高齢者問題講演資料 2006年5月の高齢者情報から | NPO法人生涯青春の会

NPO法人生涯青春の会

NPO法人生涯青春の会の会報及びイベントの紹介をいたします。
ここに収録する記述は、会報、エッセイ「癒しの森」、高齢者情報、日々の映像のまとめなどです。

目 次
1、在宅で介護を担う人の4人に1人が、うつ病
2、病気で死ぬのは怖くない
3、死の瞬間はわからない
4、日本高齢者虐待防止センター
5、老後の世話で意識調査
6、高齢者の家庭内の虐待
7、生活保護:都市部で増加
8、成年後見人制度の概要
9、老後の不安のトップは


1、在宅で介護を担う人の4人に1人が、うつ病
2006年05月02日 09:38
 以前日々の映像で書いたアメリカのデータである。娘が「認知症の母親の介護をした場合90%がうつ病になる」というものであった。それほど認知症の介護は厳しいのである。日本の場合に類似してデータの発表があった。厚生労働省の研究班による調査によると「在宅で介護を担う人の4人に1人が、うつ病の代表的な症状である『抑うつ』状態にある」(4月30日・毎日から)ことが分かったという。

 高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の場合、介護者の約3割が「死にたいと思ったことがある」と答えているのだ。調査は昨年6月、「介護者の健康実態に関するアンケート」として実施、8486人の回答を分析したもの。65歳以上の高齢介護者が約6割を占め、高齢化社会の進展の中で、老老介護の現実が浮かんでいる。

 うつ病傾向を見る国際的な指標「自己評価抑うつ尺度」(SDS)を使ってさらに詳しく調べたところ、全体の23%が軽度から重度の「抑うつ状態」だったのだ。特に65~74歳が最も高く「抑うつ状態」が27%に達している。特記すべき事項は75~84歳で48%の人が「心が健康ではない」と感じていることである。昨日生涯青春の会の有力メンバーである70代の夫人を訪ねた。この人の兄の奥さんが78歳で認知症となり夫を認識できないのである。この段階になって、肉親が面倒を見ることはもはや不可能なのである。


2、病気で死ぬのは怖くない
2006年05月09日 21:00

 5月27日第10回スピーチの会が行われる。ここに税理士の伊澤清志さんが初スピーチを行う。演題は「病気で死ぬのは怖くない」であるとの報告が入る。伊澤清志さんがどのようなお話をするか興味深い。死の瞬間の概念を深めることは重要なことだ。

 4月29日の癒しの森で「死の瞬間はわからない」と題して書いた。コミュニティ「癒しの森」は登録者が16名と少ないので、ここに掲載させていただく。

3、死の瞬間はわからない
(4月29日の癒しの森から)
 4月25日のモーツアルトさんの日記に次の一節があった。
「人を宇宙に置き換えれば、ここに永遠・無限の秘密が潜んでいそうに思えますね。 また、よく考えれば、私は決して死なないです。 私の死は、決して私は認識できないのですから」と。
私はこの日の書き込みに
「モーツァルトさん 『よく考えれば、私は決して死なないですね。私の死は、決して私は認識できないのですから』 との指摘は私なりの生死観の中には全くありませんでした。指摘されればその通りだと思います」と書いた。

 その翌日のモーツァルトさんの日記に上記の私の書き込みは引用されて次の補足があった。
「ふたみさま、4月25日の日記『いずみさんの青!』へのご感想をありがとうございました。‘私の死は、決して私は認識できない、これは、ごく当たり前のことですが、私が若いころ、赤道の海やサハラ砂漠やヒマラヤで経験したことで、若気の至りで、何回も死にかけた時の実感です」とあったので追加の書き込みをした。

「死について次のように話をしたいと思っています。『死は怖くないのです。なぜなら死の瞬間を私たちは認識できないのです。安らかにその時を迎えましょう。生あるものは必ず死があるのです。できたら微笑みながらその瞬間を迎えたいものです』」と


