『がんカテーテル治療とか、動注化学療法とか。』
この治療を受けたいなぁ...と考えていらっしゃる患者さんに《体験験者の一人として》治療前後の状態や、自身の思うことを書いてみたいと思います。
少々長くなりますが個人の実体験、結果ですのでご了承ください。
先ずご理解頂きたいのですが卵巣がんの場合ですと、どこの病院でも簡単に受けられる治療法として確立されていません。
高度な技術が必要ですし、治療環境(精密度の高い医療器具と精通した検査技師や看護師の存在)も必須です。
医師が画像診断にて腫瘍の位置を正確に把握し、狙った腫瘍が栄養補給している動脈血管を探して正確に適量の抗がん剤を注入するのが動注療法です。
また、私などは複数の腫瘍があったので、治療のたびに、全量を2箇所3箇所と大きさに応じて分割して注入して頂きました。
かなりの辛口患者ざきさんでさえ、この治療に必要な要素(知識や技術的な腕前も含みます)が多いと驚いたのが本音です。
私は猫大好き人間ですので、治療して頂いたDr.「ニャンコ先生」との呼び名には少々抵抗があります。ですから「関Dr.と」呼ばせていただきます(*^^*)
卵巣がんの再発を繰り返して、関先生のカテーテル治療を初めて受けたのは2016年10月末でした。
それ以前は、普通のCT(DC)療法を過去5ライン受けています。
〈①2006年 4クール・②2007年4クール・③2010年4クール ・④2015年6クール・⑤2016年4クール〉
この結果を見ていただいても、『大変化学療法が効くタイプ』である事が分かると思います。副作用も強かったですが寛解も早かった患者です。
とは言え、効果がある患者でも年数と再発回数が増えれば、薬によって腫瘍の増大を抑えられなくなります。
私は再発卵巣がんとは、そういうモノだとはっきり認識して治療を重ねてきました。
2016年7月の最終投与直後でも叩き切れなかった腫瘍は、腸管周囲に目で見える限り1個でけでした。
でも、何ヶ月か休薬すればまた増悪するのは明らかな状況でした。
↑の内容は、主治医に言われたのではありません。長年の治療経験と学習で得た知識から、自分で把握した判断です。
5ライン目ですので「次の治療も避けられない」と、2-3クール目から次回腫瘍が増大した時の治療の選択肢を模索していました。
こんな背景を抱えいた頃に『がんカテーテル治療』を知ったのです。
卵巣がんの治療の選択肢としては一般的ではありませんので、どうして知ったのか...実は良く覚えていません ともかく、ニャンコ先生のブログに辿りついて内容を読ませて頂いたのです。
読んで得た情報は
〈関先生の講演会が東京で開催される〉〈どうもこの先生の講演会は、大阪で人気があるらしい〉
〈動注療法で⁇ 緩和目的⁇ 卵巣がんの患者さんにも効果がある⁇〉 → 本当かしら⁇?
全く知らない世界でしたので、調べました。
私は根っからの“東京至上主義者(笑)”です。いえいえ、単に関西方面には関心も知り合いもいなかっただけなんですがネ。
おそらく、東京以北でも動注療法を実施している施設はあると思います。が私の認識では『肝臓がん・膵臓がんの治療法』でしかありません。
マイナーな治療である事は、実施されている吹田徳州会病院で『臨床試験』として行われている事からも理解できるでしょう。
関先生の講演会前に、先生のブログを読んで幾つか質問させて頂きました。
当時は大阪は遠〜〜くて、治療に通うなんてあり得まいと思っていたんです。
4クール目の治療が近づてきた頃に、実家の大姉に『これ以上化学療法を続けるのは厳しくなって来た』『可能性として大阪でしか受けられない治療があるんだけど、通院が大変だと思う』と伝えました。
ウチの大姉は意外と太っ腹と言うか...体育会系のヒトですので「一番若いのに何言ってんのよ!もう少し頑張りなさいな!」と弱気の末妹を一喝したのです。
下手に病気の事を知っている人と違って、全く寄り添ってくれませんでした(笑笑
それに加えて「アンタが倒れたら年寄り二人誰が面倒見るの⁈ アタシ一人じゃ無理なんだから、その辺も良く考えてネ!」と現実を突き付けたのです。
私の実家...一般家庭とは別世界だと思います。本物の病人でも動ける限りの役割はしないといけません。丁度その頃から、母の認知症は少しづつ進んでいました。
そりゃそうだ...この両親を放りだせないわ。子育てとはチョット種類の違う「義務感責任感」をズッシリと再確認させられました。
トドメが「大阪なんか新幹線ですぐ行けるでしょ。飛行機乗って行くわけじゃないんだから、一回行って来なさい!」
私は物心ついた時から “大姉の子分“ ですので、大姉の命令には素直です。この時点で、大阪まで行く覚悟が出来ました。
もう過去の思い出話しになりましたが、この時の大姉の叱責で踏ん切りがついたのです。
ま、深く考えて私にアドバイスした訳ではないんですヨ。ソコは姉妹、よおぉく知ってます。が、こんな妹でもとは比較にならない程役に立ちますので、居ないと困るのが本音です。
最終的には大阪方面に「ご縁があった」のでしょうね(≧∇≦)、きっと。
