こんなクリスマス絵本もあります。






本当にあったエピソードで
映画にもなっています。





絵本では
偶然買った古びた机の引き出しの
ブリキの箱に収められた手紙を読み

そこに記された住所を辿り
手紙を届けにいく物語です。


愛しいコニーへ
の書き始めからの物語です。



クリスマスの朝
ドイツ軍の塹壕から無人地帯を越えて

    「メリークリスマス、エゲレスさんよぉ!」

と。

すると
     「ここっちからもメリークリスマス
              ドイツ野郎!」


罠かもしれない、と戸惑うイギリス軍の方に
酒びんを持ったドイツ兵が近づいてきます。


実話なんです!


無人地帯に

   グレーの外套とカーキ色の外套が
      真ん中で一緒になった。


      戦争の最中にわれわれは
         つかのまの平和を作りだしたのだ



それぞれの兵士が自己紹介をします。

       楽団でチェロを弾いている

       学校の教師をしている

 
ラム酒を酌み交わし
ソーセージを分け合います。

夢中で語りあいます。
お互いの国のこと
好きな小説のこと、作家のこと‥。
お気に入りの主人公や登場人物
お互いの愛おしい家族のこと
生まれてまだ6ヶ月の息子がいること‥。


平和で知的な会話が切なくて。


        カーキ色とグレーが入り混じり

        交換したタバコをふかし    
        笑いあい
        酒をかみかわし
        食べものを分けあう兵士たち


手紙の受け取り手
コニーが差し入れたケーキを
ハンス ヴォルフに
ふるまいおいしく食べます。

         かれとは何でも意見が合うんだ
         敵だというのにね

お互いを
名前で呼びあうようになっています。



        そのうち だれかが 
             サッカーボールを持ち出した



     ジム マクファーソン、この戦争を
           終わらせる方法がわかったよ。

      サッカーの試合で決めればいい

       サッカーならだれも死なずにすむ
       親を失う子もいない
       夫を失う妻もいない


お酒も食べものもなくなり
もう終わりにしなければならなくて


お互いの名前を呼び
元気で家族の元に帰れるように と言って
別れます。


      今日のことは忘れないよ
      君のことも忘れない



     まるで別れたくないように
      一度だけ、こちらをふりむいた



見開きページいっぱいの星空と半月。
鉄線の鋭さが悲しいです。


お互い地下壕に戻ると

ドイツ兵のクリスマスキャロルが
イギリス兵に届き

お互い代わる代わる
クリスマスキャロルを歌いあいます。


    つかのまとはいえ 思いやりに満ちた
       心温まる時間が持てた

この夜の出来事を
愛おしいコニーに綴った手紙は
きっと来年のクリスマスにはかえるから
と結んでいます。


こんなにお互いを思いやれたのに
こんな夜を過ごしたことは
記録に残すわけにはいかず
次の日は殺し合わなければならないのです。

















イギリス軍
ドイツ軍
一括りで対立したけれど


クリスマスという聖なる夜に
お互いの国のエピソードを話し
名前を呼びあい
食べものを分け合って食べ
小説について語り合い
家族や仕事について話し
少年のようにサッカーに夢中になり
クリスマスキャロルを歌う

この場面が明るく無邪気で
美しくあるほど
悲しいのです。

こんな 本当の夜 があったのに。


スポーツや音楽、食べる、という文化が
人を戦地でありながらも結びつけたという
事実には驚き、胸が震えます。

なのに
止めることができないのが
戦争の恐ろしさです。


こんな物語もあることも
お知らせしたい気持ちになりました。


1914年のクリスマスに
こんな夜があって
語り継いだ人が何人もいて
伝説のような物語が残っています。



切ないですが
映画もいい作品です。


こんな奇跡が起こるのが
クリスマス。

ささやかな奇跡が
そこかしこで起きますように。

奇跡は
人の 勇気 が 起こすので。