道しるべ

「道は人に遠からず」

・子白く、「道は人に遠からず。人の道を為して人の遠きは、もって道と為す可からず。」

 「道」は、ひとが人になる道ですが、此処でお言う道は道徳の意味です。

 人は道徳を行うに当たって、その行い方が人情と程遠いものであるならば、それは真の道ではない。

 何故なら、道は人間と共にあるからだ。

・孔子の言おうとする意味は、人を治めようと考える人は、自分も一個の人間であると気付けば、

 そこに自ずから人を管理してゆく方法も決まるであろうと。

・孟子も「道は近きに在り、しかるに此を遠きに求む」

 人が行うべき道は、ごく近くにある。

 それなのに、わざわざ遠い所に此をもとめておる人が多い。愚かな事だと。

・仏性は人が産まれる前から与えられているのです。

 それがほとんどの人は「私は仏の命を頂いている」事実を忘れたり、気付かずにいます。

 それを迷いと仏教では教えられています。

 救われる,覚ると言う事は、忘れているこの事実に気付き、思い出させて頂く事に他なりません。

・誰にも仏性が備わっています。だから人間は尊厳なのです。

「道は人に遠からず」どころではありません。

 しかし、この事実を忘れて幸せを求めて、遠きに幸せを求める人の多きこと。

・「踏みながら 探し求める 蕗のとう」

・弘法大師は「それ、仏法は遙かにあらず、心中にして即ち近し。

 真如、外にあらず、身を棄てて何れにか求めん」と言い切っています。

・仏の教えは、決して遠い所にあるのではない。近いも近い、私達の心の中に有るのだ。

 真理もまた心の外にはないのだ。心の宿る我が身を忘れて、いったいどの辺りを探そうと言うのか。