10. チームワーク研修 その3 ( 2005年 7月10日 )

二人がいて二人とも同じ意見なら、一人はいなくてもいい人間だ。(デール・カーネギー)

ブレーン・ストーミングの醍醐味は、お互いが妥協することではなく、
相互得を実現する斬新な第三案を見つけ出すことだと思います。

研修を通じて感じていることがあります。
①少数意見の中に真実が隠れていることがある。
②組織の中ではまだ影響力のない人(組織に染まっていない人)の
 発言の中に思いもよらぬ斬新なアイデアが含まれていることがある。

「CM裁判」    朝日新聞 CM天気図 天野祐吉

 質問です。
 どこかの戦場で、少年が銃を持って海を見ているCMがありました。
「NO BORDER」という日清カップヌードルのシリーズです。
あれについて、あなたは次のAとBのどっちの意見に賛成ですか。
A あんないたいけな少年に銃を持たせるのは、いったいどういうつもりか。
戦争を美化しているようにもとれるし、テレビを見ている小さな子どもたちへの
影響も考えよ。不謹慎というか、不見識というか、作り手の良識を疑う。
B あんな幼い少年が銃を持たなければならない、あるいは持たされる現実が
いまの世界にはある。それをこのCMは直視している。目をそらしていない。
平和への切実な思いが、海を見ている少年の姿から伝わってくるようだ。
作り手の勇気に拍手を送りたい。
 もう一つ質問です。
 大滝秀治さんが隣家のおばさんと垣根ごしにやり合う、水性キンチョールのCMが
ありましたね。「うちは空気を汚さない水性キンチョールを使っている」という大滝さんに
「キレイゴト言うな、じじい!」とやり返す、あれです。
あのCMについて、あなたは次のAとBのどっちの意見に賛成ですか。
A くだらない。不愉快だ。先日、奈良県で起きた隣人同士のトラブルを思い出させる。
隣人同士がいがみ合う社会を面白がるとは、どういう神経か。作り手の良識を疑う。
B 面白い。痛快だ。キレイゴトですまそうとするCMやいまどきの世の中を
笑いで批評している。こういう批評というのは、不快スレスレのところで成り立つもので、
作り手の力量に拍手したい。
 ありがとう。二つの質問とも、AとBのどっちが正解かということはありません。
人それぞれ、人生いろいろ、どうにでも受けとる自由があるから、表現というのは面白い。
いや、私はAでもBでもなくCだ、と別の意見があってもいいのです。
 ただ、そういう意見を出し合って論じ合うのはいいことですが、この二つのCMとも、
Aの意見を持つ人が広告主に文句をつけたことで、放送中止になってしまったようです。
 やめなくてもいいと、ぼくは思うのですが、「消費者は王様」ですから、
やはり広告主としてはこわいんですね。たしかに王様には権力がある。あっていい。
が、権力が暴力になっては困ると思いませんか。