小説の郵便屋
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第1章『ハジマリ』

「だから、探したけどないって言ってるだろ!」
「そんなこと言って。絶対探したら1枚はあるはずだから!」
さっきから、この調子で言い合ってる。
目の前にいるのはクラス委員の佐久間って奴。
自分は偉いって思ってるんだか知らないけど、いつも偉そうにしてて俺が嫌いなタイプだ。
クラスの奴等は遠巻きに俺達を見ている。
「遥、何してんの?隣のクラスまで声響いてるけど?」
不意に現れたこいつは幼なじみの悠一。
「相沢くん。えっと…これは…」
急に吃りだす佐久間に、俺はチャンスと悠一を連れて教室を飛び出した。
「あっ、逃げられた!」
教室から聞こえる声を後ろに俺達は階段を駆け上がる。

「遥、今日は何したの?」
屋上は俺と悠一の二人だけしかいない。
普段は鍵がかかっているからそう簡単に生徒が入ることができない。
なぜ、俺はここに入れるのかって?
悠一は人望が厚く、つい先日生徒会長になったからここの鍵を持っているって訳。
「俺は何もしてないって。」
「何か持ってこないといけないものを持ってきてないとか?」
いきなり言い当てられた。
「エスパー?」
「んなわけあるか。」
俺を見て笑いながら悠一は答えた。
「お前らの声がでかいから聞こえたの。」
「一瞬、悠一が宇宙人かと思った。」
マジで言う俺に悠一は爆笑してる。
「そんなに笑うなよ。」
「悪い、悪い。で、何忘れたの?」
まだクスクス笑いながら悠一が尋ねた。
「写真だよ。」
「写真?」
「そう、小さい頃の写真を持ってこいってさ。」
「アルバムのクラスページのやつか。」
「そう。探したけどさ、見つからなかったんだよ。」
俺達ももう高校3年。
卒業アルバムのクラスページに俺等のクラスは小さい頃の写真をのせることに決まったらしい。
「遥にしては、探しただけ偉いな。」
「それって誉めてんの?」
「どうだろうな。」
クスッと悠一が笑った。
「なぁ、悠一…」
「わかったよ。遥が写ってる写真探せばいいんだな。」
「さすが親友わかってる。お前なしじゃ生きていけないよ。」
「馬鹿!離せ気持ち悪い!」
抱きついた俺を必死に引き剥がそうとする悠一。
青い空に笑い声が響いた。

久しぶりに…

最後のblog書いてからもう数年経ちますね。

忙しくてblog書いたりする時間がなかったですが、またそろそろblog再開しようと思います。


前みたいに毎日更新は難しいかも知れないけど、できるだけ毎日更新できるようにがんばろうと思います。

俺のblogに興味ある人ってほとんどいないかもしれないし、独りよがりなblogかも知れないけど、1人でも良いなぁと思ってくれる人がいてくれたらそれで満足です。

早速明日から始めていこうと思いますので、よろしくお願いします。

新作・第8章『喫茶店』

その日から、毎日その喫茶店に行った。
愛子との出会いは、叶夢にとって初めての自分からの恋だった。
アメリカにいる頃には、求められるとキスしたし、女性を抱いたりしてた。
好きでない他の人を抱くことがいけないことだとは思ってなかったし、他の人に求められると嬉しかった。
でも、愛子とそういうことをしたいと思うことはなく、逆に一緒にいるだけの時間がとても大切だと思った。
いつも、同じくらいの時間に行っては、日常のなんでもない話をしては1時間くらいで帰る。
それが、いつしか叶夢の日課になってた。

叶夢が高校に入る1週間前、いつものように喫茶店に行くと愛子は買い物に出ていて、マスターだけがいた。
マスターは、愛子の祖父で両親のいない愛子を10年以上育ててきた。
叶夢はマスターとも仲良くなっていた。
いつもは優しく迎えてくれるマスターだったが、この日は今までに見たことないくらい真剣な顔を叶夢に向けてきた。

