先ず、神の国を求めよ

 

 真空は何もないどころか、真空こそ万物を現在有る形に 保っているところの智慧であり、力であるのである。

 

 原子を形造っている原子核と電子との間に存する真空の形が崩れてしまったら、原子は崩壊してしまうのであり、太陽と遊星との間をうずめている真空が崩れてしまったら、太陽と遊星とは、互いに連絡し得ないで、飛び散ってしまうか、真空の形の崩れるままに太陽と遊星とは密着してしまうかするより仕方がないのである。

 

 兎も角、真空は何もない空間ではなく、霊と言う無限の智慧と無限の力が包蔵されており、その霊の世界における理念(精神的原型)が形の世界に、時間的順序配列をもって恰もフイルムの世界に既に存在する光景が映画館の銀幕に時間的秩序をもって一コマ一コマ展開して行くような具合に現れているのである。

 

 だから吾々が可視的世界(肉眼で見える現象世界)に幸福や健康や繁栄を実現しようと思ったならば、先ず不可視の霊的世界に、その幸福や繁栄を心で描いて置かなければならないのである。

 

 現象界の物質的利益の追求よりも「先ず神の国を求めよ」とは事はこのことである。