4、日本高齢者虐待防止センター
2006年05月08日 04:16
 
 高齢者が人間としの尊厳を持ち続けられる社会になる必要がある。日本の社会はこれらの視点を踏まえると寒々としたニュースが多く流れる。高齢者処遇研究会という団体がある。平成4年12月、高齢者の人権擁護の一環として高齢者虐待の実態究明を主な目的として発足している。

 この研究会の下部組織に日本高齢者虐待防止センター(0424―62―1586)がある。ここで電話相談を開始し、虐待問題の予防や解決や回復に手助けができればと活動している。
案内の要旨は下記である。
・どなたからの相談も受け付けています
・専門相談員が相談に応じます
・FAXでも受け付けています。番号は0424(62)1586です
・相談の受付時間は毎週 月、水、金 曜日 午前10時~午後4時まで
・週3日間、午前中から午後までに拡大しました!
・相談料は一切無料です
・プライバシーを尊重し、相談は匿名で秘密は固く守ります

 高齢になってから虐待を受ける人があるというからこれほどの悲劇はないであろう。しかも虐待する割合が最も高いのは長男であるということも記憶に刻まねばならない。

 2日前エクセル・ヒューマンの商品説明会に参加した。この会社には明確な理念がある。店長は社長から教わった人間社会のありようを短時間であるが説明する。5日の話は人間(人)と動物(畜生)の根本的な違いであった。人間も動物も本能的に子どもを育てる。人と動物の根本的な違いは、人は親を大事にするが、動物は親の面倒は全く見ない・・というものであった。しかし、最近は親の面倒を見ない子どもが多くなっているのである。故に「高齢者虐待防止法」などという法律が出来る。自分の心は果たして人なのか畜生なのか、これは親に対する姿勢で判別しなければならないのだ。


5、老後の世話で意識調査
2006年05月12日 18:09
  
 長野県の調査であるが以下の内容は全国的な傾向ではないかと思う。「老後の世話をだれにしてもらいたいかで、娘や息子の妻への依存や期待が薄らいでいることが9日、県世論調査協会(長野市)が行った県民意識調査で明らかになった」という。

「老後の身の回りの世話をだれにしてもらいたいか。あるいは現在、世話を受けているか」との問い(2つまで回答可)では、
1位、 夫または妻          58・1%。
2位  老人ホームなどの施設    26・1%
3位  娘             24・6%
4位  ホームヘルパー、家政婦   16・1%
5位  息子の妻            6.0%  (前回調査では11.9%)
となっている。(5月10日・信越毎日から)

 ここでアメリカの例を一つだけ記述しておきたい。老後の身の回りの世話を娘にしても貰いたいという気持ちは十分に理解できる。ここに一つの問題点があるのだ。アメリカのデータによると、認知症の母を娘が老後の身の回りの世話などの介護をした場合、90%の人がうつ病になるという。それだけ、認知症の介護は厳しさがあるのだ。共倒れにならない為に、娘の介護は適切ではないと思う。


6、高齢者の家庭内の虐待
2006年05月15日 22:06

 山梨県は人口887000人の小さな県である。県が初めて行った調査によると「家庭で虐待を受けた高齢者は252人に上ることが分かった」(毎日から)という。県の社会課は04年4月~05年3月、保健所や市町村、在宅介護支援センター、居宅介護支援の計389カ所に派遣先などでの調査を依頼し、うち313カ所から回答があったのだ。

虐待の凄まじさを記録しておこう。虐待の内容(複数回答)は
▽身体的虐待123人 ・・・・・・・・ 48.8%
▽入浴させないなどの介護放棄109人・・・43.3%
▽言葉による威圧や無視などの心理的虐待92人・・・36.5%
▽金銭を渡さないなどの経済的虐待35人・・・13.9%
虐待を受けた高齢者の79%が認知症だったことが特筆される。

