18、虐待の統計的な記録(山梨県・人口887000) | NPO法人生涯青春の会

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ここに収録する記述は、会報、エッセイ「癒しの森」、高齢者情報、日々の映像のまとめなどです。



20060515()  日々の映像から

 山梨県は人口887000人の小さな県である。県が初めて行った調査によると「家庭で虐待を受けた高齢者は252人に上ることが分かった」(毎日から)という。県の社会課は04年4月~05年3月、保健所や市町村、在宅介護支援センター、居宅介護支援の計389カ所に派遣先などでの調査を依頼し、うち313カ所から回答があったのだ。

虐待の凄まじさを記録しておこう。虐待の内容(複数回答)は

▽身体的虐待123人 ・・・・・・・・ 48.8%

▽入浴させないなどの介護放棄109人・・・43.3%

▽言葉による威圧や無視などの心理的虐待92人・・・36.5%

▽金銭を渡さないなどの経済的虐待35人・・・13.9%

虐待を受けた高齢者の79%が認知症だったことが特筆される。

虐待者は

息子 39.3%・・・・息子は身体的虐待

嫁  25.8%・・・・・・嫁は心理的虐待や介護放棄

要介護度3(自分で身辺の世話ができない)以上の高齢者が虐待を受ける割合は51・2%と半数を超え、要支援、要介護1、2を足した割合(35.3%)を大きく上回った。深刻度として「生命にかかわる危険な状態」が10.7%、「心身の健康に悪影響がある状態」は44%を占めたというから驚きである。親が同居の長男に生命にかかわる危険な状態になるほどの暴力を受けているのである。これほどの晩年の悲劇が他にあるだろうか。介護保険制度があっても家庭で介護サービスを行わせる傾向が強まっている。要介護度3以上の高齢者を家庭で介護することは不可能なのである。

以上のことは人口887000人の山梨県のデータである。統計的には日本全国で以下の高齢者が虐待を受けていると推定できる。

252人×140〈人口倍率〉=35300人

 人は戦場に行けば平気で人を殺せる存在である。悪条件が重なると平常時では考えられない行動を起こすのが人間といわねばならない。これはアメリカの例である。認知症の母親の世話を娘がすると80%がうつ病に罹るのである。ともかく要介護度3以上の認知症の方を家族が世話をすることは不可能であることをと強調したい。

 そもそも高齢者虐待防止法は、介護施設での虐待が問題になって作られた法律である。家庭でも虐待の危険、施設に入っても虐待の危険が潜んでいるのである。生涯青春の会で常々訴えてるように認知症にならない生き方をしなければならないのである。