新作・第7章『出会い』

"カラン"
ドアを開けると、優しい鐘の音と、コーヒーの香りが俺をむかえてくれた。
店自体はカウンター席が五つあるだけのちっぽけな店だった。
「あっ!いらっしゃいませ。」
急にどこからか高い女の子の声が聞こえた。
どこだろうと店を見渡すと、カウンターから、黒髪に大きな瞳の叶夢よりも2・3歳年上くらいの女の子が顔を出した。
「今、マスター、買い物に行ってていないんです。もうちょっと待って下さいね。」
女の子はそう言って、笑顔をみせた。
「どこかで会ったことある?」
尋ねた叶夢に、女の子は首を傾げた。
「ごめんなさい。私、人覚えるの苦手なの。あなたの名前は?」
「俺は天空叶夢。」
「私は春川愛子。よろしくね。」
愛子はそう言って、笑った。
その笑顔は優しく、どこか寂しげだった。
そんな笑顔に、叶夢の心は引きつけられた。

新作・第6章『日本』

桜の木の下には、桜院の大切な真っ白なピアノが置かれていた。
何年か前に、施設で働いていた人が、音楽セラピーとして使用していたらしい。
今では弾く人がいなくて物置にしまわれていた。
それを、昨日、施設の職員さん達と運び出した。
この桜院のことを初めて知ったのは、半年前。
SINさんと学校の手続きのために日本を訪れた日だった。


「SINさん。やっぱり、俺、アメリカのハイスクールの方が良いんだけど…」
「それでもかまわないけど、叶夢は日本人だから。母国のこともしっかり知ってもらいたいんだ。」
「日本のことなら、紗耶さんが教えてくれたよ。」
「聞くのと見るのは違うんだよ。叶夢には日本の本当の良さを知って…」
「本当は、仕事がしばらく日本になりそうだからでしょ。それくらいわかってるよ。」
「バレてた?」
「何年SINさんの子供をやってると思うんだよ。」
そう言って、叶夢はふと前を向いた。
初めて訪れる場所なのに、なぜか懐かしい気がした。
今まで一度も来たことないはずなのに。
「SINさん。少し、この辺散歩して来ちゃダメかなぁ?」
「良いけど、僕はもう家に帰らないといけないからなぁ。」
「大丈夫だよ。少し散歩してすぐ帰るから。家までの道なら覚えてるからさ。」
「そうか?なら、あまり遅くならないうちに帰るんだよ。紗耶が心配するからね。」
「OK!」
そう言って、SINを見送ると、叶夢は歩き出した。
10分くらい歩いただろうか。
小さな小さな喫茶店がぽつりと建っていた。
「ここ…」
そうつぶやくと、叶夢は店の中に入っていった。

新作・第5章『始まり』

「みなさん。今日は、待ちに待った花見会です。」
施設長が言うと、愛子は嬉しそうに一際大きく手を叩いた。
そんな愛子を見て、叶夢はクスリと笑った。
「大きな拍手をありがとう。今日の花見会のために、特別ゲストをお呼びしました。みなさん、もうすっかり顔なじみににもなっている天空叶夢君です。」
叶夢は立ち上がって頭を下げた。
集まっているのは、約20人。
10台の車椅子に、叶夢も入れて10人が交互に座っている。
そのうち8人はピンク色の白衣を着た、この施設の職員だった。
「この桜院のみなさんで、今日は楽しみましょう。」
施設長の挨拶が済むと、叶夢に愛子が話し掛けた。
「天空君は、どうしてみんなと知り合いなの?桜院には外の人は入れないのに。」
「大切な人がこの桜院にいるんだ。だから、施設長が特別な許可をくれたんだ。」
「大切な人?」
「そうだよ。」
「それは誰?」
愛子は叶夢の顔を覗き込んだ。
「秘密。」
唇にそっと人差し指を当て、叶夢は愛子にウィンクした。
「天空君、イイかしら。」
施設長が叶夢に声を掛けた。
「はい。」
叶夢は立ち上がった。「何をするの?」
愛子の問いに、叶夢はニッコリと笑った。
「俺の今日だけ特別なコンサートを楽しんでよ。」
それだけ言うと、叶夢は桜の木に向かって歩き出した。

