久々に、何も言うことがない。

 

いや、言うことはある。事前情報の不足、物販の大きすぎる混乱。運営陣には反省すべき、改善すべき点がいくつもあると思う。

そんなことをここで詳述しても仕方がない。

ただ、ライブについては、僕は満足だった。

久々に、燃えた。ステージから降ってくる強大なエネルギーに対し、全力で打ち返せた、ような。

それは僕が感じるところの、真剣勝負。息の詰まるような斬り合い。笑顔と笑顔の殴り合い。

 

「『あの頃は良かった』って?それはお前が止まっとるんじゃ」

(吉野寿(eastern youth))

 

そう言われても、どうしてもその燃えさかる熱さ、それは僕にとっては思い出すものであり、その思い出す先はPASSPO☆、サンミニ、ASTROMATE…僕が各々、その時期にその時なりに必死に、全力でぶつかって、燃えるように通り過ぎてきた、もはやその旋律を聞くこと叶わぬグループたちで。

その頃の熱量を、思い出した。

 

書こう書こうと思い、何か墓参りの前には済ませたいと思いつつ、前日までは特に書くことも思いつかず、そして当日の朝に起きてやはり何も浮かばぬまま、ただキーボードを叩いている。

書き上げた後に書くことをあれもこれも思い出すのだろう。

「良かった」、その4文字で終わることを延ばして延ばして駄文を拵えようというのだから、我ながらご苦労なことである。

故に、全くまとまらぬまま思いつくものをその順番に書く、そんなところである。ただの日記かもしれない。

 

 

・のぼりとスタンドフラワー

正直、3月のワンマンは僕も中核となって、あーでもないこーでもない(というほど頭を悩ませたものもないのだが)としながら準備をしたものだが、今回は特段何も思い浮かばず、ともすればないのでもよいのではないか、そんなことを思っていた。

チケットはぴあで売っており、事前に何枚売れているかというのは誰でも確認できる。

今回のパッケージでO-EASTが埋まらないというのは感覚としてわかっていたし、チケットの売れ方からしても埋まらないのはわかっていた。埋めることだけがライブではないが、そのあたりの運営としての取り組みにどこか白けたものを感じていた、そんなことも或いはあったかもしれない。

 

今回のプレイヤー(ちゃんと正規表現は使わなきゃね、ところでディーラーってどこ行った)側で用意したものは、端的に言ってしまえばとある1人のプレイヤーがこれをこう用意したい、それはこれこれこういう理由だから、そんなものをすべて綺麗に用意して、本体のデザインや発注まですべてやったものだった。全部1人とは言わないけれど。

そんな熱量が形になったものだ。

 

そして今、ライブが終わって、そういうものをやるような情熱も戻ってきている。

いや、戻っているというか、もともとひとさいに対しそこまでの熱量を感じていたかどうか。そんな熱を持てるくらい、ひとさいに惚れこめたのはこれが初めてだと思う。

 

なぜこんな話から始めたか。

このライブの1日はこれらを会場に納めるところから始まるからだ。

のぼりにまつわるものを会場側、スタッフに手渡し、花屋さんが花を納品し。

それを済ませるところからこの一日が始まった。

 

・ライブ前

軽く酒を呑んだ。軽くにしたかった。酒を呑まないよりは呑む方が燃えることができるし、あまりたくさん呑んでは燃えることができないからだ。

古い知り合いが来て、彼とそのほか、プレイヤーたちで呑んだ。

こちらとあちらの現状について、明るい話も暗い話もした。ヲタクが集まれば話題が尽きることなどないのだ。

 

前物販。

もっちゃんは面白いように緊張していた。別にいつものことだった。ただ、その度合いが今まで見たことないくらいに膨れ上がり、やたら叫びだすなどもはや奇行と化していた、それだけのことだった。

彼女自身が(ワンマンライブを行うにしては)体験したこともない広さの会場だったこと、ひとさいとしての史上最大の大一番だったこと、それもある。ただ、この間のTIFで彼女自身として、満足いくような結果を残せず、それが尾を引いて自信を無くしている、それも要因の一つだったようだ。

 

ツイッターのリプなどは前日から一切見られていないと言っていた。

君がここで動じるような、心配になってしまうようなことになってしまうほど、日ごろやわな鍛錬を積んではいないだろう、君は大丈夫だから、そんな声をかけたが、何も聞こえてなどいなかったろう。