虐待者は
息子 39.3%・・・・息子は身体的虐待
嫁  25.8%・・・・・・嫁は心理的虐待や介護放棄

 要介護度3(自分で身辺の世話ができない)以上の高齢者が虐待を受ける割合は51・2%と半数を超え、要支援、要介護1、2を足した割合(35.3%)を大きく上回った。深刻度として「生命にかかわる危険な状態」が10.7%、「心身の健康に悪影響がある状態」は44%を占めたというから驚きである。親が同居の長男に生命にかかわる危険な状態になるほどの暴力を受けているのである。これほどの晩年の悲劇が他にあるだろうか。介護保険制度があっても家庭で介護サービスを行わせる傾向が強まっている。要介護度3以上の高齢者を家庭で介護することは不可能なのである。

 以上のことは人口887000人の山梨県のデータである。統計的には日本全国で以下の高齢者が虐待を受けていると推定できる。

  252人×14〈人口倍率〉=3530人

 人は戦場に行けば平気で人を殺せる存在である。悪条件が重なると平常時では考えられない行動を起こすのが人間といわねばならない。これはアメリカの例である。認知症の母親の世話を娘がすると80%がうつ病に罹るのである。ともかく要介護度3以上の認知症の方を家族が世話をすることは不可能であることをと強調したい。

 そもそも高齢者虐待防止法は、介護施設での虐待が問題になって作られた法律である。家庭でも虐待の危険、施設に入っても虐待の危険が潜んでいるのである。生涯青春の会で常々訴えてるように認知症にならない生き方をしなければならないのである。


7、生活保護:都市部で増加
2006年05月19日 10:10

 
 年金が110000円前後の老夫婦のどちらかが、認知症になり施設に入ると一昨日高齢者福祉情報に書いたように110000円の支出が発生する。すなわち生活の破産である。しっかりとした同居の家族がいれば、生活保護の申請をする必要がないが、そうでない場合は生活保護を申請せざるを得ない。

 厚生労働省のまとめによると、人口に占める生活保護受給者の割合(保護率)の過去9年間の増え方に都道府県により最大約60倍の開きがあるという。「95年度と04年度を比較した。最も増えた大阪府は人口1000人当たり11.4人から23.2人と11.8人増加。最も増え方が小さかった富山県は2.0人から2.2人と0.2人の増加にとどまった」(5月16日・朝日から)という。1000人当たり23.2人という保護率は大変な数である。大阪の人口は8,830,000人である。計算すると次の生活保護者がいることになる。
   
8830000人÷1000人×23.2人=204856人
 
 新潟の生活保護の金額は家賃35000円、生活費72000円(2年前に聞いたもので現在のものでない)で合計107000円である。これを大阪に当てはめると次の数字になる。
 
204856人×107000円×12ヵ月=2630億円

 生活保護費が2630億円もかかれば大阪の財政が破綻するのは当然である。このような背景があるので、他の県でも生活保護の申請は簡単でないことを銘記しなければならないは。なお具体的な前提条件などに質問のある方メールをください。一つだけ記述すれば、子どもが普通の社会人であると、親の生活保護は認められない場合が多い。

 このテーマはここで保管する必要があるので、日々の映像から転載しました。


8、成年後見人制度の概要
2006年05月21日 16:04
 子どもがいなく将来自分に判断能力がなくなった場合、誰がこの人の介護判断をするのか分からない人がいる。兄弟はいるが相続争いなどで兄弟の交流のない人もいる。いわゆる実質的に親族の交流がないなどである。このような人は、壮健にうちの成年後見人を選任しておくのが適切と思う。

 成年後見人制度とは,判断能力が不十分な方々(痴呆性高齢者,知的障害者,精神障害等)の日常生活を法律的に保護する制度である。たとえば,介護保険制度のサービスを受けるには,要介護(要支援)者本人と介護サービス指定事業者との間で契約を結ぶ必要があります。この契約のための判断能力が不十分な場合,自分が損害を受けるような契約をする恐れがあります。

 このような日常生活における損害を受けないように,法律的に本人の権利を守る方法が成年後見制度なのである。以下に制度の概要を示すが私はこの専門家でないので、この制度を活用しようとする方は、市町村の専門の窓口に相談されることをお勧めします。 
________________________________________
制度の概要