新作・第4章『白い牢獄』

海辺のある施設に、叶夢の姿があった。
真っ白な壁に囲まれたその施設は、まるで外の世界から隔離された、一種の牢獄の様だった。
叶夢は大きな門を開け、壁の向こう側に入った。
「あら、天空君。こんにちは。」
薄いピンク色の白衣を着た、年配の女性が叶夢に気付いて声を掛けた。
「今日も来てくれたのね。」
女の人の問いに、叶夢はうなずいた。
「愛ちゃんなら、中庭にみんなといるわ。行ってあげて。」
「はい。ありがとうございます。」
頭を下げると、叶夢は指さされた方へと歩きだした。
建物の中はどこも真っ白で、唯一数メートル間隔にある空色の扉に思わず目が行ってしまう。
「加藤さん。寒いんでしょ。上着は部屋の中?」
どこからか、若い女性の声が響いた。
「私が取ってくるから、待っててね。」
その声に誘われるように、叶夢は大きな庭に出た。
いくつかの車椅子に老人が座り、庭の大きな桜の木の下に集まっていた。
桜の花ビラの雨がみんなに降り注いでいた。
そこから、桜色のワンピースを着た、女の子が叶夢のいる方へ駆けて来た。
長い黒髪に桜の淡い花びらがいくつも付いて、彼女を飾っていた。
「あれ?誰かに会いに来たの?」
女の子は立ち止まって叶夢に笑顔を向けた。
「今日の、花見会に施設長さんに招かれました。初めまして。天空叶夢です。」
「そうなの!?じゃあ、椅子が足りないから持って来なくちゃ。あ!私は春川愛子。よろしくね。」
そう言って、愛子はニッコリと笑った。
見慣れた笑顔に、叶夢は笑顔を返した。

新作・第3章『帰宅』

「優ちゃん、おかえりなさい。」
優介が玄関を開けた時、突然誰かが優介を抱き締めた。
甘い花の香りが、鼻をくすぐった。
「優介。それ、俺の大切な人なんだから、手を出すなよ。」
階段の上から、昼間も聞いた声が響いた。
「あのさ、なんで俺が自分の叔母さんに手を出さないといけないのさ。悪いけど、俺は年下が好みなんで。」
そう言って身体を離すと、そこには優介よりも背の低い可愛らしい女の人が立っていた。
「憂華ちゃん。長く見ない間に、優ちゃんが可愛くなくなってる。どこで育て方間違えたの?」
「紗耶ちゃん。あなたにも、そっくりそのままその言葉をお返しするわよ。叶夢だって、真夜中にこっそり帰ってくることがあるのよ。」
「真夜中に!?シンどうしよう。あの子、非行にでも走ってるのかなぁ。」
今にも泣き出しそうに紗耶はSINを見上げた。
SINは優しくほほ笑んだ。
「あの子はきっと、大丈夫。少なくとも、俺は信じてる。紗耶はあいつのこと、信じること出来ない?」
「信じないわけないでしょ。あの子は、私達の子供だよ。」
紗耶とSINの間に、いつの間にか、2人だけの空気が流れている。
優介は、大きく溜め息をついた。
「叶夢なら、今日も遅くなるって言ってたよ。」
「あら。せっかくご馳走用意して、盛り上がろうと思ってたのに残念ね。」
憂華は小さく溜め息をついた。
「あの子が本当は何をしてるか、あなた、知ってるでしょ。」
憂華が優介に詰め寄った。
「何度聞かれても、知らないものは知らないよ。俺もいまから仕事だし、あの二人はまかせたよ。」
そう言って、優介は自分の部屋へと上がって行った。