 

こう緊張していても本番では大丈夫、これまで大舞台の前で緊張を重ね、本番で望月さあやを十二分に発揮する、そんな姿はさんざん見ていたから、僕は何も心配などしておらず、ただそのおかしなもっちゃんをニヤニヤしながら見ていただけだったが。

 

いつも緊張しないと豪語しながらTIFではしっかり顔を引きつらせていたれいちゃんは、今回はいつも通りの緊張のなさを取り戻していた。みーあんはわかりやすくガチガチになっていた。たかすかさんはこれもいつも通り大物感があったし、みねちゃんは曇りのない顔をしていた。不安要素はない、そう言い切っていた。

おそらく一番の主役であるみねちゃん。

 

一度外に出され、定刻に入場。

招待制度のおかげでなんだか気忙しかった。僕も多少ながら昔馴染みのヲタクたちを招待した、彼らは既に明確に自分の現場があるか、もうヲタクとしてはリタイヤしてる者たちばかりで、だから今後の集客につながるかと言われれば、そんなことはないという回答になってしまう。制度を無駄にしている。

どうにしろ、歴戦の者たちばかりだ。先に言ってしまうと、そのうち感想を聞けた何人かからは、総じて好意的な感想をもらえた。勿論、招待主を前にして苦言も何も呈せないであろうが。それを差し引いても、悪くない感触だった。

そのような方々と話をしているうちに、あっという間に開演時刻となった。

 

・ライブ

勝手にあるプレイヤーからセットリストは拝借する。

 

1つ足りない賽は投げられた ONE-MAN LIVE ~Before it ends~ @Spotify O-EAST 

映画CM風映像

0. SE 旧衣装登場

1. あっち向いて恋‼︎

2. ダイスロールコントロール

3. まじっくくらっぷ

4. 好きっていいます!(榎本雅ver.)

MC(自己紹介)

5. ノープラン1チャンス

6. 星の形

7. 新しい世界へ

さあやおばあちゃんの回想映像(夢オチ)

新衣装で登場

8. エピローグ

MC

9. First Summer

10. ドッグイヤー

11. 仄暗い闇の外から 

12. Level.1

13. ラブミーマスター 

14. あっぺんだん

15. ちゅー・ハイ!

Ec.1 じゃねーの法則

MC 重大発表映像 (サブスク4曲配信、東名阪ツアー)

メンバーから挨拶 

Ec.2 145,541

MC(写真撮影)

 

危惧していたような、たとえば余計なゲームを挟んだり、余興を行うようなこともなく、かといって例えば全曲ノンストップといった、これまでのひとさいの流れと異なるような演出をするわけでもなかった。

しっかりとこれまで培ってきたひとさいを、そのままの形でぶつけていた。

映像をゆっくり流されてもさほど気にならなくなったのは、僕の老化かもしれないし、変化かもしれない。しっかりと作りこんでいるような印象を受けたからなのか。

 

先に言っておくと、個人的に首をひねったのは2点。

1点はもっちゃんがおばあさんになった回想映像。ひとさいの写真が納まったアルバムをめくっていく。あるページまで行くと、おばあさんが泣き出す。そして浮かび上がる後悔の文字。

言いたいことはわからないでもないが、そしてその直後がエピローグというところからも諸々わからないでもないのだが、いまいち何を言いたいか、掴み切れなかった。しっくりこなかった以上の表現はできないが。

「後悔」というワードは今回のワンマンライブのテーマの一つ、とにかく後悔したくない、やり切るんだ、というのはわかるのだが。

 

もう1点はLevel.1の封印について。

前回のワンマン以来やっておらず、その間は特段、封印するということも、その理由も語られず。

この日の曲前、このワンマンを埋めることを目標にやってきた、そこまで封印してきた、埋めることは叶わなかったけれど胸を張ってこれをやる、そう宣言されてからこの曲に入ったのだが、どうも唐突感があったというか。

言われなくてもおおよそ、そういうことだろう、わかっていた物語ではあったが、初めからそう宣言して封印しておけば、あるいは会場をもう少し埋める手助けにもなったかもしれず。そんなことはないか。

