5、COPD:「たばこ病」要注意 40歳以上で息切れやせきの出る人は検査を | NPO法人生涯青春の会

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結核予防会、対策に乗り出す

 「たばこ病」と呼ばれるCOPD(慢性閉塞(へいそく)性肺疾患)の患者が、今後さらに増えそうだ。患者の9割が喫煙者または元喫煙者といわれる生活習慣病だが、これから高齢化する世代の喫煙率が高いためだ。悪化すると日常生活を送るのが困難になり、呼吸不全により死亡することもある。結核予防会(本部・東京)も結核の検査実績を生かした対策に乗り出した。【扇沢秀明】

 日本のたばこの消費量は、戦後から70年代後半まで一貫して増えてきた。一方、60代男性の喫煙率は05年31・4%だったが、この世代が40代だった20年前は6割を超えていた(日本専売公社、JT調べ)。日本医科大呼吸ケアクリニック所長の木田厚瑞教授によると、たばこの消費量が増加した約20年後に、COPDによる死亡率は上昇する傾向がある。木田教授は「高齢で発症すると、心疾患や脳血管障害など合併症にかかることが多く治りづらい。早期発見して進行を食い止めることが大切」と話す。

 東京都世田谷区の医師、滝浦修平さん(83)は約5年前、COPDと診断された。「2階への階段も途中で息切れした」と話す滝浦さんは、20年前に禁煙するまで40年以上の喫煙歴があった。薬物投与を受けるかたわら毎日自転車こぎの運動を行い、小児科医として診察が出来るまでに回復した。滝浦さんは「根治できなくても、管理すれば長生きできる」と話す。

 COPDは進行が遅く重症にならないと見つからないことが多い。木田教授は「40歳以上で喫煙歴があり、息切れやせき、たんが出る人は検査を受けてほしい」と勧める。症状が進むと少し動いただけで息切れし、酸素ボンベが手放せなくなる。呼吸器専門医の津田徹・つだ病院院長は「重症化すると生活の質が急激に悪化する」と早期発見の重要性を強調する。

 検査は測定器につながるチューブをくわえ、思い切り息を吐くだけ。スパイロ検査といい、肺活量と気管支の狭さを1秒間に吐く息の量で調べる。COPDと診断されると禁煙はもちろん、気管支を広げる薬物投与や呼吸法の指導を受ける。完治は難しいが、進行を止め症状を和らげることは十分可能だ。

 また結核予防会は、4月から全国105カ所の支部・施設でCOPD検査が受けられるようにする。既に昨年10月から東京など5カ所で先行的に実施。同会が事業所などから健康診断を委託されている約738万人のうち喫煙歴がある40歳以上が対象。問診票に答えてもらい、該当者には検査を実施する仕組みだ。

 青木正和会長は「胸部疾患のプロとしての経験を、COPD対策に生かしたい」と話し、全国規模でのデータの蓄積を目指す。

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 ことば

 COPD

 主に喫煙により気管支が炎症を起こし肺の細胞が破壊され、呼吸機能が低下する生活習慣病。代表的な症状はせき、たん、息切れ、息苦しさなど。COPD疫学調査会の01年の試算では、患者は40歳以上の8・5%に当たる約530万人。だが厚生労働省の91年の統計では、治療を受けているのは約21万人にすぎない。

毎日新聞 2007117日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070117ddm013100123000c.html

20070119  健康情報資料室からンチャ