昼休み~ニコニコ

お気に入りのサイトをチェックしながらタマゴ屋のお弁当を平らげ、真っ先に向かうはトイレ。

目的は・・・。そう、昼寝である!
ココで寝るの、結構気持ちいいんだ。それに、ほどよい時間に起きられる。

で、本日。トイレに入ると、便座がいつもと違っていたトイレ

何やらブルーのビニール風船のような輪っかに水の入ったようなものが便座に据え付けてある。ほら、風船みたいに膨らまし、自分の首にはめて機内で眠る馬蹄形の枕を大きくしたような感じのもの。中には特殊な液体が入っており、その液体が座った人の体温に反応し、その人にとってちょうどいい温度になる便座らしい。冬は暖かく、夏は涼しく、しかも電気を一切必要としない「エコ便座」って言うんだって。

こりゃ、気持ちいいな!早速その便座を敷いて一眠りすることに。


僕は潜水艦の中にいた。何で乗っているのかはわからない。たしか昔マンガで、日本から独立して単独行動に走る潜水艦の話があったけど、そんな感じで国にも帰らず、海底を放浪している潜水艦のようである。一応外の様子や、海の上の様子は艦内のモニターで見ることができるようになっている。

ところがこの潜水艦、時々不具合が生じるらしく、うっかりしてると海底奥深くに沈んでいってしまう。なので時々は浮上し、日本でメンテを受けないとならない。しかし今回、特に誰もうっかりしていたわけではないのだが、いきなり船体がすごいスピードで深海へと沈み始めた。

ちょっと、深過ぎじゃない? モニターに写る外は真っ暗。十分ぐらい前までは深海魚がいたような気がしたが、ここまで深くなると、もう生物の類はいなくなっている。どこまで深く沈んでいるのだろうか。。底はまだ全然見えない。ただひたすらに沈んでいく・・・。


ふと見たモニターに異変を感じた。生き物が横切った・・・!それもデカい。沢山いる。艦内の人々は皆モニターに釘付けになった。あれは、図鑑等で見たことのあるティラノサウルスではないか!古生代に陸上を闊歩していた恐竜達が何と、こんな深海を泳ぎ回っているのだった。まさか、絶滅した恐竜がこんな所にいるなんて。。恐竜は絶滅したのではなく、深海という新天地を見つけ、人の見えぬ場所で生き延びていたということか?!

「とにかく、早く浮上しましょう!」
船員が口々に言った。幸い、恐竜達は我々を襲うという気配は無い。ただ泳いでいるだけである。しかし何せ体がデカいので、衝突する危険性は十分ある。一刻も早くここから脱出しないと! しかし・・・

「浮上・・・できない・・・。」

舵取りの船員がボソっと言った。
どうしてだ!なぜなんだ!モニターだって、センサーだって、きちんとしてるじゃないか、どこが故障したんだ?! 船員達は口々に詰め寄る。

「本艦は何も問題ない。沈んでさえいないんだ。。」
舵取りは何やらワケのわからないことを言う。とにかく、モニターを見てくれ。口で説明してもわからないと察した舵取り、皆をモニターに注目させた。

「・・・。陸地が・・・、無いっ!波

「信じられないことかも知れないが・・・。」
ずっと沈黙していた艦長がここで口を開いた。
「本艦自体は沈んではいない。むしろ浮上しようとしている。しかし・・・、周りの環境が著しく変化しているんだ。簡単に言うと、急激なスピードで古い時代へタイムスリップしている・・・。太古の昔、ほとんどの陸地は海の底だった。だから水上を見ても全然陸地が見当たらないのだ。」

やがてモニターに写る恐竜の姿はまばらになり、もっと古い時代の両生類や、ウミサソリのような生物へと変わっていった。明らかに海中の時代は急速に古くなっている。まるで分厚い歴史書のページをパラパラと古い時代のページへめくっているかのように、時代は限り無く古くなり、船体は限り無く深い海へと沈んでいく・・・。我々はどこに行くのか、どうなるのか・・・。

「もう私の能力で答えられるのはここまでだが、誰か、他にまだ聞きたいことはあるかね?」
艦長はもう全てあきらめたかのように言った。

はいっ!僕は思わず手を上げ、質問した。


「さっきの『エコ便座』と、このハナシの展開、一体何の関係があるのですか?!」

は?

一同、キツネにつままれたような顔をして固まった。今だ!この悪夢から目を覚ますぞっ!僕は力いっぱい片目を開けた。そして開いた!僕はトイレにいる。もう片方の目はまだ潜水艦内にいる。あともう少しだっ!ウ~っと唸り声をあげながらももう片方の目を見開き、僕は何とか現実社会へと「浮上」したのだった。あぁ、無事トイレに戻れた~。

あれ?

「エコ便座」が無いトイレ

っていうことは、僕はトイレに入ってから昼寝をし、そこでエコ便座を敷いて昼寝する夢を見て、そのまた夢の中で潜水艦の中にいたのである。つまり二重の夢を見ていたため、起きるのに苦労したのであった。

時計を見ると、僕がこのトイレに入ってからまだ十五分しか経っていない。昼休み終わるまでまだあと十分ばかりあるが、今日の所は昼寝もこの辺で終わらせたのだった。