「ダメって、そんな、オレ漏れそうなのに」
「仕方ないだろ、今は授業中だ」
「でも、休み時間はないし、我慢できないよ」
「薫、先生の言う通りだぞ、トイレは昼休みに行くんだ」
「ええっ、どうしたんだよ剣、今日変だぞ」
「別に、オイラはいつも通りだよ」
「とにかく水沢、早く座りなさい、授業を続けるぞ」
「そんな・・・」
薫はヨロヨロと席に座った。険しい表情のまま、薫はこの四時間目を耐え
抜かなければならなくなった。
(くそ~、なんなんだよ・・)
薫は涙目になりながら、姿勢をやや前のめりにして両手でイチモツを握ったり
揉んだりしながら必死に尿意に耐え続けた。
(あと10分)
(あと5分)
(あと10秒)
薫は少し腰を浮かせて立ち上がる準備をしていた。
キーンコーンカーンコーン
薫を窮地から救う4時間目終了のチャイムが鳴った。
「それじゃあ4時間目を終了する」
「起立、礼」
「トイレ、トイ・・・えっ!」
薫は目の前の光景に唖然とした。なんとクラスの大半の生徒たちが我先にと
教室を出て行ったのだ。
「何だ?・・・いや、とにかくトイレに・・・」
薫も続くように教室から飛び出した。急いでトイレに向かうと、そこには再び薫
を驚かせる光景が・・・
「マジかよ・・」
なんとトイレには大勢の生徒が押し寄せ、順番を待っていた。ほかの生徒も
トイレに行っていなかったため、ただ一度の休み時間に一斉にトイレに集まった
のだった。
「そんな・・・・オレ・・・限界なのに・・・」
薫の前にはあまりにも大勢の生徒がいて、とても順番が回ってくるまで我慢
できそうになかった。
「あー危なかった、オイラ少しチビっちゃったよ」
「ボクも危なかったよ」
剣進とトムが清々しい表情でトイレから出ていくのを薫は羨ましく眺めた。
とりあえず暫くの間待っていたが、やはり我慢の限界である。
「もう無理だ」
薫は股間を強く握りながら、他の階のトイレでオシッコをしようと階段を下りた。
しかし、どこの階も状況はさほど変わらなかった。
「く・・・もう・・・漏れる・・・」
一階まで下りてきていた薫は、咄嗟に校舎の外に飛び出した。そして、近くに
あった普段は使われない屋外のトイレの裏に走った。
「で、出る・・」
走りながらズボンのボタンを外し、ボクサーパンツの前をずり下ろしてトイレと
壁の間に入った。
シャアアアアアアア
「ハァハァ、間に合った・・・」
すごい勢いと派手な音を立てながら、薫の小さなイチモツからオシッコが放出
された。
「・・・・・・」
薫はあまりの気持ちよさに放心状態だった。しかし、その幸せはすぐに終わりを
告げた。
「あ、先生、水沢くんがオシッコしてます」
「え・・げっ!」
声のする方を見ると、クラス委員長の瑠奈が薫が立ちションするのを見ていた。
「わ、バカ言うな」
「水沢、こんなところで何してるんだ?」
「いや、先生、これは・・・」
「こんなところでオシッコするなんて悪い奴だ」
「剣・・・」
「まったく、何考えてるんだか」
「永輝・・」
「最低だよね」
「トム・・」
「最低ネ」
「リッキーも・・・なんで皆が」
『薫、そろそろ起きなさい』
「へっ、皆何言ってんだよ」
『薫、遅刻するわよ』
「えっ・・・遅刻・・・まさか・・・」
薫の意識が夢の世界から現実に引き戻された。
「薫ー」
「は、はーい起きます」
薫は恐る恐る布団をめくってみた。
「どうか、オネショしてませんように・・」
バサッ・・・
そこには誤魔化しようがない大きな地図が広がっていたのだった。
「はぁ・・・やっぱり」
おわり