愛くるしいゆえの 
凄みを受け止めきれずにいた酒井駒子さん作品。



酒井駒子展で
その凄みにさえ抱きとめられ
手に取ることの少なかった絵本
読みきれなかった絵本を
繰り返し読んでいます。

この愛くるしさに心惹かれて


息子がランドセルで
娘が幼児さんの頃
二人の姿と重ねて
自分のために本棚に迎えました。


3つの小さなお話が収められています。

一つめは
金曜日の砂糖ちゃん。

もう
この甘やかな響きが 物語ですね。

金曜日の砂糖ちゃん
という名前の女の子が主人公。


あんまり可愛いから
野原の虫達が
お昼寝の寝顔を見に来ます。


特に

     かまきりが御執心

だとか。

ごしゅうしん
という言葉は大人でも
日常では、あまり使わないし
こういう漢字って知らなかった。


きっと幼い子達は
はじめまして の言葉 では。

絵本は
普段使わない言葉と出会うのが
大きな魅力。

かまきりも
愛おしくなる物語です。
一途なんです。




二つめは
草のオルガン

今は
こんな 空き地や原っぱ
ないですね。

草の匂いを感じる物語



今日 ぼくは さみしいことが あったから


つまらないことが あったから



知らない道を とおって かえる







そう
子どもにも
こんな日があって

いつも時代も
子どもにこそ こんな日があるから
もちろん私達おとなにも ね。



子ども達には
自然の中で遊ぶことで
より道や
子ども同士で遊ぶことが
癒しと浄化になるのだとか。

この感覚
すごくわかります。

学校が終わって友達と遊ぶのが
楽しくて仕方なかった。

従姉妹達と土と草花の中で
特に どろんこで、コーヒー牛乳作っている時
ものすごく しあわせホルモン なるものが
出ていたのが思い出せます。


平成生まれのわが子は
かろうじて間に合いましたが
外で遊べる友達を見つけるのに
大人が少し頑張らないといけなくて。

今の子ども達は
本当に不憫です。



男の子が行き着いたのは
草はら
原っぱ

ほっと
救われる見開きいっぱいの挿絵です。

そこに
足踏み式のオルガンが あります。


音はならないけど
男の子は


   ドレミッミ ソラソッソ 
         ミレ ドーレーミー

と。

平成生まれの皆さんは
タイトルが、わかるのかなぁ。

最後の言葉からも
この子がどんなに優しくて
もしかしたら
寂しくて
つらい思いをしてるのかも って
想像できるようになりました。



最後のお話は
酒井駒子展で惚れなおして
出会いなおしてきた物語

「夜と夜のあいだに」

夜と夜のあいだに
目をさました女の子は

母親の 引き出しを あけ
白くて ひらひらの
シュミーズ を取り出し

裸ん坊になって着るのですが
幼児さんなのに
なまめかしい のです。

背中の大きく開いたイブニングドレスを
着ているみたいで

この挿絵を描く酒井駒子さんの世界に
圧倒されます。



    触ると 叱られる 針箱

の針山が
綺麗で 可愛いのに
こわい

そう
どの挿絵も
綺麗で かわいいのに
凄みが
儚さが こわいのです。


ドアを開けて
外に出ると
犬達が
王様の馬みたいに
王様みたいに
冠やマントを美しく身につけて待っています。

文字のない挿絵だけの見開きページです。

漆黒の夜空には
沢山の星と細い三日月

この物語レベルの 悪さ をする娘だけど
きっと怖がる気がして
一緒に読んでいないと思います。


この物語が
極上のアトラクションみたいに
暗闇の
真夜中の世界に連れて行ってくれます。



小さな絵本だけど
その大きさが
ちょうどいいです。

フランス映画みたいな一冊です。





静かな しずかな物語
江國香織さんの帯の言葉も素敵です。






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