3、ドイツ州議会選でメルケル政権大敗 上院で過半数割れ ユーロ防衛にも打撃 | NPO法人生涯青春の会

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                             2010.5.10 23:43 産経新聞


 【ロンドン=木村正人】ギリシャ財政危機が他のユーロ圏諸国に波及するのを避けるため、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)が10日発表した最大7500億ユーロ(約90兆円)の欧州支援策について、欧州の株式市場は好感し軒並み反発した。ただ、最大の支援国となるドイツのメルケル首相は重要な州議会選で一敗地にまみれ、連邦参議院(上院)で与党が過半数割れに追い込まれた。求心力を失った同首相がユーロ防衛を主導するのは難しくなりつつある。


 メルケル首相は10日、ベルリンで記者団に「ユーロを攻撃から守るため欧州は協調行動がとれることを示せた」とEUの結束に胸を張った。しかし、その代償は大きかった。9日投開票が行われたドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州議会選で、同首相率いるキリスト教民主同盟は「第二次大戦後最悪」といわれる大敗を喫したのだ。


 選挙管理委員会の集計によると、同盟の議席は67(前回比22減)▽自民党13(1増)で与党は過半数の91に及ばず、野党は社会民主党が67(7減)▽90年連合・緑の党23(11増)▽左派党11(11増)となった。


 同盟と自民党は同州同様、連邦レベルでも連立を組み、各州代表で構成される連邦参議院(定数69)で37議席を有する。しかし同州議会選の大敗により、6議席を失うことになった連邦参議院で過半数割れに。その結果、下院と上院で与野党の勢力が逆転する“ねじれ状態”に陥った。

今後、所得税減税や医療制度改革など重要法案を成立させるために、メルケル首相は連立の組み替えを迫られる可能性もある。政権が求心力を失ったことで、今後のユーロ防衛策にも影響を及ぼしかねない。


 そもそも、メルケル首相はノルトライン・ウェストファーレン州議会選の前に、ドイツ国民に不人気なギリシャ支援を打ち出すことに消極的だった。それを決断させたのが、東西ドイツ統一を実現し欧州統合にも貢献したコール元独首相や、オバマ米大統領だったといわれる。


 コール氏の「お嬢さん」と呼ばれているほど、同氏と親しい間柄のメルケル首相は先週、彼の80歳の誕生会に出席した。その際、コール氏から「ドイツ国民がギリシャの窮状を他人事のように考えているのが理解できない」と決断を促されたという。

 メルケル首相の苦境は今後、市場の不安材料としてくすぶりそうだ。