18. 視点を変える  その2  ( 2005年 9月 4日 )

私たちは「あるもの」ではなく「ないもの」に焦点を当てがちです。
意識的に「あるもの」に焦点を当てると、違うものが見えてくるはずです。
私たちは「おとぎの国」に住んでいます。
以前、新聞でおもちゃを買ってもらえなかったからという理由で
自殺した子供の記事を目にしたとき、いたたまれない気分になりました。
ちょっと視点を変えれば、身の回りに小さな幸せはゴロゴロ転がっているはずです。
「レナードの朝」という映画の中で、主人公のレナードが、担当医に
「普通に暮らし、普通に生きていることの素晴らしさ」を熱弁するシーンがあり、
そのメッセージを聞いたときに鳥肌が立った記憶があります。
「レナードの朝」は、『気づき』の多い映画です。おすすめです!

朝日新聞 生活欄 ひととき より

「洗濯物の風景 」   熊本市 中島美智代さん 無職 49歳

 洗濯物を畳むときほど、家族を感じるときはない。
一枚畳んでは「これはお兄ちゃんので、これはタケちゃんの」と分けると、
家族の数だけ洗濯物の山ができる。
末っ子のタケちゃんがその山をポンポンとたたいて歩く。
15年前の我が家の風景だ。子供たちはすでに独立した。
 子供たちが部活動をしていた頃は、7キロ用洗濯機はフル回転だった。
今は、ふたを開けると洗濯機のふちに衣類が張り付く程度。
大人の洗濯物は、クリーニングに出すものが多く、下着がほとんどで物足りない。
 家庭を持ったばかりの頃、近くに住む母に、
「袖口や襟は、洗濯機に入れる前にせっけんでもみ洗いするのよ」と、
口やかましく言われた。
でも、育児に忙しく、ものぐさな私は、「はいはい」と口ばかりで、
袖口用洗剤というのを塗るのが精いっぱいだった。
 そんな母が亡くなって5年、いつしか私も下洗いをするようになった。
洗い上がりの違いを見て、やめられなくなったからだ。
気が付くと私は、この言葉を口にしていたころの母の年齢になっている。
 母の他界後、私は父と同居を始めた。
メンバーも変わり、洗濯物の数も変わったが、家族の営みは力強く続く。
近い将来、また、小さな洗濯物を畳む日が来るのが楽しみだ。
洗濯物は、私を元気づける。