31. 完了と未完了  その1  ( 2005年12月 4日 )

私たちは他人と比較をして、コンプレックスや弱みや足りない点などの
未完了をエネルギー源にして行動することが多いようです。
SYP研修では、自己承認や選択理論など
完了を基にしたより健全なエネルギー源の紹介をしています。
私たちは、その時その時でベストの選択をしてきました。
もちろん今の知恵と経験をもってすれば、後悔はあるとは思いますが、
少なくとも、そのときはベストの選択と信じて選んできたものを、今、手にしています。
振り返れば、多くの達成を手にしてきた私たち。
もうすぐ年末を迎えます。
今年一年を、そして、過去の自分自身を完了してみましょう。

朝日新聞 生活欄 ひととき より

「タイムマシン 」   横浜市 井川喜久江さん 主婦 55歳

「96年3月21日(木)娘の卒業式。快晴。担任の先生は赤い着物に袴姿。
1組2番なので全卒業生の2番目に卒業証書を受け取る」と打ち込み、
卒業証書を受け取っている写真を張る――。これで終わった。
 ある日、2人の子どもが小さかったころの写真を見て感慨にふけっていた。
当の子どもたちには、いつ、どこで撮った写真か分からないのではと思った。
 そうだ、当時つけていた日記の整理もかねて、日記をワープロで打ち、
写真をはりつけておこう。子どもたちの言動のメモも入れよう。
母子手帳の成長記録も。私の思いをつづった文章も入れよう……。
どんどんと膨らんで、大仕事になった。
 作業している間、まるでタイムマシンに乗って子育て時代を旅しているようだった。
旅人としてみると、当時は見えなったものがよく見えてくる。
 あんなに小さかったんだ。子どもも一生懸命だったんだ。私もよく頑張ったね。
上の子の病院通いで下の子を預かってくれた近所のおばあちゃん、
よく話しかけてくれた駄菓子屋さん。
なんと多くの人に助けられて子育てをしてきたのだろう。
 日記はちょうど、下の子の小学校卒業で終わっていた。
その写真を張り終えたとき、無我夢中だったために実感がなかった
子育ての15年間を、しっかりと受け止められた気がした。