この制度は,家庭裁判所が法律の定めに従って,後見等を必要とする人の判断能力の程度に応じて,成年後見人等を選任し,これに権限を付与する法定後見人制度と,本人が契約によって任意後見人を選任し,これに権限を与える任意後見人制度の2つがあります。どちらを利用するかは,原則として本人の自由な選択になります。

________________________________________

○ 新しい成年後見人制度の特徴
1 成年後見登記制度が新設され(後見登記法),これまで行われてきた戸籍への記載が廃止されました。裁判所書記官や公証人の嘱託により,登記所(法務局)に備える登記ファイルに所要の記載事項が記録されます。本人等の一定の者に限り,その登記事項証明書が交付されます。
2 配偶者が当然に後見人や保佐人になるこれまでの制度が廃止されました。
複数の後見人が選べます。家庭裁判所は,援助内容毎に適任者を複数,法人も後見人として選任できるようになりました。
3 自分の判断能力に応じて,必要な範囲で法律行為を代理してもらえることになりました。
4 成年後見監督人に加えて,保佐監督人,補助監督人の制度が新設され,また自然人に加え,法人をも選任することができます。

________________________________________

○ 法定後見制度を利用するには・・・審判申立て

1 家庭裁判所に補助・補佐・後見の開始の審判を申立てます。
申立ては,本人,配偶者,4親等内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人,検察官等が行うことができます。(民法上の申立権者)

2 市町村長の申立権
本人に配偶者や4親等内の親族が無く,又は親族との音信不通の状態で「審判の申立て」を期待できず,本人の保護を図るために申立てを行うことが必要な状況にある場合に,市町村長が申立てをすることができます。(老人福祉法,知的障害者福祉法,精神障害者福祉に関する法律の規定による申立て)

○ 審判申立ての手続
1申立人が本人の住所地の家庭裁判所に申立書を提出します。
 申立書は,家庭裁判所に備えてあります。
2 申立書に添付するもの
 戸籍謄本,後見登記事項証明書(法務局から出されます。)
 申立て時の納入金
 申立て手数料,通信用切手,登記手数料
 後見や保佐の開始の審判での鑑定手続のための鑑定費用が必要になるときもあります。  

________________________________________

 任意後見制度を利用するには・・・契約の締結

本人が契約締結に必要な判断能力がある間に,将来,精神上の障害により判断能力が不充分な状況となった場合の後見事務について任意後見人に「代理権」を付与する「任意後見契約」を締結します。
1 任意後見監督人が選任された時から契約の効力が生ずる旨の特約を付すること
2 「公証人」に公正証書の契約証書を作成してもらうこと。公証人から登記所への嘱託により,契約の登記がされます。
3 精神上の障害により本人の判断能力が不十分な状況にある時は,本人,配偶者,四親等内の親族又は任意後見受任者(任意後見契約により任意後見人になる予定の者)は,家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任の申立をすることができます。家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から,契約の効力が発生します。


9、老後の不安のトップは
2006年05月14日 22:07

 過日私が20代の前半にお世話になった人の奥様に会う。私の両親のことも知っていて、「ご両親は如何していますか」との質問を受ける。私の両親はともに90歳になるが、まだ2人で自立して生活している。近くの子ども3人が多少の応援はしているが、3度の食事は2人で用意して生活している。まだ、介護認定などは受けていないのである。
  
 しかし、これも限界があることは確かである。調査によると老後の不安のトップは「自分や配偶者が寝たきりや認知症になった時」が44.7%なのである。年齢相応の健康法で80代を健康に過ごしたいものである。日々の映像で「老化が早い人はいかなる原因か」という趣旨のことを書いたことがある。意見が分かれると思うが私の見解は次の3点である。
1、 志がない・・・幾つになっても志が必要だ
2、 ビタミン・ミネレル不足・・・適切なサプリメントで補給の要あり。
3、 肝臓の使いすぎ(酒の飲みすぎ)