ごきげんよう。


今年も泉佐野市立第一小学校の一、二年生の
平和登校日に絵本を読みに行ってきました。


気がつけばもう12年目です。

毎年ご依頼下さり本当にありがとうございます。


今年も選書には ぎりぎりまで悩みます。
当日読みながらも 
どの絵本を選ぶべきか子ども達の様子を
見ながら悩んでます。



8月6日、9日に何があったのかを伝える絵本と
一、二年生の子達が実感できる平和をテーマに
選びます。


この平和登校日を原爆の話を聴く日
だけで終わらせたくないのです。
自分達の問題として考えるきっかけに と
思うのです。


毎年
黒いワンピースを着て読みます。

なぜ黒い服を着てきたのか話すことから
始めた年もあります。

「なんで黒い服着てると思う?」と
問いかけると

「原爆落ちた日やから…。」
「たくさん 亡くなった人が いてるから」と

答えてくれる子が必ずいました。






幼い子達に戦争って何?を
伝える絵本を最初に読みました。



{61D73904-4A5A-4426-B5D1-B1713FC3152E}





美しい地球の絵から始まります。

「きれいねぇ」としばし みんなで見つめます。



    くにと くにとのけんかを 
                        せんそうといいます。

始めることより終わらせることが難しく
武器を作る人を儲けさせることなどにも
ふれているのもめずらしいです。


始まりのページの美しい地球が
血と炎で赤黒く描かれ
苦しむ人 殺された人…子どもたちも
描かれています。


戦争の愚かさ 怖さが
伝わり始め この時間を共有していく
空気ができました。


絵本のタイトルに
「やめて」の言葉がありますが

まず「自分には 関係ない」
と無関心にならないでほしい と思うのです。


読んでる途中で
子ども達は「なんで?」の言葉を
繰り返しました。


「それを知る事 知ろうとする事が
 勉強だと思う。」と伝えました。

この絵本も何のために勉強するのか
も訴えています。
 





今年も紙芝居を一つ。
紙芝居は絵本より共感しやすい世界です。
手元に物語が来てくれるイメージです。



{652D6506-A940-4104-A766-A68C64A16D4B}


前半は実際の原子爆弾やキノコ雲
一瞬で焼き尽くされた広島や長崎の写真が
続きます。

真っ黒な場面は
被曝された方の気持ち とあります。

実際に被曝し親 兄弟姉妹が苦しみながら
亡くなられた方の物語も収められています。

その方の想い
二度と繰り返さないでほしい
の気持ちがカバーにある鳩に託され
物語が終わります。



子ども達の様子を見ながら
去年読んだ写真絵本から


{05ADBB70-F7F5-4C68-83CD-2822E098BA20}
(2016 11/3 あの日のヒロシマ カタリベ達の プロフィール)



真っ黒に焼け焦げたお弁当の場面と

美しい紫色のワンピースの場面を紹介しました。



お弁当箱は 子ども達も理解しやすいようです。



焼けても破れてもいないワンピースの写真に
「なんで?」の声があがります。

放射能に汚染された街に居たことで
病に倒れ 苦しみながら亡くなった方の
ワンピースだと伝えると
子ども達は また一つ真実を驚きの中で
受け取ってくれました。


{B4E740FC-AD12-4F29-BD66-82A0576BFCCC}





夏のこの日だけではなく
繰り返し読んでいる絵本も。


{AA4F5647-09A3-4995-AB3B-014F88269EB2}

(ブログ2017 2/2平和ってどんなこと?)