新作・第2章『SIN』

「俺はそんなこと聞いてない。」
「今時、携帯を持ってない高校生なんて、叶夢だけだぞ。」
そう言って、優介は自分の携帯を叶夢に向かって投げた。
優介はこの高校の3年生で、叶夢の従兄弟だ。
叶夢は、今、優介の家から高校に通っている。
優介の母親は、叶夢の父親の姉にあたる人で、有名なモデルとして現在も活躍し、服のデザインも手掛けている。
優介も、母親が手掛けた服のモデルをしたりしている。
「俺、しばらく旅に出るって伝えといて…」
「無理だと思う…」
そう優介が言ったとき、後ろから若い男の人が顔を出した。
「叶夢、授業中にいっつもこうしてさぼってるらしいね。」
「SINさん…」
叶夢の顔が引きつった。
そこには、叶夢と同じ、いや、それ以上に綺麗だという言葉が良く似合う男の人が立っていた。
「悪い、ついさっき捕まってさ…」
優介が申し訳なさそうに言うと、SINと呼ばれた彼は、クスリと笑った。
「さぼったからって、俺は怒らないよ。でも、紗耶にはバレないようにね。」
そう言って、SINは優介の肩に手をまわした。
このSINこそ、叶夢の父親で、世界的にも有名なトップシンガーだ。
彼の書く歌は世界中の人の心に語りかけ、彼の歌声は`天からの贈り物'と賞されているほど美しい。
「なんで日本に来たんだよ。」
叶夢は噛み付くように尋ねた。
「仕事で、日本に滞在するんだよ。しばらくは、紗耶の実家に泊まるから。姉さんには、今日中には挨拶に行くって伝えといて。」
「了解。」
「それから、あの話は…」
「わかってる。それより、SINさん、早く学校から出た方がイイよ。もうすぐ授業が終わるから、見つかったらやばいから。」
「はい、はい。それじゃあ、また後で…。それから、2人とも、授業サボるのは程々にね。」
優介に言われて、SINは笑って、行ってしまった。
「お前の父親、相変わらずだな。」
「あぁ。」
去り行く後ろ姿を見ながら、2人は呆然と見送った。

新作・第1章『叶夢』

白い砂浜、青い海に、豊かな自然。
優しいピアノの旋律に、体を包む暖かい風。
辺りに何もない、静かな島。
「……叶夢君…」
夢の向こう側で、誰かが呼んでいる。
ゆっくりと目を開けると、夢の景色は消え、目の前に2年の先輩の顔があった。
「先輩、今、授業中ですよ。」
「叶夢君もね。」
そう唇の上でささやくと、目を閉じ、2人の唇が重なった。
唇を重ねたまま、叶夢は先輩の腰に手を回し、その体を自分へと引き寄せた。
叶夢にとって、慣れてしまった日常の仕草でもある。

間山叶夢は、この春野高校の1年生だ。
小学校、中学校とアメリカの学校で学び、高校から両親の通っていたこの高校に通うために、1人日本へとやって来たのだ。
叶夢は人一倍容姿が良く、他の男子生徒と一緒にいると、その違いは明らかだった。
その容姿と、来る者を拒まないという性格から、先輩・同級生を問わず、女子生徒から人気があった。
時々、授業をさぼっては、校舎裏の小さな桜の木の下で寝ていることが多い。
そして、たまにそこを訪れる女子生徒と、何かをすることもあった。

息継ぎをしようと、唇を離した叶夢の目に、校舎から2人を見る人影が写った。
「覗き見なんて趣味が悪いね、優介。」
叶夢が声を掛けると、校舎の窓から茶色の頭が現れた。
「こんなとこで、そんなことしてる方が悪い。」
優介と呼ばれた彼が顔を出すと同時に、女子生徒は、パッと叶夢から体を離した。
その顔は赤く染まっている。
「先輩、また今度、続きをしましょう。」
叶夢がその耳元でささやくと、女子生徒は頷いて立上がり、校舎の向こう側に走って行ってしまった。
「叶夢。お前、いつか刺されるぞ。」
優介が少し冗談っぽく、だが真面目な顔で言った。
「その時はその時だよ。それで、何の用?」
体に付いた土を払いながら、叶夢は立ち上がった。
「お前の両親が日本に帰って来るってさ。」
「そう。いつ?」
「今日。」
「マジ!?」
叶夢は驚きに満ちた表情で、優介を見上げた。
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