運送会社を辞め
その街を出ました。
所持金は9万円…
妻の死から食欲というものを失った
ため、食費はかからないので
旅費としては充分かな…と思いました。
まず、私は妻の生まれた街へ行く事に
しました。
彼女がみた風景を見て
彼女が吸っていた風の匂いを吸って
いたかったのです。
電車にのり彼女が育って街へ…
九州の海の見える街でした。
彼女にも見せてあげたかった。
次に結婚して、2人で過ごした街へ
いきました。
彼女は、言っていました
「海って昼間はきれいだけど
夜になったら暗くて怖いね」と
初めてその意味がわかった気がします。
次はどこに行こうかと考えていたときです。
この街で働いていた店の同僚と偶然
再会したのです。
同僚は私の話を聞くと
「僕の家に住みませんか?」
と言ってくれたのです。
財布の中を見ると残り1万5千円…
神様っているのかな…と思ってしまいました。
僕の旅はもう少し続きそうです。

