真っ暗な部屋
外は18度だというのに
それに負けない寒さのエアコンの風が
無意味に部屋中を歩き回っている
韓国という異国の地
充実した日々
楽しさや期待や自分の時間がある幸せ
今まで欲しくても手に入れられなかった空間を
全て手に入れた生活
楽しい
とても楽しいし幸せだ
それでも僕は
やはりいつでも僕であり
僕自身が作り出した世界の中で
今日も息をしているようだ
哀愁漂う肌寒い屋上で
1人煙草を吸いながら
過去の事を順に思い出していた
いつもより少し強いニコチンを体に吸い込むと
思い出も
より鮮明に蘇ってくる気がした
手に触れる空気に色を感じた
どこか別の世界にいるようで
少し日本が恋しくなった
いや、恋しくなったのは日本ではなく
そこで生まれていた色や思い出達だろう
受信できないようにしたテレビの
止まったままの青い画面だけを部屋の光に
キャップの蓋で酒を飲んだ
寂しいという感情が生まれた時
その先には何があるのか
見たいような見たく無いような
見えそうになる答えから
目を背け用としてる自分もいる
煙草のケムリに乗せた僕の哀は
街の光の中に
気づかれたくて気づかれたく無いと
少し冷たい色だけを残して
あっという間に消えていった
