書印会の藤川抱神です。


最近になりますが
そろそろ書か篆刻か主軸を明確にして
みたいと考えました。
元々書の方が好きです。
古典の臨書をたくさんやりまして
篆書、隷書、楷書、行草の良いものに
取り憑かれたました。


一時的に収入があり文房四宝も
たいへん高価な物を買い集めて
気に入りました筆などは10年以上の
ストックが有ります。


しかし変わらないのは自分だけ…
環境はだいぶ変わりました!
子供たちの成長と
生業の在宅勤務など
贅沢な書の創作部屋は消滅して
その次は大量の法帖や書籍類の
置き場所の消滅
4分の一売却したり譲ったりしましたが
まだまだたくさん有ります。




小さな作品はお世話になっている方や
親しい方に譲ってしまい
半切、全紙以上の大作が
子供部屋のクローゼットを間借りして
保管しております。
子供たち2人の作品も含まれます。




変化と言えばもう一つ
現在の職場に以前の職場の仲間たちが
合流することになり
その1人が以前の小生の篆刻作品を
知って興味を持ち少しずつ教え始めた…
という事です。



具体的に書印会 千葉支部として
やっているわけではありませんが
3人に教え始めたら考えます。
スタンスは書印会ミニチュアを千葉で
という感じです。



今回は篆刻作品創作作業で
初心者の頃誰しも苦労する転写作業を
小生流にもう一度整理して
職場の仲間に見せて差し上げたので
記録としてブログ記事に致します。

〜記〜

耐水ペーパーなどの紙やすりを
真っ平な机の上に敷き
印材の面を平らに動かして摺ります。
目的は印材の表面に化粧として
薄く塗られている蝋を取り去ることです。
また平らでは無い可能性も有り
傷やひび割れなども良く確認します。
平らに摺りましたら
水道水で洗い乾かします。
マジック転写をされる場合には特に
洗剤などは使わないようにしましょう。
洗剤成分の表面活性剤が被膜を形成し
カーボンやトナー、インクが
乗りにくくなります。

大概この一生懸命さが仇になり
上手く転写が出来ないから嫌になって
辞める方がいます。

しかし上手く転写出来る意味と
出来ない意味を教えて貰えれば
たいへんハッピーですね!


良く乾燥したら小生の場合は
全面に朱墨を塗ります。
これは転写の精度を上げる事に繋がります。
朱墨は塗っている間はムラが有りますが
乾くと一様にスッキリします。
ダイソーのカーボン紙を彫る面の縁より
各々1センチ広く切ります。
シワや浮きが無い様に丁寧に貼ります。
別に用意したトレーシングペーパーに
模刻課題や自分で考えた原稿を写します。
塗り潰しは重要ではありませんが
分かりやすさのために塗っています。
硬質の油性ボールペンの先が尖っていると
薄いトレーシングペーパーに穴が開いて
しまいます。
トレーシングペーパーがヨレヨレで
次作業の役に立ちません!
ここで挫折する人も多い気がします。
最近はSARASAなど顔料インクの
ボールペンで0.3から1.0まで太さ様々です。
顔料インクなので写し取りしやすいので
オススメです。
こんな感じです。
印材に貼ってあるカーボン紙の上に
写し取ったトレーシングペーパーを裏返し
位置を十分確認しながら重ねます。
曲がらない様に!
位置が決まったらズレない様に
テープで貼ります。
くれぐれもズレない様に。
そして裏返しになっているか再確認します。
冷静さを欠くと表面で重ねて転写まで
してしまいます。
裏返すことでなんとなく縁や文字、余白の
位置や太さなど調整した方が
しっくり来る場合も有ります。
そう思ったら修正です。
トレーシングペーパーの裏から写し取った
部分をなぞります。
この時にはなるべくボールペン先が
しっかりと印材まで当たっている様な
筆圧でなぞります。
上っ面だけなぞりますと
トレーシングペーパーの裏に
インクだけ着いて終わります。
ここまで一生懸命やって転写出来無いと
かなりガッカリし凹みますね。
師匠や先輩を見て覚える…
今はそういう時代では無いと思います。
作業の意味と道具の準備と使い方を
いかにスピード感を持って理解するのか
楽しく明るい事の方に時間を割く
そういう事が書や篆刻をやる人を
増やせる方法の一つだと思います。
カラー画像や動画の時代
分かりやすさもスピードアップします。
印材の彫る面を平らにしてから
ここまでで30分から1時間でしょうか?
トレーシングペーパーと
カーボン紙を丁寧に剥がします。
文字や縁の輪郭や位置が転写されています。
塗り潰しなどはテキトーで良いのです。


ここからがお楽しみ時間です。
今度は墨を濃く擦って
硬いままの小筆の先を利用して
転写した輪郭の内側に墨入れします。
この時にカーボン紙に写し取る時の
原稿を注意深く観察しながら作業します。
左右反対ですが文字も縁も十分見比べて
原稿に忠実に墨で書きます。
書き過ぎたら濃く擦った朱墨で訂正します。
いったん終了して半日、数日経ってから
眺めてみると案外違和感を感じるものです。
直ぐに彫り始めずに数日放置することで
全面に意識が広がり客観的に見れる様に
なるものです。

書展や展覧会など締め切りギリギリに
この一連の作業を何度もやりまして
バタバタ指定の表具屋に発送…もしくは
師匠に提出…良い作品が出来わけが無い。
なかなか気が付かないものですね。
もういい!と心に平安と清々しさが
やって来たり
直し過ぎて戻したりという事が起き始めたら
転写を終了しましょう。

この墨と朱墨での書き入れは
原稿がホントの意味で印稿になる
作業なのでいちばん楽しい時間に
なると思いますが
上手くいかないとこれこそ苦痛だけの
工程になり意欲も削がれるものですね。


昔ながらテクニックや
他にも方法は有ります。
令和の時代
ひょっとしてIT機器の活用で3分もかからず
転写出来るものかもしれませんね。




藤川抱神