記憶の中の味を求めて。

油そば 雷神

手紙出しに行って、地元の大戸屋で食おうと思ってたのに、なんか気が付いたら帰りにふらっと地元に立ち寄って食っていた。
って両方地元やんけ。
最初の地元は今の住処、次の地元はちょっと前まで住んでいたところだ。

アルミだかなんだかとタイル地によって構成された、無機的な空間。カウンター7~8席、タイル地。入った時は4人ほど。
油そば(大盛)650円也を頼む。餃子をお勧めされ、頼む。200円也。
店内を見回すと「餃子…平日15時~18時は無料です」の文字。携帯を見ると18時5分。ついてない。

油そばなので、スープはない。
ラー油みたいな、でももっと油っぽくて粘り気のあるものが、中太のめんに絡んでいる。上に挽き肉。海苔、メンマ、冗談のようななると。サービスでスープをくれる。
酢とタレ(=麺にかかっている、ラー油に似たもの)がカウンターにも置いてあり、それを初めに適量回しかけて、混ぜてから食べる。

油そばの割にはそこまで油っぽくない。適度には味があるが、油そばとしては全体に薄い味。
途中で無料トッピングの「あげ玉」と「きざみにんにく」を頼む。にんにくはひとつかみくらいのすりおろしたにんにく。誰と会う予定のない夜でよかったと思う。
にんにくをいれるとだいぶ主張の強い味になり、おいしく食べられたが、これは単に俺がにんにく好きだからだろう。

記憶の中の味。
昔、市川の駅ビルには「油そば ぶぶか」という店が入っていた(今は同じ場所に「喜多方ラーメン 小法師」が入っている)。今でも高田馬場にある同名店があったのだ。
そこの油そば。俺の油そば初体験であり、かつ、おそらく人生で一番好きだった味。

一番うまいか、と言われれば、はいそうですと言える自信はない。
ただ、一番好きか、と聞かれれば、首を何度でも縦に振る。

市川の油そば、それだけでその、今は亡き「ぶぶか」を追い求めてしまう。
しかしあそこの油そばはもっと濃厚で、麺も太かった。「太い麺のため時間がかかります」だの、「体調の悪い方はご遠慮ください」だの書いてあった。
それでも中高生の俺は土曜日が来ては、学校帰りに「ぶぶか」に立ち寄っては「油そば」を食っていたのである。にんにくをかけるのも当時から好きだった。

振り返って、雷神。
口の中をすっきりさせるスープはありがたいが、濃厚さでは逆立ちしてもぶぶかにはかなわない。もともと食べやすい油そばにしたかったのだろう、幻を求めても無駄なのである。
しかし俺は油そば、というだけで、何回かこの地元の新店に入った。昔に戻りたいんだろうか、にゃあ。

ぶぶかも雷神も、別に人に勧めるような味ではない。ただ、俺はぶぶかが好きだというだけなのである。
食べやすさでは断然雷神。油そば入門編としてはよろしいのではないか。

あ、餃子は悪くなかったです。タレなしで食うスタイルだけど、タネにしっかり味が付いているので無問題。