では真面目な話に戻ります。
先ずは、正式名称動注化学療法とはどんな治療なのかを引用してご紹介をします。
動注療法とは
動脈は、細胞に酸素や栄養を含む血液を送っています。がん細胞も動脈から酸素と栄養を得ています。この血管に直接抗がん剤を注入するのが、動注療法です。
抗がん剤は、経口や静脈注射で全身に使用された場合、目標のがん細胞に達するまでに低い濃度になってしまい、また正常細胞まで抗がん剤の毒性が影響してしまいます。
ところが、がん細胞の近くの動脈血管に抗がん剤を注入すると、静脈を経由するよりも10倍濃い抗がん剤を送ることができ、その分、少ない使用量で高い効果が期待され、副作用も軽くなります。
動注療法の方法
X線で血管撮影をしながら、カテーテル(細い管)を太もものつけ根や鎖骨下などの動脈から挿入して、がん病巣の栄養血管(がんに酸素と栄養を供給している動脈)まで通し、抗がん剤を注入します。注入は定期的に行なう必要があります。
どんながんに効くか
動注療法は局所療法であり、全身に広がったがんには、ふつう用いられません。また、カテーテルを挿入できるだけの太さの栄養血管がある部位のがんが対象となります。
動注療法が行なわれるがんは、肝がん、腎がんのほか、頭頸部がん、骨腫瘍、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、進行した乳がん、などです。
------以上「コトバンク」より
私は治療回数が多い方だったので体力的にも全身治療(CTやシスプラチン単剤やドキシル単剤)は難しいと感じていました。
これ以上腫瘍の増大は避けられないと理解していましたが、残りの時間の痛みを想像するとゾッとしてしまって...。
身体が動く間に②の関先生の治療が可能かどうか「セカンドオピニオンを受けてみよう」と、治療最終回には主治医から紹介状を書いて頂きました。
早々に予約を取ったセカオピでは「増悪したら治療開始OK」との有り難い結果でした。その後3ヵ月で予想通り腸管周囲の腫瘍はぶどう状に増加していましたが、CT画像で見ても他の場所には見当たりませんでしたので、予定通り治療を開始出来ました。
ダメ元で...と言っては先生に失礼ですが、正直に初回の気持ちはその通りでした。脚や腰の痛みや息切れ等々が、今より楽になれば良いとの思いだけだったんのです。
幸いとても良い結果が出ましたので、トータル15回の治療を受けられました。痛みの改善は目覚しかったです。副作用も出ましたが、全身療法に比べると軽かったです。
大変恵まれまして、私と先生の目標である「痛みの改善と延命効果」は充分な結果が出た次第です。
※ 毎回の治療経過は過去ブログにてUPしてありますので、気になる方は参考にしてください。2016年10月からの記事になります。
今年3月の最終診察時、腫瘍の増悪を抑えられなくなったので中止との説明を受けましたが、すっきりと爽やかに受け止められました。
なんと言いますか、山登りした山頂で「バンザイ🙌」と叫んで降りて来た感じでしょうか?
『やり切った・やり切って治療して頂いた』そんな気持ちでいっぱいだったのです。
どんな治療も、患者さんはお一人お一人が抱えている病状も個人的問題も異なっていますので
「この治療で必ず好転する」と断言できるものは無いです。
そして、誰でも最終的に治療薬が絞られて体調も悪くなる...のが自然ながん患者の辿る道です。
治療中止になってからの体調は、日々下降していきました(実はホント来年は来ないと思ってました
ですが私の場合、15回の動注治療を受け切った時に「新薬= オラパリブ(商品名: リムパーザ)」の発売日が決まる寸前だったのです。
この絶妙なタイミングを狙って治療をしていたのではありませんよ。
正直、動注療法は「やめ時」の判断が難しい治療です。まして私のように、ソコソコ効果が出ると...止めるに止めれない...ように感じていました。
が、終盤になって「肺動脈血栓」が見つかり「水腎症」になったのが決め手となりました。
このトータル15回の動注療法を受けている間に、オラパリブが承認され
たのです
個人的には、あまり期待していない薬だったのですが...
13年間治療して来た私には、もうこの薬に賭けるしかなかったのです。
動注療法している間に最新のトンネルが一つ開通したんですねー。何が起こるかわからない...の何度目かをまたまた体験してしまいました。
懐中電灯を持参して進まないとならないトンネルですが、自ら手を挙げて潜り込みまして只今行進中でございます。
来週で服用5ヶ月を終えます。
長く服用するには、シンドイ面もありますが今のところはナンとかなっています。
現在抗がん剤は、日々進んでいます。
今できる治療法で踏ん張れば、もしかしたら新薬が出るかも知れません。
が、ここで進む道を間違える方々が最近目立つように感じます。
次回は「選択肢選ぶ観点」について個人的意見を書く予定です。
長くなりまして申し訳ございません。
では、またお会いしましょう。