3月11日が近くと

あの年連日の報道に自分に何ができるだろう
と考ていました。

そんな時
「3・11絵本ブログジェクト いわて」

クレヨンハウスの落合恵子さんの
「ハグ&リード」
という被災地に絵本を送る という取り組みを
知りました。


絵本プロジェクトいわて
を通して代表者の末盛千枝子さんを知りました。







今年になって
末盛千枝子さんが絵本の紹介をされている
この本と出会い
末盛さんを改めて知ることになりました。


子どもさんが6歳8歳という幼い時に
旦那様が突然亡くなられます。

   僕のパパなのに死んだ

という息子さんの言葉に
突然の悲しみへの悲しみや驚き、
どうしようもない想いが伝わってきます。


その後
再婚された旦那様も看取られるのです。

そんな経験をされた
末盛さんの帯の言葉


の言葉は
静かに深く響きます。

     こんなふうに思えたらいいなぁ
とまだまだ自分を嘆く私には光となります。


どのページにも
末盛さんの言葉が凛と佇んでいます。


私は本のタイトルで、本の帯で
もうすでにこの本を抱きしめずには
いられないのですが

たとえば
Part1には

     人は人を思いやる

とあり
末盛さんの言葉がそれに続き
その結びの一行に

    世界にはそれぞれの悲しみを背負って
    生きている人がいるのですから

と。


風の電話

という絵本の末盛さんの想いへと続くのです。

もう会えなくなってしまった人と
話がしたい動物達の物語であり

実際にある岩手県大槌町には
亡くなった方への悲しみに耐えられなくなった
方が話にこられる電話ボックスがあるのです。


どのページも 読む というより
会ったことのない末盛さんの 声 で
読みすすみます。






前回記事の浜離宮での講座に来てくださる方は
皆さん、何かを乗り越えて
今も懸命に乗り越えようとされている方
ばかりでした。
予定では
この日の午後は
午前中を振り返りながら
新たな絵本を読みあい

その時間の中で
この人には、この絵本を
とカードに書いてお伝えして
お別れしようかと思っていましたが

皆さんの集中力に圧倒されて
私も急遽絵本もレベルも高くあげ予定を変更、
ぎりぎりの時間まで熱く深い
皆さんの想いを聴かせていただきました。

お伝えする時間どころか
皆さん総出で片付けてくださり
それはもう、ドリフの生放送のスピード。

一冊だけ
絵本ではない今日のこの本をその日の朝
鞄に入れていました。


一生懸命な あなた に

その日は会えなかったけれど
懸命に悲しみや困難に
さらわれそうになっても踏ん張っている
 あなた に。

心に浮かび 今日
ご紹介させていただきました。

きっとお気に入りのページに出会って
いただけると思います。



昨夜
選書のご予約をくださった方への
絵本を選んで読んでいた絵本も一冊。




主人公の ぼく には
生まれた時からおとうさんがいなくて

母さんがいつも
       男らしくてりっぱ
と話してくれるので

きっと、こんな父さんだ
と想像する物語です。

夕方帰ってくると
        なつかしそうに ぼくを見て

食後に母さんに飲み物を作って
語り合う父さん。

家事もするし

たくさん遊んでくれる。

とにかくお母さんを大切にするんです。


ぼくの友だちを名前で読んでくれて

いじめっ子にからかわれて泣いてたら
コーラを持って 話を聞いてくれる

とうさんにうん、うん、って
聴いてもらったら
こわいものがなくなる

学校からの呼び出しにも

    子どものすることには わけがある

と 聴いてくれる


表紙の絵は
失敗したことを父さんにはなしているうちに
    何が悪かったのか はっきりわかる


こんな父さんが
生きていてくれたらどんなに嬉しいだろう と。


大人には
どんな 大人を求めているか

を気づかせてくれます。

実際にお父さん達に読むと
子どもがお母さんを大切にすることを
どんなに望んでいるか に驚かれたり

だんだん、お父さんも かつての子ども時代に
戻って 絵本のお父さんにトロンとしたり

お父さんが目の前にいてくれることを
喜ぶ言葉に ぐっと堪えられたり されます。

そばに いることを
そこに いることを喜んでもらえると
こんなに嬉しいんだ と


子どもへの態度が柔らかくなる大人が
多いです。


こ絵本の素晴らしさはここでは終わりません。

おとうさんの不在を嘆く ぼくに

     今話してくれた通りの とうさんに
       きっとなるわ

のお母さんの言葉で物語が終わります。


亡くなった方が
人の心の中で生きる

その人がしてくれたことが
自分の中で生きる という感覚を
私も先月母を見送り感じています。


この絵本は反戦の絵本でもありますが
旅立たれた方からのメッセージでもあります。
お伝えできるといいなぁと思いました。


悲しみはなくならないし
今までのようには会えないけど
確実に その人を生かし続ける 人 がいる と。
この人が想う限り その人の中で 
生きていてくれます。

「こんな生かし方もあるんですよ」と
亡くされたお父さんのカレーの味を
引き継いでお店で出されている方の
インタビューの言葉が響いて
この絵本もご紹介したいと思いました。







必要とさせている方に
届けば幸いです。