55. 止まって観る その1   ( 2007年 8月14日 )

皆様、夏休みはいかがお過ごしですか。
私は、ようやく休みが取れ、久しぶりの更新になります。
「止まって観る」「思い出す」「見つめ直す」
これらもSYPプログラムのテーマになっています。
お盆休みは折角の機会ですから、ちょっと立ち止まって
皆様の来し方行く末を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
私は毎年この時期になると村上春樹さんのデビュー作
「風の歌を聴け」が無性に読みたくなります。
どこか物悲しいのですが、学生時代を思い出すキッカケになるからだと思います。
そして、「24時間テレビ 愛は地球を救う」のテーマ曲を聞くと
夏の終わりを感じ、物悲しさがピークに達するのは私だけでしょうか。


朝日新聞 生活欄 ひととき より

夢かなってるじゃん  さいたま市 藤井 元子さん パート保育士 43歳

 先日実家に一人で帰った。
いつもならお盆やお正月の休みに、10歳と14歳の娘とともに帰るのだが、
今年は本当に一人。小さな一人旅である。
 保育士の仕事にやりがいを感じながらも、心身ともに疲れていたし、
それに付随して家事・育児に追われる日々がなんだか鬱々としてしまい、
久しぶりに恋しくなってしまったのが理由だ。1泊だけの短いものだったが、
両親とゆっくり話もでき、久しぶりに母特製のおすしを堪能した。
 食事の後、しばらく母と談笑していたら、「あなたの大学時代のサークルの会報誌、
邪魔だから持って行けば」と言われ、ああ、そんなものがまだあったのか、
と物置に足を踏み入れ、懐かしい古びた1冊を手にした。
 ぱらぱらとページをめくると、将来の夢と題して、仲間たちの文章がある中、
自分のものを見つけた。何を書いたのかも忘れていたので、
なんとなく読んでみてびっくりした。「子どもに囲まれた仕事をしたい。
2人の女の子の母親になっていたらいいな……」と書いてあった。
 単調で、まあそこそこ幸せだけど不満も感じていた毎日のそれは、
私の将来の夢そのものだった。何を鬱々とすることがあるのか。夢かなってるじゃん。
 帰りの新幹線、その会報誌を何度もめくりながら、生まれ変わったような気がした。