っていたということを。

大病患っていたんだってな・・・

君は勿論だったろうけど、
俺だって無念で
未だに心の整理がつかないよ。



高3になっても同じクラスになることが
決まった今頃に
君が初めて貸してくれたアルバムは
Bruce Springsteenの『Born in the U.S.A.』
だったな、今でも覚えてるよ。

帰り道、音楽のことだけじゃなく、
いろいろなことを話したな。

マサルは頭が良かったから勉強を教えて
もらったこともあったし、

その後高校を卒業してからも実家にお互
い居たから、マサルの家に入り浸っては

ハイライト吸いながら
ギターかき鳴らしてみたり、

唯一の洋楽情報源だった
『ベスト・ヒットUSA』の内容で盛り上
がったり、

時には哲学的な話しもしたり、

将来のことなど何も考えずに、
叶うあてもない夢を
語り合ったりもした・・・


俺が君と絡んでたのは、
ド田舎に居る目立って威張ってナンボな
貧乏くさいヤンキー(及びヤンキーになり
きれない更に貧乏くさい小物)どもと、

そんな連中を格好いいと憧れている周り
の田舎者たちの風潮とは違う、

物静かで、頭が良くて、
でもそんなことを鼻にかけもせず、
何故か上品に感じさせる独特の雰囲気を
持ちながら、

マイナス思考な俺と違ってプラス思考だ
から、いつもどんな時も飄々としていて、

俺なら耐えられないような怒りを覚える
場面であっても取り乱すことなく冷静で
何処吹く風の如く態度を大きく変えない
人間性に対する尊敬があったからなんだ。

そして、
俺はそんな君の姿と発する言葉にあの頃、
『マサルはそんな風に考えているのか』
『マサルのようにありたい』という憧れ
の念と元気をもらってばかりだったんだ。



月日が流れるうち
俺は地元を離れていったし、

再び戻ってきてからも
環境が次々と変わっていく中で
君とのやり取りは減っていき、

やがて、どちらからとなく
疎遠になっていったんだった・・・。 


旅立ったと聞いた次の日だった
土曜日の昼下がり、

ふとマサルの残像を追いかけたくなって
久し振りに学校帰りに自転車で通ってい
た道を今度はビートで『Bobby Jean』を
かけながら走ってみたんだ・・・
そしたら、

歌詞と俺たちのことが被ってしまって

運転しながら涙が溢れてどうしようも
なくなったんだよ・・・


サングラスかけてたから傍目には誰に
も気づかれなかったと思うけどね・・・

ただ、
近くの海に面した人けのない堤防に車停
めてからは、憚らずめそめそ泣いたんだ、

年甲斐も無くな・・・格好悪いだろ?

でも、
俺って昔っからそんななんだ・・・

いつかは来るんだろうと漠然とは思って
いたけど、

本当にこんな時が来ると
現実になった途端、
堪らなく寂しくなってしまったんだ・・・。



もう、泣いてしまったし、
そうすると余計に辛さが増すから、
君の家の前まで
昨日行くことは出来なかった・・・

でも、
もう少し心の整理がついたら行くから
許してくれないか?


3月は個人的に別れの印象が強いから、
ただでさえあまり
好きな季節じゃなかったのに、

君が去ったことを
この時季に知ってしまったせいで
また余計、苦手になってしまったよ。


マサル、
俺はまだそちらに行くつもりはないし、
さよならも言わないでおくけど、

何れいくことになった時には
ハイライトをたくさん持ってくつもりさ。

だから、

あちらで逢えたらあの頃みたいに
もう身体のことなんか考えず、

 また夢を語り合いながら一緒に
タバコを楽しもうぜ。


ほんとにありがとう、

マサル・・・


 またな・・・。