久々に、心打たれた本 | 卵巣がんになった`zaki‘の空間遊泳

卵巣がんになった`zaki‘の空間遊泳

2006年秋「悪性卵巣腫瘍の疑い」と告げられ、治療→再発転移を幾度も繰り返す。
◆受けた治療:手術4回・化学療法5ライン・放射線1回・がんカテーテル治療15回
◆現在: リムパーザ錠服用中
♫ 卵巣がんと長~くお付き合いしている、現役患者です。

昨日は、1ヵ月ごとの定期検診の日。


私は、今まで定期健診が‘3ヵ月ごと‘になったのは1回だけであります。


そして、その時に2回目の転移が発覚しました。


今回は「ざきさんは、大変でしょうがずっと月一で検診しましょうね」と言われています。


「はい。私もそのほうが安心です。」


今回も異常なし。マカー値は「9」ビックリマーク ホッとしました。



時々病院で白衣姿の人々を眺めていると、自分が患者であることを忘れ、‘職場‘のように錯覚してしまうことがあります。


いったい年間延べ何日過ごしたら、こうなるのでしょうねぇ。


で、昨日は風の強さが半端でなく、外は砂埃が舞っているのでずっと病院の中にいました。


いつも売店の本屋さんに行きます。



店頭には「がんに負けない生き方」みたいなモノの本が、ずらっと置かれています。


こういう手の本、私は苦手です。


「アタシは、自分の考えで生きるから今更本を読んだって…」と思っているからです。



で、いつも絵本コーナーに行きます。


絵本、好きなんです。


私が生まれたころ『こどものとも』が発刊されたようで、私の記憶に<ぐりとぐら>とか<泣いた赤おに>等々があります。


幼いころは、今のようにたくさんの絵本があったわけではないので、何度も何度も読みました。


子供たちにも、山のように絵本を読んであげました。



このとき困ったのが、絵本の数が少なかったことです。


ですから、ここ何年か前から『おはなしチャイルド』を定期購読しております。


娘たちが、私の孫に読み聞かせをさせるように準備しているんです。


…という名目で、楽しんでいるんですが…


ここの本屋さん、時々掘り出し物があります。


昨日も見つけました。



新美南吉さんの『でんでんむしのかなしみ』です。


新美さんといえば『ごんぎつね』『てぶくろをかいに』しか覚えのない私でした。


何気に手に取り、ページをめくっていくと…


ずっしりと、心が揺さぶられました。



「へぇ~、こんな作品もあったんだ。」


「なんか、じーんと来るものを感じちゃったな~」


「えっ、大学生時代の作品?」


「きっと、いろいろな悲しみをたくさん、たくさん感じていたんだな…」



と、心の琴線に響いたのでした。


その場で買って、大切に持って帰ってきました(正確には、その足で実家に来たのですが)



寝る前に、また読み返し…読み返し…



久々に、深い感動の世界を感じました。



最近はなかったんです。こういう感動。



新美さんは、幼少時代から身体が弱い上に複雑な家庭環境で育ち、結核で30歳を迎えることなく亡くなったことは知っていました。



きっと、普段からいろいろなことに感性を研ぎ澄まし、思いを昇華させていったのではないでしょうか。


…私個人の感想です。



春のお彼岸が始まりました。


菊の花は避けて、黄色いガーベラとか、紫・ブルーのスイトピー、赤いミニバラなんかを買ってきました。


私が供えられる側だったら…いつも菊の花じゃね~。はっきり言って、嫌です。


なので、春らしい色の仏壇になりました。



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参考までに、『でんでんむしの悲しみ』のあらすじを・・・



ある日、でんでん虫は「自分の殻の中には『悲しみ』しか詰まっていない」ことにうっかり気付き、「もう生きていけない」と嘆く。そこで別のでんでん虫にその話をするが「私の殻も悲しみしか詰まっていない」と言い、また別のでんでん虫も同じ事を言った。そして最初のでんでん虫は「悲しみは誰でも持っている。自分の悲しみは自分で堪えていくしかない」と嘆くのをやめた。


どちらかというと、詩のような絵本です。