とにかく、物語の共有という点で、プレイヤーを置いてきぼりにしていた感は否めなかった。

あと、単純にLevel.1をしばらくやっていなかったことで、プレイヤーの記憶からも薄れてしまった気もする。そういえばどこでどういうコールをやっていたのだっけ。Level.1という、それまではあまりに多用されすぎていたくらいの切り札が、弱くなってしまった気がしてならない。

あまり効果的に機能していたとは思えなかった。

 

気になったのはこんなもんだった。

運よく最前中央近くに入れ、終始メンバーばかり見上げていたものだから、そしてそこで熱量の交換をしていたものだから、正直後方のモニターの演出はあまり見えていなかった。

それぞれがそれぞれ、大変に良い顔でライブをできていたし、それこそ1年前の1stワンマンライブと比べれば雲泥の差であり、立派な強度を持っていたように思う。

 

僕も昔と比べれば、ずっと燃えさかる炎のようにライブを見ていたわけでもなく、ただなんかいいなあ、そんなことを思いながら、きっと気持ち悪いような笑顔でぼんやりと見ていることもあったわけであり、若い子たちがしっかり成長して頑張ってライブをしているなあ、そんな目で見ていたこともあり。

それでも、これまでのライブと比べれば、どこかひとさいを僕の過去の体験と比べて低く見て、余裕をもってライブを見る、そんな姿勢が消え失せたというか、真剣に取り組んで、がっぷり四つに組み合って、それで楽しめるような、そんな強度をひとさいが備えたような気がする。

 

僕の趣味からしてかろうじて耐えられるというか、好きでいられるくらいの楽曲群、というのも大きいのだろう。これは個人の趣味の話だが。

新曲も披露された。First Summer。いわゆるアイドルらしい、甘酸っぱいひと夏の青春を描いた作品。作詞者のSilent Siren・すぅの影響か、どこかその彼女たちの音を思い出すような曲。甘いだけじゃない、適度な酸っぱさと疾走感を兼ねた、甘々ではないひとさいに似合う曲。

夏の日の光の下で、風に吹かれながら聞きたい曲と感じた。たとえば先日の山中湖や、ダイバーシティのガンダム前。一番似合いそうな舞台が終わってしまっていることが悔やまれる。

 

もう僕も衰えたから、本編が終わることにはすっかり声が枯れてしまった。

それでもライブを損ねぬように、なんとかそれなりの形になるようにと、アンコールをかけさせてもらったが、何とかなっていたのだろうか。

何が終わる前にじゃ、終わらせねえぞ、それはこのライブのサブタイトルを聞いた時からずっと思っていたことだった。

何が終わる前にじゃ。

この日のライブを見ただけでも、終わらないことの確信を持つには足る。だからもう心配などしていないが。

 

メンバーからの挨拶。

先頭打者を任されたもっちゃんは、風のように過ぎ去っていた。やはりしっかり王道の挨拶をする人だから、締めのほうが似合うと思う。

れいちゃんも笑顔で過ぎて行った。彼女も陰に隠れて、この会場の記憶をしっかり塗り替えられたのであろう。

みーあんはみーあんらしく感情が爆発していた。この不器用さがみーあんがみーあんらしい所以だろう。

みねちゃんは思いがこぼれていた。怒涛のように流れて行った。この日のライブ中、みねちゃんはとても笑顔で、それはもうとても笑顔で、身体もとても軽そうで、とにかく楽しそうだった。そんな様子にほっとした。

たかすかさんが泣き出すのは恒例行事になっている。僕は毎回これしか書かない、ここでしっかり無邪気に泣くことができる、それが彼女がエースたる所以だ。

 

何分くらいやっていたのだろう、元々の予定では90分。それよりは少しは延びていただろう。

ひとさいがライブをやっている時には結構、腕時計を何度も確認するのだが、この日はライブ中に確認した覚えがない。

そのくらいにはライブに浸かっていたのだろう。

 

半年後の東名阪ツアー、サブスク解禁が発表された。

今回は東名阪ツアーとしっかり銘打った。前に進んでいる。

3月のワンマンは新宿Reny。現実に帰ってきた、そんな気がした。実際、今回の動員でもRenyも埋まらないだろう。現実はそんなところだ。

なに、これからまた一歩ずつ歩んでいけば、リベンジのチャンスなどいくらでもめぐってくる。そう思えるくらいには何も心配していない。

 