全部は読めないけど

私が一番
子どもにも かつての子ども達である大人にも
大切だと思う場面を見せました。





   だいすきなひとに いつもそばに
                                   いてほしいから。

お母さんとお腹とお腹をひっつけて
ひざの上で ごきげんに抱きしめられる
男の子の絵に子どもも先生方も
とろん とした表情になったり
ちょっと切なくなっている気持ちも
伝わってきます。





体いっぱいで遊ぶ子ども達の場面には
目が 輝きます。


毎日が安心で くつろぎの場があって
思いっきり遊べるのが
子どもの平和でしあわせです。

大人が立ち止まり子どもや自分を見つめられる
絵本です。




最後の一冊が迷いました。
時間も子ども達の集中力も あとわずか。


勇気を出してもう一冊 紹介しました。


{C07B9057-D37F-4AB2-BD73-2A43FF57A312}

(2017 2/7 愛しの岸和田市立光明小学校の六年生と先生方へ)


まだ真新しいランドセルを背負っている
子達に伝えたい!と思いました。


アフガニスタンという
厳しい状況の中で生きている子達がいること、

その大変さ だけではない輝きにふれ 
一人ひとりの胸に何かが
残ればと思いました。




輝く笑顔で 届いたランドセルを抱きしめる
写真が続き


やはり
男の子が赤いランドセルを背負っている写真に


「赤や…」の声があがります。

決して からかうニュアンスではありません。
むしろ 思いやっているように聴こえました。


岸和田市の六年生に伝えたように
この子達にとって
赤だとかピンクだとか
お下がりだとか 
そんなことは 何ともない事 

自分の手元に自分だけのランドセルが
届くこと

自分のランドセルで勉強できることが
ものすごく嬉しいんだ
ということを伝えました。


物語をたどっていくと
裸足で歩いている子もいたり
ランドセルが机の代わりで
筆箱もなく ペン一本だけ
校舎もない…

「筆箱もないん?…」と
驚き つぶやいた子の声も聞こえました。

その言葉にみんなの気持ちが
集まります。


そんな中で

「だから わかるんや…」


と つぶやいた子がいました。

その言葉に私は心が震え
その子と目が合い
その心の震えはじんわり拡がりました。


感じ方は それぞれで

そう感じた子の言葉と気持ちを
わかる子がいたり
気づく子がいたり

気持ちを揺さぶられた大人や先生方と
同じ場にいる。

気持ちを受けとめられた子から
また新しい気持ちがうまれる…。


この気持ちの行ったり来たりが
固い言葉では読書療法であり
「絵本をよみあう 」というやわらかい言葉が
しっくりきます。



{2D5EEF2C-847E-4E26-BAFB-C6D2271506D3}





{BA96D89B-9C5C-4A28-9A35-713B66E3044B}





{F0FACC94-86E8-4AE4-BC3A-688D07361AAD}


表紙の笑顔が より愛おしく見えます。



勇気を出して読んでよかったなぁ と
思いました。


第一小学校の皆さん 校長先生はじめ先生方、
聴いてくれて本当にありがとうございます。

毎年 先生方に子ども達の中に座って一緒に
聴いてあげてほしいとお願いします。

ぶしつけなお願いを先生方は
聴いてくださいます。

校長先生も毎年聴いてくださいます。

だから子ども達は嬉しそうで誇らし気です。
校長先生と絵本って…素敵です!


先生方も物語に浸ってくださいます。

途中、後ろの方で座り
聴いてくださっていた先生が
前の方の列に座りにきてくださり
子ども達は嬉しそうでした。
絵本は 誰と聴いたかも心に残ります。


長い時間 みんなで読みあえた事が
私は一番 素晴らしいなぁと思いました。


最後は森山直太朗さんの「夏の終わり」が
反戦歌である事をつたえミュージックケアで
終わりました。

今年も二年生の成長が素晴らしいです。

こんなふうに毎年二年生が一年生を
引っ張ってくれるのです。

先生方も目がキラキラ。
こぼれる笑顔が子ども達に伝わっています。

今年も貴重な経験をありがとうございます。


今日八月十五日に
大人が子どもに何か語ったり
大人が語りあえるといいな と思います。


今日の物語はこれでおしまいです。

皆さん 感動多き人生にしてくださいね。


ごきげんよう…。