masquerade~正と偽~

masquerade~正と偽~

青春を陸上に捧げたある少年、浅井翔太とその仲間たちと青春を駆け抜けていく小説ブログです。

色んな壁を乗り越えながら強くなっていく少年の青春を書いていきます。

コメントなど気楽にどーぞ。(бвб)

Amebaでブログを始めよう!


続々と仲間たちが
県大会進出を決める中
僕らの低学年リレーへの
時間も刻一刻と近づいていた。


次第に緊張が高まっているのも
分かった。

ただガチガチにはならず
なんだかぼんやりとした
緊張感だった。



午後の種目も全て終わり、残すはリレーのみとなった。


予選終了後の気持ちはもうなくなっていた。


今は自分たちの出せる力を出し切るだけ。


最後に円陣を組んだ。
「三中ファイト!!!」
「オー!!!」
そして各自の招集場所へ向かった。

共通リレーも決勝に進出したので二走の井上先輩と招集場所へ向かった。



本町学院の手塚はもう招集場所へ来ていた。

付き添いに松葉杖の内海がいた。

内海もこちらに気づいたようだった。


でも今はそんな事は気にしていられない。


念入りにアップをしていよいよスタートの時間が近づいてきた。


「はい、低学年リレーの最終コールを行います」

「一レーン茅ヶ崎中」…

「四レーン本町学院大附属」
手塚が出てきた。
緊張の表情ではないが
レースモードである事は確かだった。

「六レーン黒崎三中」
正直に言うと緊張感はもう無かった

なんだかよくわからない感覚だった。
周りの音はちゃんと聞こえるがなんだか自分がフワフワしてるような不思議な感覚だった。

最終コールも終わりいよいよスタートの時がきた。


レーンに入った。


本田は予選とは違い緊張している様子はなかった。

中村先輩は相変わらずレースモードになっていた。


ただ一つ言えるのは自分のレーン以外は見えていなかった。

ファンファーレが鳴った。

いよいよスタートだ。

決勝は学校名とメンバーの名前がアナウンスされる。

「第一レーン茅ヶ崎…

「第四レーン本町学院大附属 伊東君、手塚君、大野君、三田君」

スタンドからは大歓声が上がった。予選で県新記録を出したので期待は大きいだろう。

「第六レーン黒崎第三 中村君、浅井君、本田君、成田君」

スタンドからみんなの声が聞こえる。みんなが応援してくれている。みんなの期待に応えようと思った。

「第八レーン…

「以上の上位八チームで男子低学年リレースタートです」


「位置について」
会場が静まりかえった。

「ヨーイ」

「バン」
号砲が鳴り響いた。

中村先輩が必死に走ってくる
だが、本町学院の伊東先輩も速い。

差がどんどん詰まってくる。


中村先輩がチェックマークを越えた。


僕はグングン加速していった。

「ハイ!」

中村先輩の声と共にバトンの感触を確かめた。

周りはみえなかった…

というより誰もいなかった。

後ろから足音が聞こえた。

多分手塚だろう。

負ける訳にはいかなかった。

僕にもプライドがあった。

するとその足音が遠くなってきた。

にしても不思議な感覚だった。

自分が風のように走っているのがわかった。

もう本田が目の前にいた。

本田が走り出した。

「ハイ!」

キレイに本田の手にバトンが渡った。

本田も大野に負けないように必死に走った。


本田から成田先輩へのバトンパスもキレイに渡った。

成田先輩の後ろからは
本町学院の赤いユニホームが猛追してくる。

三田先輩だ。

その三田先輩を猛追してくるのが
新崎二中の清水先輩だ。

成田先輩が必死に逃げる。

僕は固唾を呑んだ。


ゴール前20mのところで
成田先輩は三田先輩に抜かれてしまった。


一着 本町学院
二着 黒崎三中
三着 新崎二中

この三校の差は僅か0.3秒だった。


本町学院のタイムは48"17
県新記録をまた更新した。

ウチのタイムは48"29

新崎二中のタイムは48"45

どのチームが優勝してもおかしくないハイレベルなレースだった。


なんていっても去年の優勝チームは今年のビリよりも遅いタイムだったからだ。


スタンドに帰ると
成田先輩が「みんな申し訳ない」と謝ってきた。

でも成田先輩だけのせいには出来ない。リレーは団体種目だからだ。

でも僕らにとって大きな経験になったのは間違いないだろう。

あの本町学院のメンバーと互角に闘えたのだから。


この経験がのちに
僕の大きな自信になるので
あった。


共通リレーの先輩達は
優勝した。

本町学院を下し
県大会進出を決めた。


僕らが喜んでいる隣で
内海は俯いていた。

手塚も気づいたようで
その場を去っていった。


内海が近づいてきた。
「浅井、来年の春の県大会で待っていろ。そこで勝負だ。」

突然の宣言に
僕は言葉を失ったが
「お、おう。俺も負けねーからな」と戸惑い気味に言った。


そして試練の冬が
くるのであった…