※これは2025年10月12日~13日にかけて開催した浅野尚子インストラクターによるセミナー合宿『SYSTEMA CAMP with Naoko ASANO』の記録です。

 

今回の企画が立ち上がったのは今年の5月のことだった。今回も前回と同じく2日間に決まった時、ふと前回とは趣向が違う企画にしたいと思った。システマ東海代表の長谷川さんとも相談しつつ、合宿の案が出てきたため、実現可能な立地と会場、宿泊施設について調査した。結果、合宿であるならば、名古屋中心部から車で一時間圏内の知多半島が相応しいということになった。知多という海辺の地で、達人浅野尚子の感性を存分に味わうためのセミナーを開催する…開始前から興奮を抑えられなかった。浅野さんのワークはどこでやっても楽しいのに、歩くだけで楽しくなるような美浜の町で練習したら一体どんなことになってしまうのだろう、と。

以下、特に印象的だった1日目の前半のワークとコンセプトについて記録しておく。

 

参加者からのリクエストは事前に浅野さんにお渡ししていたが、その場でも更にリクエストの吸い上げが行われた。結果、すべてのリクエストに共通することは「呼吸の量」であると浅野さん。これにより今回のメインテーマは「呼吸」に本決定した。

最初はできるだけ限界まで吸って、限界まで吐く。どこかにテンションが入ったとしても限界まで吸って、限界まで吐く。慣れてきたら時間をかけずに一気に行う。とても単純なワークであるにも関わらず多くの参加者が戸惑っている印象だった。普段いかに振り幅が小さい世界で呼吸しているのかを再認識することができた。

 

通常の吸って、吐いてを繰り返すと吸ったときは膨らんで強くなるが、吐いた時には萎んで弱くなってしまう。まず吸うときには自分のためでなく「みんなのため」に吸い、吐くときは「自分のために吐く」という呼吸が提案された。膨らんだり萎んだりして変化が起きないよう、外殻は程よく膨らんだ状態が保たれるような呼吸。なぜ浅野さんは常に変わらず、強い状態を保ち続けられるのか、という問いへの答えの一つだったと思う。「みんなのため」は周りの空気や空間、建物など自分以外のすべて、ということらしい。

 

その後の浅野さんの発言とワークに場内は騒めき、未体験のものへの戸惑いとそれを体験してしまったという紛れもない事実が会場を満たしていった。

一人が浅野さんの前に立ち、浅野さんはその人の腕を掴む。周りの参加者は手で床に触れている。浅野さんがみんなのために吸い、自分のために吐き切った後、腕を掴まれた人はバランスを崩してよろめいた。その人も周りの参加者の多くも「床が凹む」のを感じた

床に向かって呼吸をすることで床を仲間にできる、らしい。浅野さんは周囲の環境すべてに「きびだんごを渡して」味方にしてしまうのだそうだ。

たとえ対峙した敵が自分より強くて大きかったとしても、床や空間を仲間にした人の方が強い、ということだそうだ。これは本当にそうだった。あの時、間違いなくそれを目撃し脳みそレベルの理解はした。私の文章が半信半疑な感じなのは、まだ誰もがそれを実現できる実感ができていないからだ。

 

このコンセプトに沿って2日間、形の異なる色々なワークを体験していったが、本当に最後まで飽きなかった。テイクダウンもマッサージもストライクもすべて、呼吸の量と仕方で質が変わってしまう。呼吸は生きている限りずっと縁が切れないものなので、各自が日常に落とし込んで研鑽していきやすい内容だったとも思う。

 

そして宿では地のものをふんだんに使った食事🐟🦐を楽しんだ後は浜に繰り出して花火大会🎆を楽しみ、お風呂♨️でリフレッシュした後は寝る前のマッサージ大会。まさに合宿の醍醐味。宿泊なしの方には申し訳ないくらいの楽しさと学びに満ちた時間だった。

システマ東海主催の合宿としては初となったSYSTEMA CAMP with Naoko ASANO。浅野さんからも「去年も楽しかったですが、今年はより楽しかったです」と言っていただけたので主催者としてはとてもいい合宿セミナーになったと満足している。今後もより楽しくて学びのあるセミナーや合宿を提供できるように精進していきたい。