寒さで目が覚めた。

昼寝をしすぎたせいか眠れない。

カーテンを閉め切った真っ暗な部屋にいるとまだ夢の中なんじゃないかと思う。

部屋の暗さに慣れてきてカーテンの隙間から覗く宇宙のほうがよっぽど明るいと思った。



暗い部屋でいつものように、ルーティンのように、iPhoneを開く。いつものように真珠の耳飾りの(あるいは青いターバンの)少女と目が合う。フェルメールの作品だということは覚えているが、正しい題名なんて忘れてしまった。


Twitterを見ていると私のボーイフレンドだった人が新しいガールフレンドと仲良さそうに一緒に写っている写真が投稿されていた。胸の奥がチクッとしたので、それでまだ好きだったんだなぁと呑気に思っていた。



今日は一日中雨でひとりでどこへ向かうこともなく、映画を見ていた。その中の一本が新海誠監督作品の『言の葉の庭』で雨の日にはぴったりだと思っていた。その作品の中で万葉集の短歌が取り上げられている。

「鳴神の 少し響みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」

好きな人に短歌で気持ちを伝えるなんて昔の人はなんて粋な計らいをするんだろう。


いつもはそんなこと全く考えないのに、まったく暗闇にいると色々なことを考えてしまうなぁ、と思っていた。