77、韓国情報
2010年4月から韓国情報を収録します。過去の記録は追ってここに収録します。
管理人
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1、だるまのように起き上がった韓国経済
エコノミック・レジリエンス(economic resilience)。「経済的弾力性」という意味だ。企画財政部の許京旭(ホ・ギョンウク)次官は「経済がだるまのように起き上がる」と分かりやすく言う。許次官は先月19日に開かれた米ニューヨークでの韓国経済説明会でも、倒れてもだまるのように立ち上がり世界の頂点に立ったキム・ヨナ選手に例えてこう語った。
14日、韓国国債を格上げしたムーディーズも発表文にこの表現を使った。「韓国はグローバル危機で例外的な経済的弾力性を見せた」。
韓国説明会の前後に許次官と孫炳斗(ソン・ビョンドゥ)国際金融課長はムーディーズのダニエル総括社長とスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のシャルマ総括社長に会った。現在ファンダメンタルが健全であるにもかかわらず、通貨危機前より格付けが低いという矛盾を指摘した。財政悪化に苦しんでいる他国と比較しながら韓国経済の健全性も強調した。
許次官が帰国した直後、バーン副社長(アナリスト)らムーディーズの実務者が訪韓(先月24-26日)し、企画財政部・金融委員会・韓国銀行(韓銀)・統一研究院などを回った。政府内部からはこの‘試験’を無難に終えたという評価が出ていた。
しかし最終日(26日)の晩、緊張が解ける頃に突発変数が生じたのだ。海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没事件だった。政府は先月31日、ムーディーズ・S&P・フィッチに「今回の事件が韓国経済に及ぼす影響は限定的」という内容の公文書を送った。
それでもマイナスの影響が懸念された。さらに「天安事件のためムーディーズが韓国の格付けを据え置くことにした」「韓国の財政健全性に問題があると警告した」という報道も出てきた。結局、格上げは白紙になる雰囲気だった。
こうした点でムーディーズの格上げ決定は意外な朗報だった。さらにムーディーズは韓国電力・韓国道路公社・韓国ガス公社・韓国水資源公社・韓国鉄道公社・韓国鉱物公社も「A2」から「A1」に格上げした。
許次官は「過去の経験からして天安事件のような‘個別事件の危険(イベントリスク)’は影響が限定的だという韓国側の説明にムーディーズも共感したようだ」と述べた。ムーディーズは韓国の速い経済回復、政府の迅速な対応、健全財政および金融機関の健全性改善などを格上げの理由に挙げた。
ムーディーズは地政学的危険に関し、堅固な韓米同盟、韓半島安定に向けた中国の役割などのため南北関係は格上げの障害にならない、と分析した。今後、韓国がさらに好調を維持するためには公企業の管理、地政学的リスクの抑止が必要だ、と注文した。
ムーディーズによる韓国の格上げは07年7月以来で、「A1」は97年以来となる。バーン副社長は「今回の格上げは韓国経済が世界的な危機から、財政赤字を抑制しながら例外的な回復力を見せたことに伴うものだ」と述べた。
これは6-8月と予想されるS&Pとフィッチの格付けにもプラスの影響を及ぼす可能性がある。S&Pの小川隆平主席アナリストはこの日、ブルームバーグとのインタビューで、「韓国政府の財政状態は常に他の競争国より良かった」とし「ただ北朝鮮による偶発的なリスクがあり、このリスクをどう評価するかは興味深い問題」と述べた。