幸せか、と疑問形にしているけれど、結論から言ってしまおう、幸せに決まっている。
…かどうか、本当のところは僕にはわからないけれど。一年に数回程度しか彼女のライブを見ない、接触に行かない僕には。
けれど、きっと幸せだと思う。

なんだかんだ、アイドルを始めてもう8年目になる。

「ゆりりんは
7期が大量昇格して事務所が決定していく場面に立ち会い
同期が大量に解雇されていく場面に立ち会い
AKBが全国的に有名になる中で
正規メンがまともに公演しない劇場を昇格の可能性がほどんどない状況で守るという
不遇の時代を過ごし
最後に残った同期のあさぽんが去っていき一人残され
後輩が激推しされる中 セレクション不合格という不名誉な形で
AKBから追い出されたそういうメンバーだったんだ」

昔話。

いつも通り、レポートを書く気はない。

・愛乙女☆DOLL「佐野友里子バースデーライブ2017」@渋谷WWW

生誕祭と銘打たれたライブ、場内は彼女のメンバーカラーである黄色の光で彩られていた。
ファン有志が用意した、ありがちなサイリウムに加え、タオルが配られる。
毎回恒例。汗っかきな彼女に合わせたグッズだ。

翌日が現体制最後の日なのだという。もちろん僕はその事実をこの日、初めて知った。
相変わらず、息をするようにメンバーを変えていく、アークジュエルのグループ。
思えば、AKBもそんな、実に代謝のいいグループだった。すべてのメンバーは交換可能だとでもいうように…というほど、皆殺しなわけでもないが。

その中核グループである愛乙女☆DOLLに在籍してから、もう5度目の生誕祭なのだという。
かつてはすぐに代謝の波に飲み込まれた彼女も、ここではすっかり安定勢力。

セットリストをすべて並べるようなことはしない。
前半戦については僕は、いよいよ似合う季節になってきたビターチョコ・バレンタインを見られただけで満足していた。いかにもにわかである。

彼女のソロコーナー。
持ち曲のソロナンバー・「ソレイユの魔法」に引き続き披露したのは、「好き 好き 好き」(AKB48 teamB5th「シアターの女神」より)。そして残りのメンバーを連れ出して、「二人セゾン」(欅坂46 3rdシングル)。

きっちり、48&46。

数曲ののち、アンコール。
彼女がまたソロで歌う。
「夕陽を見ているか?」(AKB48 メジャー6thシングル)。

この3曲を同時に聞けるライブがどこにあるだろう。
彼女はこのグループの昔も自分の中のリアルも今も、すべてを愛している。
MCでは「あるグループ」と濁していたけれど。

過去に縛られていると言ってしまえばそれまでだろう。
けれど、彼女の場合は、むしろ積極的に縛られに行っている。未だに恋い焦がれたグループ、その姿に近づこうとしているようにすら見える。

彼女は今でも古巣を愛している。
48にあこがれ、48になり、48に傷つけられ、突き落とされ、それでも48を夢見て、48の正統派フォロワーアイドルの中核として、今を生きている。
だからこそ、あえて前述の昔話も記したわけだ。

同じく元AKB48研究生の上遠野瑞穂こと、愛迫みゆに見いだされて現在のグループに入ったのも、まさしく運命のいたずらであり、そして彼女にとってはこの上もない僥倖であったのだろう。
規模は小さいながらも、それでも立派に今でも憧れに近づかんとすべく、活動できているのだ。

夕陽を歌いながら、涙で声を詰まらせたり。
生誕MCでも泣いて見せたり。
もう25だと自虐してみたり。
相変わらず頼りないところもあり、弱気なところもあり。
本質は変わらず、それでいてベテランアイドルとしての文脈で、きっちりとしたふるまい、そしてぶりっ子。

48で育った僕にとっては、彼女こそがアイドルであり。
だから僕はアイドルというものを思い出したくなった時、彼女を見に行く。
そして、少しでも彼女に近づくよう、目一杯腕を伸ばして指差しをし、ケチャをし、そして全力でコールをする。

そうやって、一対一になる。
ほかのヲタクは関係ない、アイドルとヲタクは最終的に一対一。
かつてどこかのヲタクに聞いた、僕がヲタクとして座右の銘にしている一言である。
真にこうさせてくれる存在、それが僕にとっての佐野友里子だ。

一昨年の6月、槙田紗子休止後、初めてのアイドル現場として選んだ、西船橋東武。
さこの顛末を一方的にまくしたてる僕の話を静かに聞きながら、2チェキに書いてくれた「おかえり」の4文字、僕はそれを忘れることのできない恩義と感じている。
そういいながら、いつだってそこまで熱心に通っていないのが全く申し訳ないのだけれど、こればかりはそういうものだということであろうし、どうしようもないしどうするつもりでもない。

だから彼女が今度こそ、燃え尽きるまでやりたいようにアイドルができるよう、それだけいつも願うのだ。
笑顔と汗が尽き果てるまで、アイドルをできるよう。

結局、佐野友里子を語ることは僕自身の思いを語ることになってしまう。
まあ、ヲタクにとってのアイドルなんてのはそんなものなのだろう。

佐野友里子さん、25歳のお誕生日、おめでとうございました。