「ありの~ ままの~ …」の歌のように | 卵巣がんになった`zaki‘の空間遊泳

卵巣がんになった`zaki‘の空間遊泳

2006年秋「悪性卵巣腫瘍の疑い」と告げられ、治療→再発転移を幾度も繰り返す。
◆受けた治療:手術4回・化学療法5ライン・放射線1回・がんカテーテル治療15回
◆現在: リムパーザ錠服用中
♫ 卵巣がんと長~くお付き合いしている、現役患者です。



今年の春が来てから、不穏な気配を感じておりました…

  「そろそろ、がんちゃんが現れそうだな~。やだな~。」って。

その兆候とも思われるような‘嫌な出来事‘が起こっていました。

 ① 昨年まできれいなお花を咲かせてくれていた、バラの鉢 … なんとなく力がない

 ② 放置しておいても、自らの力で頑張れるはずの‘サボテン科の鉢‘が、一斉に萎れた

 
そして、マーカー値が上がった頃には、私が可愛がっていた鉢たちはこんな姿になっておりました。









 バラは、この一輪のみを立派に咲かせたのち、力尽きたのか枯れてしまいました。

 麒麟草は、枝先がダメになったので丸刈りにしてあげましたが…。

 いまだに回復の兆しはありません(涙)

 週1回の外泊日、新しく挿し木した鉢の様子を見てきてはいるのですが…

 今週末に、見るのがコワイです。


 『ごめん、ありがとね。私の身代わりになってくれて。ううっ』


 と、お別れの言葉をかけてあげました。



 もう犠牲になるものはない(だろう)と思っていたのに、

 なんとなんと、金曜日に自宅に泊まり、土曜日の午前中までなんの問題なく使っていてた


  愛用のパソコンが、病院に戻ったら立ち上がらなくなってしまいました汗


 ここまでやられたか~

 正直力が抜けました。

 そして速攻ASを頼み、4日後の本日午後、無事に復帰いたしましたラブラブ


 で、この間はPCの代わりに‘娘のお古のiPad‘しか使えず大変不便でした。

 このiPadの利用目的は「ライン専用」です。

 スマホ時代の娘たちには、メールはもう過去の遺物。出したところで帰って来ません。


 では、この連絡手段の為に私がスマホに変えるか?と考えたこともあるんですが

    字が小さすぎてムリ!!

 なので、大学生になって念願の機種変更を果たした娘から、奪い取ることにして解決いたしました。


 なんて世の中になったんだろ?とブツブツ言いたくなりますが、仕方ありません。

    「生きているうちに、使える文明は使い倒す」 
 → という目標も持っていたことを思い出し、久しぶりのPCを可愛がってあげているとことです。

 
  この期間、PCタイムが無くなったので引っ張りでしてきたのが これ <ステンドグラスキルト>



これは、ちょうど8年前の今頃からボチボチと作り始めていたのです。

裏の白地に絵を写しとって、その上に色紙のようにむら染めの生地をのせ、動かさないように気を付けながら黒布を重ね白のしつけ糸をかけていきます。

 ここからがお楽しみの始まりです音譜

 黒い生地を抜いていくと、下からイロイロな色があらわれて「ステンドグラス」のように見えるでしょ。


 この8年間の間に、このぶどうの作品はいつも私の頭の片隅にいました。

 でもなかなか手を付けられなかった理由があります。


   縫い方が下手になった~汗


 きっと私以外のひとは、誰~も気にも留めないと思います。

 でもでも、私にとって「こんなに限りなく完璧に近い腕」← 自分の基準です、念のため

 上の葉の部分にご注目ください。  

 キレイにピシッと縫えてるでしょ!
        

