皆さんの好きな動物は何ですか?



私はオオカミが好きで
動物園ではじーっと見つめたくなります。


時として悪者の象徴の様に
取り上げられることもありますが


実際には
賢くて
優しくて
子育て上手でもあります。

過去のブログでも
そんなオオカミ達の絵本も紹介してきました。


今日のオオカミも格別です。



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絵本との出会いを求めて行く
クレヨンハウス大阪の
初の絵本売り場男性スタッフの野尻さんも
いつも、シビれる絵本を教えてくださいます。
(野尻さんの奥様が偶然私のブログを読まれて
 野尻さんに伝えられ 「阪上さん知ってる!」
 と話されたとか。何だか不思議でおもしろい!
 いつもお世話になっております)

この絵本もその一冊です。


子どもの頃図書室の本棚でタイトルだけは
知っていた
「シートン動物記」の作者 シートン。

読まずに大人になりましたが
この絵本を通して
その時代とシートンの生き方にふれました。


シートンに生き方、人生を考えさせた
野生のオオカミ ロボ との物語です。



かつては50万頭ものオオカミが
北アメリカ大陸を自由に歩きまわっていた時代、
ヨーロッパからの入植者たちが
先住民を脅かし
オオカミを殺し
滅びようとしていました。



そんな環境の中、
ロボ と呼ばれた群れのリーダーオオカミが
いたのです。



人々の残忍で勝手な様子をロボは
ずっと見ていました。

誰もロボとその仲間は捕まえることが
出来ないほど強くて賢いのです。

ロボの首にかけられた賞金は
莫大な金額になるほど です。


どんなハンターが来ても
どんな毒薬や罠を使っても。


それどころか
仕返しに家畜を襲いに行く気の強さ。

強くて賢い男は本当に魅力的です。


その噂は画家としてもハンターとしても
成功をおさめている博物学者のシートンの
耳に入るほどなのです。



シートンが用意した大量の罠や毒薬が
見開きページいっぱいにぎっしりと
描かれています。

比較的文字のすくない絵本で
そのかわり、無邪気なタッチの細やかな絵が
コマ送りの様に見せるページと
映画にスクリーンのように
息をのむような雄大な絵が息をのむページが
場面転換毎に現れます。

かなり大きな絵本で
紙質もぶ厚く素朴で独特なインクの香りです。





シートンはロボの捕獲のために
偵察の日々を重ね
どれほどロボが強くて賢いかを思いしります。

それに挑むように巧妙に毒餌を作りますが
ロボは決して騙されず
ばかにするように
毒餌を四つに積み上げたり
尿や糞をまき散らすのです。


その毒餌を食べたコヨーテ達が
もだえ死ぬ様子を見て
シートンは毒餌を使うことはなくなります。

シートンの大好きな動物が
くるしみながら死ぬのです。


人間が好き勝手に猟をして
食べるものに困りロボ達が生きるために
家畜を襲うことも知っていきます。

ロボ達は決して雌や子どもの家畜は
襲わないのです。

小さな気づきが胸にめばえるも
立ち止まれないのです。



そんな誇り高きオオカミ王の前を
好き勝手に歩くことが許されている
オオカミがいます。

ロボが愛している雌オオカミのブランカです。



シートンは新しい罠を作ります。
シートンの狙いは


ブランカです。


罠にかかったブランカは
シートンが見た どのオオカミよりも
美しい白いオオカミです。

ブランカがロボを遠吠えで呼び
ロボの声も聞こえるのですが
ブランカは殺されます。

その日は一日中ロボの悲しい遠吠えが
響くのです。


ロボをおびき出すために
ブランカの亡骸を引きずりまわし
においをつける場面では

何て残酷で
何て身勝手なんだと
読み進められなくなりました。



夜空の下を走り回り
ブランカを探すロボが小さく描かれたページ。



そのあとのページは
怒りに燃えるロボが見開きいっぱいに。

ざらざらの紙に描かれたロボから
体温と怒り悲しみが伝わってきます。


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本の帯のロボの表情です。


4本の足をばらまかれた罠に囚われながらも
ロボは堂々と立っています。


ブランカのように残酷に殺されかけますが
シートンは生きたまま連れ帰ります。


首輪をつけられたロボは
与えられた餌もたべませんでした。

無敵の伝説のロボですが
その体は仲間を守るために
傷だらけだったとか。




シートンはいたたまれない気持ちにうたれます。

あんなにロボを憎んていた
カーボーイ達も悲しみに襲われながら
ロボとブランカを一緒に葬ります。



心を引き裂かれた動物達は
死んでしまうそうです。



このあとシートンは変わります。


「ロボ カランボーの王」を書き上げ
生涯、オオカミの保護と
アメリカの自然環境保護に身を捧げます。


二度とオオカミを殺さなかった そうです。

そしてボーイスカウトの初代団長へと
繋がるのです。



オオカミは知性を持った動物で
生態系を守る役も担っている
という考え方がゆっくり拡がっていくのです。


ロボとの出会いを振り返っての
シートンの誓いの言葉で
締めくくられています。

心に響くブログを綴られるkiraraさんとの
やりとりの中で
自分が経験した苦しみや苦味、自責の念‥。
それを誰かに還元することで学びが終わる‥と
気持ちをしめくくる機会をいただきました。




人の愚かさ
止められない傲慢さ

犠牲となった人や動物達

打ちのめされた先の誓いが
今に繋がっているのなら
それもロボとブランカが引き受けてくれた
お役目なのでしょうか。



今日の物語はこれでおしまいです。

重いものを胸に残す物語ですが
私はこの絵本に出会えてよかった と
思うのです。

この絵本の味わいは
手に取らないとわからないです。

映画のような一冊と
出会ってみてください。

ごきげんよう。



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