こりゃ恋だね。もう何か月も好きだわ。
・ある夜、女は月を見上げて泣いていた。

・ある夜少年たちは花火を焚いて自分ら以外を否定するかのように荒らしゆく。

・とある雨の中、男が女に何かを告げた。二人は雨がやむとめいめいに、何も言わず歩き出す。

・暗い暗い闇の中森の木々をなぎ倒す人々。己が命をつなぐため。

・暗い暗い闇の中、人の命を奪い取る者。己が私服を肥やすため。

・裸足で地面を走り回る少年。その下に屍があることはしらない。

・いつかのいつか。太陽の光は枯れて、やがて僕らも朽ちるだろう。

-果たして今は何曜日だろうか。
 その身一つで僕を育ててくれた母さん。

母さんが亡くなったのは三年前のこと。

体が弱いのに無理したからだ。

お金がないから葬式も上がらなかった。

僕は母の死に目にも会ってない。勇気がなくて死体も見てない。


――そのあとすぐに学校をやめた。


母さんが離婚した父さんに引き取られた。土建の仕事をもらって、

どうにか生き繋いで二十歳になった。

丁度そうなった日に父さんから小さな鍵、それと手紙を渡された。

それはどこか懐かしい気のする金属片と少し古くて茶ばんだ紙切れ。


「お前の母さんは生きている」


父さんの言葉に耳を疑った。これは、母さんからの贈り物だと。

手紙にはこう書いてあった。

「○○、母さんと遊びましょう。母さんを探してごらん」

たしかに、母さんの字だった。

僕は、その鍵片手に家を飛び出した。

・最初に来たのは公園。小さい頃母さんとよく遊んだ場所。

大きな木がたくさんある閑静な公園。

どこかの木の陰に隠れているんじゃないかと駆け回った。

けれど、見つからなかった。

・次に来たのは母さんの実家。

おばあちゃんもおじいちゃんもまだまだ元気。

僕は家中を探しまわった。床はきいきい悲鳴を上げていた。

裏山も探しまわったけど全然見つからなかった。

・幼稚園も、小学校も、中学校も、中退した高校のどこにも、

母さんはいなかった。

・日が傾き始めてとぼとぼ帰る道に、霊園。

ここには母さんの一族の墓もある。

母さんが亡くなってからは一度も行っていないけれど、

お墓の場所はよく覚えてる。

お墓の前に来た。ああ、母さんだ。

 今日は遊んでくれてありがとう。また、遊ぼうね。