父はその当時 一番権威のある総合病院の
産婦人科を選んでいた
いわゆる名医だ
母が産気つくと医者がやってきた
しかし名医ではなく新人の先生だった
父が「○○先生はどうしましたか?」と聞くと
「○○教授は夏休み中なので代わりに私が対応します」と
新人先生は母体を診察すると
「あれ?逆さ子ですね。元に戻るまで待ちましょう」
父と母は何も言えず僕が元に戻るのを待つしかなかった
僕はおなかの中で暴れた。なにしろ外に出たくて
しょうがなっかたんだ
母は暴れる僕に苦しんだ。それが3日続いた
新人先生は
「これ以上待っても元に戻りません。このままでは奥さんが
危険です。今回の赤ちゃんは諦めましょう」
この言葉を聞いた父は怒り狂った。当たり前だ
やっと授かった命。僕もお腹の中でビックリだ
「馬鹿野郎。医者なら両方助けろ」
父の剣幕に新人先生はうろたえて
「では帝王切開しましょう。でも麻酔は出来ません
いいですか」
当時はそれが当たり前だった
母も僕が助かるならと即答した
父の祈り。母の子供を思う強い気持ち
ふたつの力で僕はこの世に誕生した
しかし新人先生の不慣れさとドタバタの手術のため
僕は小さな傷を抱えてしまった
でもその時は誰も気づかなかった
当人の僕でさえ・・・