すべて我々の観ている世界は、自分の心の見る世界なり。

 

唯物論者の心にはそれだけの世界しか見えざるなり。

 

紅緑色盲には紅緑の色彩は見えぬなり。

 

 自分が仏になってみれば見られる世界が悉く佛の世界に変貌すれども、佛にならぬ人にはこの世界は穢土である。

 

自分が仏になれば、恋すれどもそれがそのまま天国浄土の姿になり、自分が仏にならねば恋は只煩悩なり、肉欲の化身なり。

 

 赤いメガネで見れば赤く見えるべし、青いメガネで見れば青く見えるべし。その人の力量なり。

 

人を裁くべからず、自ら佛に成る時この世界は真清浄、無垢の天国浄土なり。

 

煩悩と見ゆるものそのままに悟りなり。

 

住む世界悉く美しく厳飾せられる佛の浄土なり。

 

      「叡智の断片」 谷口雅春著 より