さても、各所で話題を呼んでる
フォークホラー(と言われている)
一応ネタバレなしの方向で。

広島では
なぜか緑井でしかやっとらんということで、
はるばる行ってきました。
意外と椅子とか音響とか良かった、東宝緑井。
なんか
「明るいのが怖い」とか
「笑顔なのが怖い」とか
ホラーだとか
言われておりますが、
個人的な感想としては、
これは主人公の魂の救済の物語。
確かに、
北欧スウェーデンの田舎における
ちいさなコミューンの
独自の風習、
すなわち
「異文化」の中で
人間が誰しも感じる、
そこでの不文律、風習、「あたりまえ」を
自分が知らないこと、理解できないことによる
居心地悪さ、
そして、
そこでの禁忌を
知らず知らず
犯してしまった者への
ある意味容赦ない制裁。
これは、
楳図かずお御大のお言葉を借りますと
「追われればホラー、
追っかければコメディ」
の構図と言えましょう。
そういう意味ではホラーとも言えなくもない。
でも、
あまりに深い痛みや孤独を抱える魂が、
ほんとうの意味で癒されるというのは、
どういう状況か?
ということになったとき、
私は、
この映画の結末は
紛うかたなき
ハッピーエンド
だと思いました。
監督も、
「ある意味ハッピーエンド」
って言っちゃってるし。
とくに女性において、
感情を昇華・浄化する過程において
共感ということが
何より重要だというのは
よく知られていることですが、
それの更なる拡大版というところ。
傍目には
集団ヒステリーとしか見えない狂乱、
敢えての供物を捧げてのイベントも、
共感性の極致というところと
時々必要な感情爆発という面において、
この集団において
普段皆が勤勉で優しくいられることへの
ひとつの回答なわけです。
そこでは、誰も孤独じゃない。
ホラーかどうかと問われたときに、
人の血や肉が出てくるとこはあるので、
グロ耐性0の人は厳しいかもしれない。
でも、
基本的に筋が通っているし、
無駄にビクッとさせる演出もない。
私にとっては、
そこでの風習は
基本的に理解を超えたものではなかったので、
敬意を払って見守るに値するものでした。
血が流れるときには、理由がある。
来たるべき死を
丁寧に描いているだけ、でした。
これをグロくて見るに堪えない、
という人は、
たぶん、
普段自分が何の肉食べてるのか
考えたことがないタイプの人だと思う。
牛をさばくところ見たら食べられないとか
ぬるいこと言っちゃう現代人ね。
あ、
人肉を食べるとかどうとかではなくて。
生命輪廻、
生きるの死ぬのって話を
真剣に考えたことがあるかどうか、
そういうお話です。
唯一、
輪廻のサイクル云々を逸脱して
やりすぎだった(つまり怖い)部分としては、
鶏小屋の…
まあ歴史上実際にあった拷問なんですけど、
あれをお花で飾り立ててあるのは、
さすがに悪趣味というか、
ぞっとしました。
生きてるんだもの。
あー、
もしかしたら、
男女で感想のだいぶ違う映画、なのかも。
男から見たらホラー、
女から見たら
ハッピーエンド
ってね。
全編通して
悲しんだり泣いたり
我慢したり諦めたり
そういう表情でいた主人公。
彼女が最後に見せた表情が、
すべてを物語っている。
と、わたしは思います。
とても良かった。
「これが好きっていうと頭おかしい人だと思われるのが難点であんまり大きな声では言えないけど、好きなんだよな」
という一作になりました。

不穏きわまりない音響と、
細部までつくりこまれたルーン文字、
何より、うつくしい映像は必見であります。
オススメ!