生バンド。また個人的にハードルが上がってしまったな、そう思った。

まったく僕個人の話で申し訳ないのだが、アイドルの生バンドライブの僕にとっての基準は、PASSPO☆×Ground Crewだ。

日本のHR・HM界の腕利きを集めたバックバンドを背に、お世辞にもバランスが良かったとは言えないが、とんでもない力と力のぶつかり合いで、すさまじいエネルギーを壇上から発していた、あの日々の記憶。

こちらも全力なんてものではなかった。死ぬ気で行かなければ壇上からぶっ潰される。命を燃やして対峙した記憶。

生バンドのライブというのはそういう破壊と創造から成り立つものだ、そう僕に刻み込まれている。

 

ひとさいのライブはそういうものではないだろう。それでも確かにバンドサウンドが目立つ曲もいくつもある。

ならば、どのような世界を魅せてくれるのであろう、どのようなひとさいなりの生バンドライブを魅せてくれるのであろう。

ハードルは天高く上げて、楽しみにしている。

 

・ライブ後

大混乱のもとに後物販が行われた。次回以降は確実に改善してほしい。

いろいろ言うことはあれど、今回は特にスタッフの皆様にご協力いただいたことも事実である。御礼申し上げたい。ありがとうございました。

 

もちづきさあやちゃん「たのちかった~」

 

後物販の彼女たちの様子については、それだけを書いておけばよい気がする。いつも通り、もっちゃんはすっかり緊張から解放され、ふやけたような笑顔を浮かべていた。とにかく楽しかった、と。

だから僕も「たのちかったね~」と言った。それだけでよかった。

 

翌日、プレイヤーを集めて打ち上げを行った。

学校の1クラスくらいの人数が集まった。いつもお付き合いいただきありがとうございます。

 

 

すばらしいライブだった、その満足感を大きく感じているし、ライブにそれだけ没頭していた、熱くなっていたから、細かな点など見られていないし、感想もない。

ただ、ひとさいがとても強くなったな、全力で対峙するに足るアイドルになったな、そんなことは思った。

水準以上のアイドルにはなったのではないか。どこに出ても、それなりにやれる、恥ずかしくないライブができる。

 

ひとさいがひとさいだけの強みを見つけ、色を出し、凄玉へと成長していく、そんな局面に入ったのではないか。

もう壇上へ期待することも、一段上げてよい。妥協のない期待をしていきたい。おそらくその期待に応えられるし、批判に耐えられる。

ひとさいの世界を描いて行ける、老若男女誰もがフロアで楽しめる、優しい世界、そんな客の前で、ある程度成熟しながらアイドルらしく可愛く、そして様々な色を見せてくれる、マジックボックスのようなひとさい。

このライブアイドルシーンでは異端のフロアであろうから、今後もまた集客の面で思うようにいかず、苦労を重ねるかもしれない。

実際にさらに上の次元を目指していく際、どういう客がこのフロアにやってくるのか、あまり僕も想像もついていない。

それでも、だからこそ、もがいてもがいて、上を目指すことができる、誰もいない高みを目指していくことができる、そのための体制は整った、真に夢を見られる、そんなグループになったと思う。

 

やはりあまり書くことも思いつかなかった。

筆をおいた後にあれもこれもと出てくるのだろう。

それはこの日の出来にとても満足しているからだ。

 

「僕個人にとって未来が見えるというのなら、きっとそのパフォーマンスに対してさらなる自信、確信が得られる、そのようなことをさすのだと勝手に信じている。「ひとさい」である理由が示せる、そんなものを眼前に示してくれる、それを信じている」

そんなことを前の記事に書いた。

満点回答だ。素晴らしいよ。ブラボー。

君たちが「ひとさい」である理由をさらに示していってほしい。僕はそれを、もっちゃんを通してこれからも見ていく。僕にできることなんかない、ただ見ていく、それだけのことだ。

そして、成り上がっていく望月さあやを見ていく。望月さあやはさらに成り上がって、有名になっていくのだ、歌とダンス、パフォーマンスに妥協を許さぬその姿勢で、成り上がっていくのだ。