 でも、病後に縫った房の部分はガタガタで泣き3


 許せなかったのです。自分の作品として…

 

 でも、今回は「今の自分のできる範囲で縫えばいいやビックリマーク

 とようやく諦めがつきました。


 入院直前までチマチマと縫い縫いして、葉っぱまでは出来ていた「ぶどう」

 8年たって、こんなに下手くそになっちゃったけど『今の私にできること』の証拠品デス。




 「どぉれ、この子を完成させてあげようか」と決めた時、頭の中に浮かんだ音楽は


   なぜか、 トーン記号♪Let It Go ~ありのままで~、  アナと雪の女王 のテーマソング。 

  下手でも楽しいからやってしまおう~、と勝手に替え歌にして歌っておりました。


 いつもは私の手仕事には、あまり関心を示さない主治医も

 「あらー、スゴイですね。 え~、入院前にしていたものの続きですか」

 とコメントをくださいました。


 「これって、退院までに出来上がるんですか?」とご質問まで受けて…


 ‘センセ、手術じゃないんだからすぐに切って縫っては出来ないんですよ‘ って思いながら

 「たぶん無理かと思います」と答えさせていただきました。


  気分は「やれるかもしれないな~」と思ってます。


          ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



 今日は「医学部1年生の病室研修」の日でした。

 看護師さんたちは昨日でした。

 病棟のスタッフの皆さんには、とっても大変な日々だそうです。


 昨日アサイチで看護師長さんが、お部屋に来られました。


 「ざきさん、明日医学部生が‘患者さんから見た医師‘という研修で来るんです。

  1日付いて回る、ちょっと面倒な事なんですけど協力してもらえますか?」


   「あはは、医者の悪愚痴ばっかり言いますよ。いいんですか?」


 「何言ってもいいですよ。よろしくお願いしますね。」


  ほぉ笑う、これは面白い!

 
  同室の方もお一人お願いされました。


    …そのくらい、元気なお部屋です…


  看護主任さんは、昨日はメチャメチャ大変だったそうで、私たちの部屋で愚痴をこぼしていかれました。


 「1年生の研修って、すっごく疲れるんですよ。イチから全部説明しないといけなくてね…」

 
 「アタシ、ホントに忙しくて大変なんですよ。だから、患者さん選ぶ時も楽しようと思ってたのに、師長さんに裏切られてね!!

  ‘ざきさんと〇木さんは、もう医学生でお願いしてあるからね‘って言われちゃって!!

 
 私のこと、可愛い後輩だと思ってくれてると思ってたのにっ、もう。最後は自分が楽したいんだ!」


 と、ひとしきりぼやいておりました。


 自分の病気のことを、ある程度正確にお話してくれる患者さんじゃないと難しいんですって。


 私と同室の方、本日9時に現れた「地方出身の男の子」を午前中いっぱい受け持たされました。


 私たちの目標は

「君をかわいい、と思ってくれるのはお母さんだけだよ。

 それ以外のオバサンンは、容赦なく怖い存在なんだよ」
 

 この事を理解させよう、と云うことでした♡

 
 私の所には「ぼく、いいトコロのお坊ちゃんです」と名札がついているような現役1年生。

 もう一人は「医学部入るまで、いろいろ大変でした(涙」とにじみ出ていた2浪生。


 私は朝9時から放射線の治療がありますので、部屋に入る間もなく治療室に連れて行って


 チョコット中まで見せてもらってあげて、帰り道に売店に寄って2Lのペットボトル2本買いに行きました。

 「はい、じゃあこれ持って。よろしく」とコンビニの袋を下げた医学部生を連れて、病室に戻りました。


 戻ったとたん、皆さんの視線が袋に…。

 「えらい、学生さん。もうお手伝いしてるのね」と拍手と大笑い。



 澄ました顔で私は
 
 「せっかくの機会だから、一番大変なコトお手伝いしてもらったの。」


 そして、いかに重い物を持つのが大変かと云うことを、滔々と話し始めました。


 勤務医のお父さんの下、勉強以外の苦労は何もしてこなかった学生さん。

 
 ざきさんの「ヤブ医者話や、人間性の低い医者」のお話をたっぷり聞かされて帰りました。


 会って初めに「どんなレポート書くの?」と尋ねたら、

 「先輩から譲り受けたレポートがあるので、それを参考にします」と素直なお答え。


 まあ、わかりますけどね。実は私もレポートといえば「丸写しに近い」ものでしたから。



 でも、あまりにも「自分が将来なるであろう職業」をこき下ろされて、同じに書けるのかな?


 少々気になりますが、彼が医者になっても‘きっとお会いすることはない‘ので、


 もう忘れて休みます。



 ☆ 学生さんへの私の感想は ☆


  ちっちゃい夢しかなくて、チョット可哀想…  でした。